落ち着いてくれりゃ良いんだけどな。
食い尽くせないのはしゃーない。
嵐だとしたら、良い時と言うべきやら、悪い時と言うべきやらだ。
[血の付いた爪を舐めて、吊るした首の左目に差し込む。
ぐるりと中の神経を切り、閉じない瞼の下から眼球を取り出すと、そのまま口に放り込んだ。
ぷつ、と音を立てて咀嚼する]
本当ならどっか、開いてる洞にでも保存したいもんだけどなぁ。
雨が此処まで酷いと、点検もありそうだし。
食えない分は残念だが沈めよう。
石を入れておけば浮かないだろう。
――肝臓な。
構わない。心臓貰うし。
[持っていた頭を離して、落ちた体へと手を伸ばす。
爪は丁寧に胸元を裂き、肋骨を避けて肝臓を取り出した。
次いで血管を押さえながら、心臓を切り離す。
好きに食えばいいと彼女に示して、自分は脈打っていた心臓に牙を立てた]