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[思わず漏れた声を聞いて、うわ、と慌てた表情になる。すれ違う形になったエリカが普通に出て行く様子にバレてはいないと判断し、ホッと安堵の息を漏らす]
扉くらいいくらでも開けてあげるよ。
困った時はお互い様。
[中に入って来たパトラッシュの側にしゃがみ込み、頭を撫でながら周りには聞こえないように小声で告げ、片目を瞑る]
その様子じゃまだご飯食べてないでしょ。
マスター、肉料理何かお願い。
[もはや恒例となってしまったが故か、主人も渋い顔をしつつも用意してくれて。カウンターに戻るとスペアリブが乗った皿が出てきた。それを床に置いてパトラッシュに勧める]
[瞑られた片目には、すまん、というように一瞬耳を伏せて返し。
出されたスペアリブをゆっくりと食べ始める。
一昨日も昨日も、十分な量を食べていたためか。飢餓感や食べ物に対する焦りは薄くなっているようだ。]
[パトラッシュの様子にまた首を傾げて]
[しばらく見つめていたが]
…いや、きっと気のせい。
まだ寝ぼけてるのかな、あたし。
[ディーノの言葉に肩を竦めて]
[カップに口をつけた]
10年ぶり?
うわ、それってかなり酷いってことじゃない。
[レッグの言葉には眉をひそめて]
二次災害が起きたらいけないしね。
復旧も遅れそうか。
仕入れしてきた所だからいいけどさ。
[小さく溜息をついた]
10年ぶり…。
随分と酷い崖崩れなんだね。
復旧には時間がかかりそうかぁ…。
あんまり一箇所に留まると滞在費が…。
[急ぎの用は無いが、別の方で問題が出てきて。参ったな、と頬を掻く。パトラッシュに視線を移せばスペアリブを食べ始めていて。その様子に目を細めてフランに視線を移す]
そぉ?
何でもないなら良いけど。
[心の中で安堵の息を吐く。パトラッシュと約束したのだから、これは隠し通さなければならない]
二次災害、もう起きてたよね。
[その言葉と共に視線はグレッグへ]
[フランが視線を動かしてくれたことにほっとしつつ、内心全力でディーノに土下座で謝り感謝した。
フランとレッグの話にはそっと耳を傾け。
そういえば床が何だか土臭い、と思いながら、どこかで土砂崩れでもあったんだろうかとのんびり考える。]
10年前の、か。
[何かを思い出すように小さく呟いて]
宿代とかだね。
マスターに交渉してみたら?
あの道がないと村から出れないし。
どうしようもないもん。
[そう言ってマスターの方を見て]
あー、うん。
既に起きてたね。
[グレッグに視線を転じて]
[苦笑した]
交渉かぁ。
何か手伝うとかすれば良いのかな。
他で稼げるようなのは無いだろうし…。
手伝うから宿泊代少し安くして、とか。
[どぉ?と視線は主人に。返って来たのは、考えておく、の一言だけ]
即否定されるよりはいっか。
良い返事期待してるー。
[もはやどっちが雇われる側なのやら]
でも酷い二次災害じゃなくて良かったよね。
打ち身と擦り傷だけで済んだんだもん。
/中/
わんこ素敵です、わんこ。
でも今のところエリスの中で最有力の襲撃先(笑)
だって、占師は守られている可能性高くて。
その占師を動揺させるのに一番いいんだもの。
まだ飢えてはいないから、食べなくても大丈夫だし(笑)
[スペアリブの肉部分を食べ終われば、がじがじと骨を齧り堪能する。至福のひととき。その時聞こえたのは
『酷い崖崩れ』『復旧に時間が』『あの道がないと村から出れない』
それらの単語から、全体像を浮かべ理解するのにそう時間はかからなかった。
(崩れたのはあの…、そうか。)
心の中で独りごちる。
(そういえばこの村に来るまでに危なそうな場所があった、ような。
あそこが崩れたってんなら……ふん、人が騒いでたのもそのせいか。ああ、占いで言ってた凶事ってのもこれのことか?)
