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―広場・噴水傍―
ありがたい。
これであんたが、となればお手上げになるが。
[少しだけ軽口のように答えながら]
[先に相手から一つ与えられる情報に瞬く]
エルザは関与していない。
そうか。
……何故それを言い切れる?
[思わず安堵の息を零してから怪訝そうな顔で聞き返した]
[ローザという女性について――犯行への関与は見られず]
[自衛団の手段に問題あり――混乱を避ける為にこのまま保護を]
[そんな内容も記されている紙片を改めて渡そうとしながら]
[少女は、屋根の上から広場を見おろしながら
ぽつぽつと小さな呟きをマフラーの中に落とす。]
…―じゃあ今日はオレはしない。
返事来たらすぐに報せるよ。
[そしてぱっと立ち上がり、空を見た。
色とりどりの花弁が風に舞う中、
近く小屋の屋根へと飛び、街灯を伝い、地面へ降り始めた。]
―広場/一角―
[事情聴取、というには場所が悪い。しかし訊く側も話す側も構わず、話は失踪した少女を呼び出した人物――カヤにまで及ぶ]
……カヤちゃんを疑うの?
冗談言わないで!
[初めて声を荒げる]
家族をどうこうするだなんて、出来るはずないでしょう。
わざわざ、自分が疑われるような状況を作る必要があるの?
それに、どうやって攫うっていうの。
一生懸命探していたのを見たでしょう?
ベティちゃんを家に呼んだのだって、きっと、待ちたかったからだわ。
[一転して捲くし立て、大きく息を吸う]
――独りで居ることがどんなに寂しいか、知らないの!
[声が響き渡った。]
まったく、団長の次はベッティとはね。
本当に誘拐なら、何を考えているのか。
[視線は地面に、小さく溜息を吐いた。
噂を聞いたという言葉には一つ頷いたのだが]
同じ?
[小さな呟きは届いたようで、訝しげな顔をする]
─広場・噴水傍─
さっきも言ったろう。
俺は犯罪者に間違えられやすいが、犯罪はしねぇ。
[返すのも軽口]
[紙片を受け取りながら、問われる内容には]
言い切れる伝手がある、と言う事だ。
俺にとって情報は商品だからな。
それに重要なもの程正確さが大事になる。
この情報に偽りはねぇ。
[自分が調べられるとは言わなかった]
[いつも使っている自衛手段とも言えよう]
[それを告げてから紙片に目を通す]
[連なる文字を隻眸でなぞった]
さて、ね。
……聞けるモンなら、直接聞いてみたいよ。
[吐き捨てるような言葉は、偽らざる心情。
それは、一年間ずっと抱えてきたもの]
……っと。
[零れた呟きを聞き止めての疑問の声。
蒼の瞳を一つ、瞬かせ]
前にも起きた時の、被害者の一人が。
俺の、一番のダチだった。
あの時は、何にもできなかった……いや、しなかった、から。
同じ事やって、同じ後悔したくない。
[そんだけ、と。短くまとめて、肩の隼をそ、と撫でた]
―広場―
[広場近く、大通りに着地した瞬間。
響いた声は大きさよりもその通り具合で耳に届き
――否、頭に、届いた。]
…――っ
[少女は、口を半開きにしたまま
呆とした表情で、街灯に手を添えたまま立ち止まった。]
―――噴水傍―――
あー。いい湯だった。
[顔を桜色に染めて、レナーテが大股で街中を闊歩する。
その行き先が噴水の近くになったのは、単純に温められた体を少し冷やそうと思っただけのこと。
噴水の近くまで近寄ると、そのヘリに腰を下ろして、一息ついた]
おー、涼しー。
あったかい街だから、こー少しでも涼める場所があるってのはいいね、うん。
[言いながらきょろと何気なく辺りを見渡し]
さて。一息ついたところで、また探し人の開始でもしようかね。
そろそろ、店の方へ戻ってるかも……っとと?
[その瞬間、広場中に響くようなエルザの声が聞こえ、軽く驚いてそちらを眺め見る]
おー?エルザじゃん。なーにしてんだー?
[自衛団員は突然の大声に驚きエリザベートを見た。
反論の内容に、詳しい事情を知らぬ周囲の反応はといえば、どちらを悪者を見るかと言えば、火を見るより明らかだ。
密やかに話し合う他者の反応に、男は女の腕を掴む。
強い力に眉を寄せたが、それだけのこと。]
連れて行きたければ、いけばいいじゃない。
あの子を連れて行くより、ずっとマシだもの!
