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「それでも……姉さんや大輝くんも、心配してたよ?」
[兄の名に思わず軽く顔を顰めた後、その年には似つかわしくない冷めた笑みを浮かべ。]
別に……子供じゃありませんし。心配なんてされたくないのですけどね。
まぁ、母さんや兄には先生からお伝えくださいな。
私は元気にやっております、ってね。
[そして彼女はシャワールームへと向かった。]
[取り残された早乙女は、頭をぽりと掻きつつデッキチェアに座り。]
「私たちからすれば子供だってのに、ね。
……なーんであんなになっちゃったんだろね。小さい頃はもっと素直な子だったのに。」
─アーチェリー場─
[夕日の差し込むアーチェリー場。射場に入り精神を集中していたが、目を開くとサイト越しに的を見据え弓を引く。ふぅと軽く息を吐くと]
(ヒュン……カッ)
[狙いを定め放たれた矢は的の中央僅かに上を射抜く。フォロースルーを解くと、的を見据え]
……まだだ。まだ足りない。もっと上手くならないと……
[無意識に爪を齧り、ブツブツと呟く]
─剣道場─
[剣道場に響く、大気を断つ音。
練習が終わり、他の部員が引き上げた後も剣道場に残り、一人、稽古に勤しんでいたのだが]
……そろそろ、切り上げる、かぁ……。
[一人で動いていてもなあ、と呟いて。
上座に向けて礼をした後、雑巾掛けをしてから道場を後にする]
……と、いうか、ケンも薄情だよなあ……する事ないなら、付き合ってくれてもいいだろうに……。
[そんなグチをこぼしつつ、剣道場を後にして部室へと]
[部室で一息入れていると、飛び込んで来る軽快なメロディ]
……ん、メール……七恵姉さんか。
[呟きつつ、ミッドナイトブルーの携帯を開き、メールを確認する]
『親愛なる我がおとーとくん、元気してるかなーっ?
寂しくなったら、いつでもお姉様に電話していいんだよー?』
……いや、しないから。
[思わず突っ込みを入れつつ、読み進める。
内容は、今日、実家で行われる食事会のこと。
自分の欠席を、将来の義兄が残念がっていたとか、そんな内容に思わず苦笑する]
『というわけで、随時レポートするので、ケイタイは切らないことっ! 期待していたまえっ』
……いや、別にしなくていいんだけど。
[言っても届かないし、いいから、と返信しても無駄なのでそれはするつもりはないが]
っとに……。
[携帯を閉じつつ、こぼれるのは苦笑か。
末姉とはわりと年齢が近かった事もあり、今も昔もこんな調子で。
年齢が離れすぎていて遠く感じる長姉や、やはり年齢の離れた次姉と比べれば接しやすいのだが]
―校舎・吹奏楽部練習室―
[フユはパイプ椅子の背に凭れ、天井を見上げている。
日頃は見られないような、だらしのない姿勢。]
(休暇中の使用申請の数からして、うちの部員で残ってる奴は少ない筈……当座はココが一番静か、かな)
[キリ、と背筋を伸ばして銀の管に唇を添える。
序章が紡がれ始めた。まず真っ直ぐに伸びた音が、扇状に広がっていく。フユの目は、譜面の白いところをただ見つめていた。]
…………。
[序章は、次に広がる展開を垣間見せるように跳躍しようとして途切れる。フユはまただらしのない姿勢に。]
イマイチ。
―寮:1階:共有スペース―
[テレビの前、義兄と二人、ソファに座ってテレビを見ているようだだ。
今はだいぶ涼しい。
開いた窓からそよそよ風が吹き]
ふぁ……
[一度部屋に戻ったのか、手元にバトンはない]
―図書館―
[クーラーこそないものの、本の状態を考えられて作られた室内は、外と比べれば格段に過ごしやすい。
何冊かの本を運び、調べながら課題を進めてゆく]
「ヨウコちゃん」
[掛けられた声に顔を上げれば生徒会会長と副会長の姿]
響子会長に如月先輩。
…如月先輩は家に戻られる予定だったのでは?
