―朝―
血に酔う……かぁ……―――
気をつけてね。
[妻の言葉に少し困った声音で返すのは、そんな状態を他の誰かに見られたなら危険だと、心配する気持ちから。]
それと、ありがと。
[続く礼の言葉は、本当に穏やかな声音で紡いだ。
トクトクと今は鳴る赤の実。
妻にリヒトに差し出すことが出来るのならば、それは幸いであるけれど。抱きしめながら考えるは、どう自分の命を使えば、より2人を生かすことができるかということ。
音に出来ない言の葉に含まれる意味の一つは……―――
選択肢次第では、糧になれないかもしれないと思う気持ちから。]