それは至極まともな考えに思えて、一人納得する。
そういうことなら、もう余計な心配は無用か、と。]
まったくだね。
もし本当に埋まっちゃったら…。
[そこまで口にして]
[自分で顔を顰めた]
…縁起でもない。
とにかく気をつけてもらわなくちゃね。
[復旧を望む気持ちと]
[事故が起きないで欲しい気持ちと]
[もやもやしてきてカップの残りを一気に呷った]
マスター、おかわり!
これ以上は大したこと聞けなさそうかしら。
とにかく「閉鎖空間は完成している」「回復の見込み無し」
…早めに動いた方が良さそうよ。
[もう一人の同胞へ]
[密やかに囁く]
でも今夜はシャロンも出てこない。
これは明日に回すしかないわね。
復旧作業する人達皆、気をつけてもらわないとね。
何が起こるか分からないし。
[フランの言葉に頷いて]
あまり飲みすぎるのは…ってお酒じゃないから大丈夫かな?
[飲み物の消費が早いことに口を挟むも、それは酒では無いようで。止めるほどでもないだろうかと考える]
[突然フランに話しかけられ、骨を齧る姿勢はそのままに見上げてきょとりとする。
瞬きをひとつ。
(え、もしかして矢っ張りバレてる…?)
緊張を孕んだ視線で、じっとフランを見つめた後。
おもむろに、わん、と吼えて返した。
まぁ大丈夫じゃね? という判断のもと。
っつーか俺って幸せそうに見えるんだ、と、少々意外に思いながら。]
……『パトラッシュ』の影響だろうかなぁ。
なぁ、実験体にされて犬の体に入れられてさ。
人間だった時の記憶も全然なくってさ。
つーかまぁ、それはもう良いけど。
自分のせいで人が殺されて、如何しようもなくて逃げてきて、さあ。
これって、幸せなんかね?
[浮かぶのは自嘲的な笑い]
うん、このくらいはお酒じゃない。
[実際ソーダで薄めたそれは]
[普段飲んでいる物と比べなくても]
[大した濃度ではないが]
美味しいものがあるのって幸せだよね。
[パトラッシュの声に]
[クスクスと笑って]
[カップを傾けた]
何かしら、今の視線。
この犬も不思議よね。
こちらの言葉を解しているとしか思えないわ。
[パトラッシュを見て笑いながら]
[気づかれない程度に目を細めた]
このくらいはって…お酒なんじゃないか。
濃度が低いからって量を飲んだら変わらないんじゃない?
[飲みすぎはダメだよ?と窘めるように首を傾げて]
そうだね。
幸せになれることってそこら辺にぽんっと在ったりするもの。
美味しいものそうだし、楽しいこともそう。
身近にあるもんなんだよね。
[複雑そうな顔のパトラッシュに気付けば頭をわしわしと撫でて]
どうしたそんな顔して。
……美味しいもの、か。
[脳裏に浮かんだのは]
[紅の]
[慌ててそれを振り払う]
危ないわ。
ここで怪しい動きは見せられない。
[レッグから微かに漂う香り]
[この程度でと何をと]
[小さく自嘲した]
はいはい、気をつけます。
[軽く笑っていなし]
そう、幸せの鳥は身近にいるの。
そんなもんだよね。
[再びカップを傾けて]
[テーブルに伏しているレッグに気づき]
グレッグ?
こんな所で寝ると風邪ひくよ。
怪我したんなら堂々と泊まれるでしょ。
上の部屋借りなさいよ。
[軽口を叩きながら]
[レッグの肩に手を置いた]
[頭を撫でられると、複雑そうな表情のまま目を細めた。
身近にある幸せは、過去の不幸を全て払拭できるのだろうか。
そんなことを考えながら。]
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