…そう、なの。私も 上手く思い出せないのよ。――まだ寝ているのかしらね。[こめかみの辺り、髪の毛のひとふさに触れて梳くような仕草。少しばかり眉を寄せた。思い出そうとすれば、矢張り痛むような気がした。]職員が荷物に手を出すなんてあってはならないことよ。もしそうなら、どういう教育をしているのだか――[苛立ちは、別のところから。けれど、もっともな事だけを口にした。そこでふと、気付いたように]…貴方の荷物は、ないの?