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─図書館─
大人しくしてろも何も……。
[動くと痛い、とは言わず、自室へと引っ込むのを見送り。
代わりに、やれやれ、と大げさなため息を一つつく]
ま、薬師殿んとこ行くよりは、いいけどなぁ。
[不摂生云々も理由としてはあるが。
それ以外にも、近づきたくない理由は幾つかあった]
やっぱり。
いけませんよ、本業も大切にしないと。
[本業を大切にしすぎた結果がこれ←だったりするため、どっちもどっちだが。
視線はユリアンからアーベルへ移る]
あはは。
そうですね、頑張りま…す?
[そう答えた辺りで、叫ぶ声。
それが自分の名だと気付いて、目を見張った]
[自室へ入ると、戸棚から常備している湿布薬と綺麗な布を取る。少し考えてから、水を汲んだカップと乾燥キノコと数種の薬草を混ぜた粉薬の入った薬包を一つ用意して、一緒に持って出た]
湿布は自分で貼れるか?
[問いながら、ソファの前の机に水と薬を置く]
こっちは痛み止めだ。眠くなるがな。
[必要なら飲めと視線だけで促す]
え、…え?
[声のしたほうを見ると、その主が近くの建物に入るところで]
オトフリートさ…って、兄さん?
受け取るって、一体何が…
[問いは小さく、相手には届かなかっただろう。
見えなくなる間際、ひらひらと振られる手は見えたものの]
あぁ、貼るのは自分でなんとか。
……にしても、なんでこんなに色々と常備されてんだ、ここは……。
[図書館だよな、と思わず周囲を確かめる]
痛み止め飲むほどじゃない、と思うなぁ、今のところ落ち着いてるし。
……念のため、もらってはおくけど。
[ダラダラ汗を流していたが、アーベルの言葉に我に帰ると]
え? ……あ、ああ。昼ならまだ……というか、そういえば俺、飯食うために出てきてたんだったっけか。
[そう言うと同時くらいに腹がきゅんきゅんきゅるるんと鳴る。]
[自分で貼れるという言葉を聞くと、そのまま読書室を出ようとしたが、疑問の声に足を止めた]
最近、色々無茶をする若いのが多いからな。
ああ…若くないのもいるが。
[くちゃくちゃと蜜蝋を噛みながら]
一晩置いてから痛みがくるぞ、打ち身は。
[この歳になるとな、と、笑みを含んだ声で言った]
[桶を被…れないから、陰に隠れるように翳してみる。効果の程は知らない]
ああ、頑張れ…色々と。じゃな
[頑張れといったのは作曲についてのことだけでなく。ミハエルを見送り。
汗を流し。そしておなかを鳴らしているユリアンを呆れ目で見て]
芸術してるやつって…食事とか忘れやすいものなんかねぇ…
あー、本業っつーても。
親父もまだバリバリの元気だしなぁ。
俺の出る幕なんてまだまだ……
[そこで向こうの方から掛けられる声。]
んあ? 絵師殿って兄ちゃんのことだよな。
あー、なんとなく把握。いってらー。
[図書館へ駆けていくミハエルを見送り。]
まあ、若いのは無茶してなんぼでしょ。
いいのいいの、死なない程度に無茶すれば。
[へらり、と笑いながら言って。
続いた言葉、笑みを帯びた部分には、むぅ、と眉を寄せ]
……お前が言うと、妙に現実味があるのは、なんでなんだかねぇ……。
[肺活量は兎も角として、だが然程体力があるわけでもなく。
図書館の入口の手前で一度立ち止まり、息を吐いてから]
失礼します。
[声を掛けて、扉を潜った]
[きゅんきゅんいうユリアンの腹の音に
きょとりと周りを見渡す。]
…何のおと?
[笑顔で、駆け出すミハエルの背中を見送った。]
―大衆食堂―
うっはー おいしそー!
「がっつくなこら。で、お前まーたもぐってたんだって?」
う゛。食べてるときに言わないでよおっちゃん。
良いじゃんか別にへるもんじゃないしー
ちゃんと貝殻だって置いてきてまーす!
「そういうことじゃねーだろ?」
ああんもー、仕方ないじゃんー!
そこに『海』があるんだよ!
『海』の向こうに何があるか、おっちゃんは気にならなかったのー!?
ユリアンは『空』なんだし、被ってないから良いじゃーん
無茶した挙げ句死んだ、馬鹿兄貴もいたがな。
[さらりと言ってから、現実味があるという言葉に、肩をすくめた]
経験則だからな。・・・絵師殿の幻の記憶とはわけが違う。
……それは言わない、言わない。
[さらりと言われる言葉に、掠めたのは苦笑]
幻、と言っても、過去の積み重ねに変わりはないけどねぇ。
俺が見てない、ってだけで。
[軽く言った所で、耳に届いた声に。
早めに手当てをしてしまおう、と動き始める]
む、し?
虫を飼っているの?
なんていう虫?
それは可愛いのかしら?
見たいわ、見たいわ?
[アーベルの言葉に、ぱっと顔を綻ばせ
ユリアンに、期待の眼差しで詰め寄った。]
まあさ、もう糸のお仕事は終わらせたんだよ!
だから良いじゃんー。
「その前にやってたと聞いたが?」
う、うっさーい! 気のせいだよ!
それに早く糸できるんだから良いじゃんかー
サボってないよ、絶対サボんないよ!
あ、そういえば、さっき絵師さまがいらしたんだけどね。
……あーあ。ご挨拶くらいしたかったのになぁ。
あ、ごちそーさま!
[何か言いかけたおじさんに、少女は元気に言うと食器を置いて話を打ち切った。]
いっつもながらに美味であった。なーんてね!
図書館の先生のところ行ってこよっと。
「あ、こら待てお前」
[2人を探して見回していると、声が掛かる]
ああ、済みません。
[頭を下げて、姿の見えたほうへ。
荷物は入口の脇に、なるべく邪魔にならないように置かせて貰った]
ええと。
何がどうしたんですか?
[近くまで来て、オトフリートを見上げ問い掛けた]
[無邪気に顔をほころばせるエルザをみて罪悪感が…]
そう、虫だ。こんな形の。可愛いかどうかはわかんねーけど
[罪悪感がわかずに、桶を頭に乗せ直し。空いている手で菱形のような形まで作ってみせる。]
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