[勿論、アーチェリーだけでは無く、銛で漁をした経験も無い。重い金属の矢とは言え、蛇の生命を断ち切る位置に突き刺す事は出来ず。蛇の息が指に触れる、牙が掠ろうとしている。]
[ダーヴィッドの声に頷いた。
彼を信頼して良い、と感じて──強く握り絞めていた矢から手を離す。瞬間、身体の柔らかい部分を縫い止められたまま激しく跳ねて落ちる蛇。
蛇が地面に落ちた瞬間を、ダーヴィッドの斧が砕く。
生臭い血臭いと、骨が砕ける音。
蛇が動かなくなるのを見届けてから、漸く、イレーネの無事を確認する事が出来た。]