[念を凝らし、羽根を舞わせる。
跳ね除けようとする動き、そちらへ意識を奪われたが故か、生み出された刃への対処は、遅れた]
……ち。
[ほんの一瞬、掠める苛立ち。
未だ手にした三日月でそれを弾こうとするも間に合わず、また、広範囲に念を広げた状態は、歪みを生じるための集中も叶わず]
[それでも、僅かに身体の位置をずらし、急所を貫かれるのは、避けた。
左の肩に、深く食い込む刃。
零れる紅。
集中を乱された念は渦を巻き、刃の羽根を空へと巻き上げる]
ふう……。
中々、やる、ね?
[それでも、紡ぐ言葉はどこか。
愉しげなもの]