そりゃあこっちのセリフだ。
お互い引かねぇからやり合う羽目になったんだろがよ。
[粉々に砕けた秘石はもはやただの残骸。内包されていた力は男の右胸に埋め込まれた秘石へと蓄えられた]
俺ぁまだまだ悪運が強いらしい。
てめぇはさっさと帰って養生すんだな。
指咥えて俺が勝ち進むのを見てやがれ。
[くつりと笑うと、手に残っていた残骸を地面へと払い落した。戦いの最中で落としてしまった煙草。予備のそれが無いことに気付くと、舌打ちしながら後頭部を掻いた。刹那、空間が歪み、男の身体は徐々に掻き消えて行く]
用が終わったから戻される、ってか。
慌ただしいな。
じゃあな、あんちゃん。
もう会うことは無ぇだろうがよ。
[背を向けながら、上半身を起こした相手に後ろ手にひらひらと手を振る。数度のその動きを最後に、男の姿は完全に*掻き消えた*]