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うん、そこは好きにしていいと思うよ。
言ったもん勝ちだし、そもそも墓下すごす憑魔、雪夜さんだけだし。
ということで以下中発言控えるよ。
― 住宅街・地蔵堂 ―
[手を伸ばし、地蔵の頬に触れようとする。
寸前で手を引っ込めた]
オン カカカ ビサンマエイ ソワカ……
オン カカカ ビサンマエイ ソワカ……
[店に来る客には本当に色々な人がいた。
私から客に素性を聞いたりはしないけど、彼は自分から坊主だと名乗った。
お酒を勧めていいものか、随分戸惑ったっけ。
私は手を合わせ、彼に教わった地蔵に願う時のおまじないを繰り返した]
……急にお願いされても、困るか。
[地蔵にかけた願は、平安。
子供たちと自らの、そしてあの場に集まっていた者達の。
困った時の神頼みというやつで、私は苦笑を漏らした]
───ぐ。
[そして、唐突にまた鳴り響くは鈴の音。
白い光が、黒い光に塗りつぶされていく光景と共に、瑞穂の姿が思い浮かんだ]
みず……ちー……。
[これがただの幻影ではないことはよく知っている。ただの幻影だったのならば、どれほど良かったことか]
次は、みずちー、か。
[それは、瑞穂が小さい頃からずっと見続けてきた可愛い妹分。
家族と触れ合う機会がほとんど無かった神楽にとって、まるで本当の妹のように可愛い存在だった。
その大事な子が、憑魔に殺され、何処かでその骸を晒しているのだと分かっても、神楽には動く気力は出てこなかった。
短い時間の中で起きた一連の騒動は、神楽の心をへし折っていきそうなほど、辛いことばかりだった]
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オーム、 ha・ha・ha(地蔵菩薩の種字を三回唱える)、 希有なる御方よ、 スヴァーハー
らしいよ!
ぐぐる先生が教えてくれたにわか知識だよ!
─住宅街・地蔵堂─
[近づくにつれ、感じ取れたのは人の気配。
それを訝り、警戒も込めて足を止めるのと、声が聞こえるのとはどちらが先か]
……こりゃまた。
随分と、思いも寄らないというか、なんと言うか。
[まじないを唱えていたのが誰か気づいて。
最初に口をついたのは、そんな一言]
……雪夜。
[信じたいと願った人は憑魔だった]
……瑞穂。
[信じたいと願った人は憑魔に殺された]
……綾野さん。
[短い時間の中で触れ合った人も、憑魔に殺された]
……。
[誰が、何が、悪い?
今まで本気で人を疑おうと思わなかった自分か?
信じている人を奪っていく憑魔か?
一連の騒動を巻き起こしているであろう桜花か?
死者しか判断出来ない呪われた力を残した司か?]
……誰?
[しゃがんだまま振り返る。
膝には布に包まれた包丁が乗っているのが見えるだろう]
あ。
[立ち上がろうとしたが、しばらくしゃがんでいた為足がしびれ、
後ろに尻餅をついた。
余りに無防備な態勢に、口元が僅か引きつった]
えいち、えーの人ね。
[店で会ってから、彼の名を目にする機会はなかった]
―瑶子宅―
お蔭様で。
……あー、さんきゅ。
[瑶子が戻って来て、姿勢を正した。
女性の部屋ということで一応気も使っているのか、礼斗の部屋の時とは違い隅の方にいた]
瑶が?
……いや、そりゃねーだろ。
[問い掛けに瞬いた後、真顔であっさりと否定する。
テーブルの隅には水の入ったコップが一つ置いてあった]
漫才師 史人は、ママ 百華 を投票先に選びました。
漫才師 史人は、少女 千恵 を能力(占う)の対象に選びました。
[振り返り、倒れ込む様子。
いつもなら、軽口と共に手を差し出すような場面だが、今はそういう気にはなれなかった。
だから、その場から動く事はせず。
ただ、呼ばれ方にひとつ、瞬いた]
……はい?
ああ……そういや、名乗ってなかったか。
[呼びかけ方がイニシャルと気づいて、こんな呟きを漏らし]
礼斗緋文、だ。
[短く、自分の名を告げた]
―瑞穂家・二階―
[ご飯を用意したのはだれか。冷蔵庫にあったパンと牛乳を食べた。]
…あれ、みずねえちゃは?
