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[談話室で一触即発の頃。
カヤは身軽に寮内の保管庫に滑り込んでいた。
食べ頃の洋梨を広げたマフラーに包み、斜めに背負う]
ん、これくらいでいいかな。
あまりたくさんだと重いしね。
[自分の分は味見も兼ねて既に食べた。
腹の足し程度になるといいなと希望的観測しつつ戻りだす]
[カルメンにぺしっとはたかれた菫色ふわふわに視線をやると、なんだか大きくなっている気がした。気のせいだと思いたい]
確かに魔法を使うのは危険みたいですね。
別のところにまとめて移動させても、その倍に増えそうな気がします。やっぱり一匹一匹地道にどかすしかないのかしら。
[わしっと目の前のふわふわを掴み、談話室の窓を開け、外に放り投げた]
ここは魔法学院…魔法なんてそこらぢゅうにあるしねぇ…
[何もしなくても増えていくのだろうとゲルダの答えに同意しつつ]
あ…ゲルダちゃん…アーデルハイドさんに怒られない程度にねぇ。
[暴れて備品が壊れたら大変とか]
―一方その頃 中庭―
ほんとうに。
どこもかしこも、いっぱいみたいだ。
[流れ流れて辿り着いた中庭のあちこちにもふわふわ。
他の人たちは避難したのか姿は見当たりません。]
[浅黄もふをもふった。もふもふ。]
むしろ、いない方がいろいろ平和なんじゃないのかなぁ…。
[ぽそりと言った!居ないのをいいことに要らん事言った!]
確かに正確な原因は分かってないけどぉ。
ちょ、ちょっと大きくなっちゃっただけよ、うん。
これなら潜りこむような悪さしないわ?
[そういう問題じゃありません]
攻撃なのかしら?
ちょっと度を越してじゃれついてるようにも見えるけど。
[度を越したらそも問題な気がしなくも無いが]
…う。
いやほら、相手ゲルダだし。
戦ってないですからね、先輩。
[ウェンデルの言葉にちょっと詰まりながら言い訳を。
思いっきり防御するつもりでマナを集めてたのは内緒である]
―食堂―
うわ、もこだらけ!
中にもふっとしたら気持ち良さそうだなぁ…。
[ライヒアルトとイヴァンの後をふわもこ抱いたままおっかけて、たどり着いた食堂の感想はそんな感じ。]
にしても何かすごいみぃみぃ鳴いてるねー…。
何だろ?何か言ってるけど聞き取りにくい…。
[実際にふわもこが鳴いているわけではないのだが。
どうにも勝手にふわもこの微弱電波を受信しまくっているような。]
[とかぶつぶつ言いながら、ライに何でといわれて。]
だ、だってあっちに居たらゲルダさんにこの子まで叩き出されそうで…。
[これこれこういう経緯ですと返しながら。
イヴァンの名乗りと注意には、こっくりはーいと頷いた。]
ええと、竜と契約してるって事は、ゲルダさんと同じ学科です?
[言いながら、ライからトレイを一個もらおうと、食堂へダイブ。]
こんなに増えちゃって、どうするの?
[首元のちびふわに聞いてみるのですけれど、
あんまりよく考えてないみたい?
どうしたら戻るかなんて、わかっているのかしら。]
でも、こうして生まれ出るものは仕方ないわぁ…生まれるものには責任はないものなのよぉ…
[とクロエにいいながらも突進されたら危なそうな大きさの山吹色のふわふわを外に出す。こっちは外に出しても構わないと思ってるらしい]
あら?ゼルギウス君ったらまぁ…聞こえちゃうわよ
[ぼそりと呟いた声にくすくすと笑った。
だが実際あの寮母ならそれぐらい地獄耳でもおかしくないだろうと思ってるのもあるかも]
[ふと辺りを見回してみますと、
世界樹のちかくにこんもりとした山がありました。]
‥‥‥‥‥?
[おそるおそると、近寄ってみます。]
[横にもぞっと動いてきた大ふわふわを横目で見て。
さてどうやって外に出せばいいのやらと悩んだりもするわけだが]
魔力は確かにそこら中に。
場合によっては自然に集まるものでもありますしね。
となると…無限増殖?
[流石にそれは困ると思ったらしい。
カルメンの言葉にちょっとだけ顔が白くなった]
……アーデル姐さんに殺されるような無茶はしないわよ。
[カルメンの突っ込みにぼそりと一言。
ゼルギウスのぽそりには、それなんて死亡フラグ、と思った。思いっきり思った]
潜り込む潜り込まないじゃなくて、そもそもこんなにもさもさふわふわしてたら、あたしたちの生活スペースが圧迫されるでしょっ!
……とにかく、そこら転がってるのは、表に放り出すっ!
[ふわり。
右手を中心に灯る、紅い光燐]
…ここでも叩き出すことに変わり無いが。
[ベッティの返答ににべもなく返す。
両手にトレイを構えると、下から掬い上げるように、尚且つ風を巻き起こすように動かして、ふわふわを窓の外へと追いやる。
風に乗ったふわふわはその流れのままに窓からどんどん出て行った]
[外に掬い出したふわふわから『キャー』なんてテレパシーが聞こえたが無視]
おお、ベッチー、ふわふわの声が聞こえるんかい?
[少しはマシな覚え方ですがはい]
いや、俺は雷撃学科さ。二行以上の呪文が覚えられないから転科したんさー。
[にこにこぱ]
そうねぇ…ふわふわにとってはここは、とても居心地のいい環境じゃないかしら?
困ったわねぇ…
[少し顔が白くなるローザに答えながら、はぁ…と嘆息。ただ声の響きからは困ってる様子はないのは相変わらずで]
ええ…上手くやるのよぉ。ゲルダちゃん。ふふっ
[とゲルダの呟きには頷く。基本的にはそれぐらいの融通はいいでしょとか思ってる]
[きっぱりはっきり言われたライアヒルトの言葉にガーンとなりながら。
とりあえず持っていた薄青色のふわもこだけは飛ばされないよう死守。]
だ、だめー!うちのピノ君だけはー!
[すでに名前までついている。
ぶん投げられたトレイは、うひょぁとか言いながら両手でキャッチ。
ふわもこピノ君は自主的に頭の上に避難した模様。]
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