[翠眼で、キッと相手を見据えた。
震えは気取られぬように]
―広場・噴水傍―
[相手を信じるだけの根拠は無い]
[ただ情報を持っていると思われ][多少はその人となりを知り]
[賭けにも出なければ状況が変わらないと思っただけ]
分かった。
俺としてはありがたい情報だし、信じておく。
[情報源を明らかにしていないのは自分も同じ]
[こちらは問われれば答える気もあったが]
どうみても牽制しあって動けなくなっている。
ようやく重い腰を上げても上はその程度だ。
まあ確定情報になるのと、あんたならそこから更に何かを得ることも出来るかもしれないか。
[エルザの声に振り返ってもすぐには動けなかったのは]
[カヤを疑っているからと][最後の言葉に重さを感じたから]
すまない、ちょっと行ってくる。
あのままは拙いだろう。
[連れて行けばいいとの言葉に硬直が解ける]
[ヴィリーに言い置き][そちらに向かおうと]
[語られる言葉を、彼はただ黙って聞いていた。
短い話が終わって、少し間が空いて]
すまない。
余計なことを聞いたね。
[顔を俯け、まず先に零れたのは謝罪の言葉]
…けどね。
やっぱり、あまり危ないことはしないほうがいい。
心配する人だっているだろう。
[顔を上げて、諭すように言葉を続ける。
それが簡単に聞き入れられるとは、彼自身も思っていないが]
[視線の先のエルザが自警団に腕をつかまれる姿を見れば、その顔に眉が寄った]
……なーんか事情は良くわかんねえけど、見てみぬフリは出来ねえなあ。
[言って立ち上がると、大股でエルザの傍まで近づく。
どうも、同じようにハンスも近づいていたようだが、それは丁度影になっていたのかよくは見えなかった]
よー。エルザ。
助けのほういるかー?
ああ、報酬は今回に限りロハでいいぜ。
[そんなことを言いながら、エルザに向けてニッと笑った]
――あ、レナーテさん。
[振り払うことの出来ぬまま、声をかけてきた「何でも屋」を見る。
見知った者の介入に、思わず安堵の色を表に出した]
ありがとう。でも、いいの。
……無理やり解決したって仕方ないもの。
私が行って、疑いが晴れるっていうのなら、行きます。
……別に、謝る事じゃないから。
[気にしないで、と短く返す。
表情は、前髪の陰で読めぬまま。
続いた、諭すような言葉。
一度目を閉じ、一つ息を吐いてから、開く]
そう、だろう、ね。
……わかっては、いる。
けど。
……逃げるのも、嫌なんだよ。
逃げて……ただ、甘えるのも。
/*
……広場、いっとったら。
無駄に騒ぎを大きくしとった自信はある(持つな。
ていうかね、あのね。
……くろねこ、実は唐突に『独りじゃない(FF9の神曲)』が聴きたくなったんですよ。
…………予兆かなんかだったのかと…………。
─大通り・広場近く─
[広場に向けて歩いていたが、ちょうど境界に差し掛かるところで、上からカヤが降ってくる
それに少々びっくりするが、それと同時、広場の方から聞こえてくるよく通る声
きょとりとした目で声のした方を見やり]
……あれって、エルザさんの声?
って、カヤちゃん…………どうかした?
[呆とした表情をするカヤに問いかけ]
─広場・噴水傍─
信じるも信じないもお前の自由だ。
俺は”真実を表に伝える”と言う制約がある。
情報に関して嘘は言わん。
それだけは覚えておけ。
[視線は紙片に向けたまま]
[紫煙混じりに言葉を紡ぐ]
自衛団の手段に問題あり、か。
正しくだな。
このまま保護と言うことは、解決までは出してもらえんと言うことか。
自分が捕まらんよう気をつけなきゃどうにもならんな。
依頼内容は情報の共有だったか。
ならこれも教えておこう。
自衛団長から直接聞いたお墨付きだ。
[紙片の内容を出せる程であるなら行商人もひとまずは信用出来るだろうと]
[青年に伝えた実行犯の人数と街の有力者が関与している可能性を伝える]
もう一つ、消えたガキについて。
あのガキが消える直前、誰かに会っていた節がある。
その人物までは特定出来んが、『ベッティ』と呼ぶ声を聞いたっつー証言が出た。
聞けばあのガキ、本名はベティっつーらしいじゃねぇか。
名を呼べるほど親しくて、『ベッティ』と言う愛称で呼ぶ人物。
……かなり限られるとは思わんか?
[そこまで言って、ようやく視線を上げ行商人へと隻眸を向けた]
[その後に行商人は青年の姉の下へ向かうと断わりを入れ]
[傍から離れて行く]
そうだな、シロと分かってる奴を連行されるのは困る。
冤罪を重ねるのは自衛団のためにもならんしな。
俺としてはネタになるがよ。
[この状況でも軽口を言うのはその性格からか]
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