[いない人のなかに瑞穂がいたので、誰となしに尋ねる。
答えは返ってきただろうか。
いなくなった、知らないと、どちらを言われればしょんぼりする。
だれも居なければ、うさぎが無言で返事して。
それから暫くは大人しく、本を開いて中を見ていた。]
――きみゃくはめぐる、ちからのままに。
――きざめ、きざもう、いのちのしるしを。
[雪夜の書いた、桜の絵本。桜花の事はそこにはない。ただ桜にまつわる綺麗な挿絵と、不思議な言葉が綴られている。]
きみゃく…。
[言っていたのは百華だったか。不思議な言葉だと思った。]
[気づけば自宅の二階にいた。
千恵が自分のことを尋ねている]
千恵ちゃん。
[そっと頭を撫でようとするもその手は触れることはできない]
死後の世界ってあったんだね。
[ぽつりと呟く]
ああ。 それであやみん、なのね。
店でも言ってたけど、本当に変わったお名前。
[少し硬い笑顔を向ける。
相手が距離を置く事に、私は少し安堵していた。
そして同時に寂しさを感じていた]
お店で言ったかしら。百華よ。
なんとでも呼んで頂戴。
[足首をくるくる回すと、私はゆっくり立ち上がる]
―自宅―
言い切っていいの。
[首を傾げる。
水の入ったコップが視界に入った]
まあ、いいんだけど。
もし親しい人が憑魔だったら史兄さんならどうするのかなって。
そっちが聞いてみたかったんだ。
[そうして、各々が別行動を取る段になると、伽矢の後ろを憑いて行く。
そして、場所は瑞穂の家。そこで伽矢が瑞穂を襲い、その心の臓を喰らう光景をただジッと見下ろしていたが、]
よう、偽善者。大した自己犠牲愛だな。
感動しすぎて涙が出るぜ。
[新たに桜に囚われる魂に向けられたコエは、多分に嘲りを含んだもの。]
[精神が壊れて、狂ってしまえるのならばどれほど楽なことか。
それが出来ないのは、小さな頃からやってきた神社の修行。それから、それを許さない司としての治癒能力。
双方が合わさり、神楽にそのような逃げは決して許さなかった。
───逃げることが出来ないのならば、道は一つしかない]
憑魔。
[暗い目が、前方の暗闇を見据えた。
その脳裏に浮かんだのは、礼斗の言葉。
『魔を滅する事に囚われ過ぎて、お前自身が魔に堕ちるなよ』]
魔に堕ちる?上等じゃない。
お嬢様なことをして、憑魔を消せるなんて思わない。
私がやることで、魔に堕ちるというのならば、そうなればいい。
役割は果たし、絶対に此処から生き延びてやる。それが終わったら……桜花め。どれほどの時間がかかっても、今まで亡くなった人達の分も含めて……消してやる!
ま、漢字だけ書いて、まともに読まれた例はないな。
[珍しい、という物言いに、掠めるのは苦笑。
百華の心の相反する感情には気づかない]
……で、こんなとこで、何を。
[立ち上がる様子を見やりつつ。
素朴な疑問を投げかけた]
中
…にいちゃが帰ってこないと、本気で外行きそうなのが。
あんまし走りっぱだと困るよなぁ…(ころころ
さくっと風呂ってこようかなぁ。
たまたまよ。たまたま通りかかったの。
[少し目をそらす。
わざわざ住宅街を通った理由が、子供のような現実逃避だったから]
お祈りよ。 元通りになりますようにって。
[血がこびりついた手に目を落とす]
―回想・死んでるあたり―
[地面に倒れてすでに命も事切れたころ、何か声が聞こえた気がした。
どこかで聞いたことのあるような声、それは殺され雪夜のものだっただろうか?
自分は死んだはずなのに声が聞こえる?しかも死んだはずの人の。]
…
[物言わぬ死体となった自分にそれに何かを返す術はない。
それからどれくらいの時間がたっただろうか、自分の体が桜に取り込まれるころ……自分がいたのは自宅の二階]
―瑶子宅―
うん。
根拠はないけどな、信じていい気がする。
[一見すれば頼りない言葉。
傍らのコップの中では、白く色付いた氷の花がゆらりと揺れて、溶けていった]
親しい人が、か……
……その、『憑魔』ってのがいなくならなきゃ、出られないんだろ?
だったら、……倒さないといけない、だろうけど。
[「殺す」という言葉は避けた。
カップの中の黒い水面に視線を落とす]
……やっぱ、分かんねーや。
そうなってみないと。
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