ごめんね、おばさん。
もう───……我慢出来ないの。
[重ねた謝罪の意味を老婦人が理解する前に、エルナの姿が転じ、老婦人の首から鮮血が舞った。
金の毛並み、暗い翠の瞳をした獣が老婦人の身体を床へと引き摺り落とす。
喉を噛み千切り、口の中に含めた肉と骨を音を立てて咀嚼。
ぴちゃり、ごりっ、と言う音も、引き摺り音した時の音も、激しい雨音に掻き消された]
……ふぅっ。
──…ねぇ、居るんでしょ。
あなたも食べておかないと持たないわよ。
[遠吠え──自分達にしか聞こえない聲で仲間>>*0に囁く。
これから先に何が待ち受けているのかを知るような口振り。
幼かったとは言え、その時の記憶は克明に残っているのだ。
悲観しないで居られるのは、偏に生きたいと願うため]