―東殿―[暫し、雷光の残滓が目に焼きついてチカチカとする。 そのまま窓を開けて、長い時間外の空気を愉しんでいた。 闇夜を切り裂く鋭い光とは対照的な柔らかい朝の光が照らしだす頃、身支度を整えて中庭へと出た。 ゆったりと、老婆がそうするようにベンチに座って空を見る――見た目はせいぜい20手前の少女なのだけれど。 張り詰めた空気の中、上空にふよふよと浮く混沌の欠片を見上げて溜息をついたりしつつ、それなりに色々思案を巡らせては飛沫のように弾けさせ、独りの時間をすごしていた。]