[夏休み前の出来事はまだ多くの波紋を残していて。
残留予定だったはずのユウイチロウも戻らなければいけないと聞いていたのだが]
[体育館前に設置された自動販売機にて購入したお茶片手に、特に急ぐでもなくのんびりと寮へと向かう。]
…あいつら皆帰ったんだっけ。案外暇なもんだな。
[夜空を見上げつつ呟くのは感傷でも何でもない。もしかしたら星も出ていたかも知れないけれど、気付いて何か思う程繊細でもないだろう。]
「少し猶予を貰ってあるんだよ」
「そろそろ引継ぎの準備もあるからねぇ」
[二人の言葉に成る程と頷く。
三年生である彼らは休みが明けると交代になる。
それに選挙管理委員との打ち合わせ等もあるのだろう]
「で、悪いんだけど。ヨウコちゃんもちょっと手伝ってくれるかな?」
[響子の声に頷いてノートを閉じた。
他の役員は夏休みに入ると同時に帰郷してしまっている。
手伝うのは当然のことだと思った]
[廊下は暑い空気で満たされていた。
文句を言う響子と宥めるユウイチロウの後ろを歩きながら、ふと視線を泳がせる。
向いた先は吹奏楽部の練習室の方向]
『機会は今日だけじゃない、よね』
[どうかした?と振り返るユウイチロウには首を振って。
午後の残りは細々とした作業に*費やされることとなった*]
(嗚呼、そういえばあの子。ヨウコ、か
来なかったけど。
聴かせられるようなモンじゃなかったから、良いか)
[エアコンを止めた。
楽器も椅子も片付け、戸締まりを確認して練習室を出る。]
ねーてーなーいっ
だからチャンネル変えちゃだめーっ
[わぁわぁきゃあきゃあ。
寮母さんに見られても気にしない。]
あ、変えたー!!
ひどい!見てたのにー!
―寮・自室―
[目覚めると日は暮れていた]
…………………腹が減ったな。
[一昼夜寝ていれば当然だ。それは自分でも判っていたので、ベッドを降りると、部屋の隅に置いた段ボール箱から、カップ麺を引っ張り出す]
……………
[カップ麺と睨めっこすること約三分]
……お湯がいるな。
[到達した結論に従って、部屋を出た]
―自室→炊事室?―
−体育館裏−
[夏期休暇で人が少ないのをいい事に、
地べたごろんと寝転がり、夜空を見上げる。
じっと目を凝らしていると、1つ2つ、煌めきが目に映った。
伯母の家はよくも悪くも“都会”だったから、
星はネオンの光に隠れてしまっていたけれど、
ここは周りにビルも少なく、空気は澄んでいるように思えた。
傍らに置いていた空のペットボトルが、
風に揺れられて倒れ、転がっていく]
/中/
榎本先輩ごめんなさい〜!
ほ、本当に聴きに行きたかったんですが(涙)
でも中の兎猫が夕方ダウンしてた&これから少々出かけなければいけないリアル用事があるので。
明日も用事がありますし、あまり無茶が出来ないのです。
どうか次の機会がちゃんとありますように!
…しかし。
やっぱりこれって恋する乙女状態なんですか!?
百合はちょっと苦手なんですけどどど!(汗)
…まぁ、流れ優先で頑張りますね!(ぉ
[校舎玄関に立つ。
生徒会室の在る方角を一度仰ぎ見て、視線を戻した。]
(こんな時間に明かりが……作業中かな)
[校舎の外からは、部活の練習も終えて
しかし明日の授業の心配も無い生徒達の
陽気な声が聞こえる。]
(いまは自分の演奏する音も気に入らない)
……くそッ
[下駄箱を殴りつけた。]
(調律の狂ったピアノの演奏を
ずっと聴いてるみたいな気分だ……)
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