[絆を前にたおれたレナーテの姿を見詰める。
歩み寄り、その傍らで膝をついた。]
レナーテ。
私、あなたの事を『仇』だと思っていたの。
この結末を望んでいたはずなのに――…
晴れやかな気分にはなれないみたい。
[アーベルがもうひとりが誰かとたずねたとき
答えられなかったことがその答え。
聞こえる聲に少なからず心が揺れたのは――。
そっとレナーテに手を差し出す。]
早くにこうしていれたなら――…
もっとたくさん言葉を交わして
互いを知ることが出来たなら、違っていたのかな。
[ゆると首を傾げる。
レナーテが老尼僧に手をかけなければ
きっと自分がそれをしていただろうから――。]