[ぐちゅりと父の喉が牙に貫かれる。
ごりっと抉られた喉の骨が小さな口の中で砕ける。
鮮やかな赤が迸り、ハーノを支えていた父の腕からは力が抜け、ハーノの身体は自由落下を始める。
けれど少女は手を獣の爪へと変え、父の胸に突き刺すことで落下の速度を抑えた。
それに伴い爪は父の身体を引き裂き、大きな傷を作った]
んっ ふ あはぁ
おいしぃ
[床へ降り立つと同時、父の身体は倒れて。
ハーノはダークレッドの毛並みをした仔狼へと変じ、傷から零れ出たモノへと喰らいつく。
傷口の中へと鼻先を突っ込んで、噛み千切りながら赤を散らして行った]