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[すでに、捜査は終わっているのか、部屋の中は閑散としていた。
一日前と変わったことといえば、
シーツが新しくなったことと、
クローディアがここにはもういないのだということだけ]
・・・。
[フラフラと、部屋の中に入り込むと、机の上に宝石が散らばっているのが見えた。
それは、自分が持ってきた宝石。
それから、クローディアが大きな力を持っているのだと話してくれた大きなトパーズ。
それらが、まるで血にくすんで、鈍い光を放つように鎮座していた]
・・・こんなものさえ見つからなければ・・・貴女は・・・。
[フラリと。
まるで導かれるように、主のいなくなった宝石を手に]
[シャロンが気が付いた]
[それを感じて薄く笑う]
目覚めなさい。
新しい占い師。
星占の娘の力を引継ぎし者。
[低く低く]
[囁く]
[その途端、先ほどまで沈静化していた頭痛が、さらに激しくシャロンを襲った]
・・・これ・・・は・・・!
[意識の全てが開放される感覚。
何かが、シャロンの中で目覚めた]
・・・分かる・・・うん・・・分かるよ・・・クローディア。
これが・・・占いの力なのね・・・!
分かる・・・分かるわ・・・。
貴方達、狼の囁きが。
つまり、占いとはこういう力だった・・・というわけね!
[シャロンが、クローディアから力を受け継いだのだと、歓喜したように震えた]
うふふ・・・うふ・・・
ありがとう、クローディア・・・。
貴女の力―――確かに私が受け継ぎました!
[ギュッと、力強く大きなトパーズを握り締める。
絶対に、手放さないように、強く]
[アンジュにせがまれ占いを披露して。やはり先日のように集まる人が多かった。しかし先日とは違い、皆切羽詰ったような雰囲気を感じる。崖崩れの復旧がなかなか進まないせいなのか。それともクローディアの話が広まったせいなのか]
ああ、もうこんな時間。
暗くなってきたしお開きにしよう。
[集まってた人達に告げて店じまいする。アンジュも最後まで残っていたが、迎えに来た母親と共に帰って行く。その姿を少し懐かしそうに、羨ましそうに眺め。荷物を持って宿屋へと歩みを進めた]
(だけれど、この力が使えるということは、貴女は本当は占いたくなかったのね。
人狼の心が分かるなら、人狼が暴れるかどうか分かるはず。
なのに、火に油を注いだバカな人間が―――いただけ。
そんな人間のせいで、貴女は死んだ。
ああ。そう。
人間が、人間なんているから貴女は死んだのね!)
[肩を竦める]
あら、まあ。
これはまた。
[先ほどの作った声音とは違う]
[エリス本来の囁き声]
おはよう、シャロン。
それとも別の名前で呼んだほうがいいのかしら?
[クスクスと笑う]
・・・うふふ・・・。
聞こえる・・・?
狼さん、私の囁きが?
私は占い師。
だけど、
人間であって、人間の味方をしない。
囁けるけど、人狼ではない。
私は占い師。
どちらがわでもない、私。
だけど、手伝ってあげる。
人間を殺すのを。
人間さえいなければ、私のクローディアが死ぬようなことも無かったのですからね・・・?
うふふ・・・うふ・・・。
シャロン。
いいえ。
それは、今までの私。
これからの私は、ただの占い師。
名前なんて無い。
それでも、私を名前で呼びたいのなら、好きな呼び方でいいわ。
[閃く夢は黒と紅、その二色に彩られ。
揺らぐ、揺らぐ、ゆらゆらと。
黒は闇、紅は……血の色彩。
目を閉じても広がる色彩、それが兆していたのは──喪失]
……や……。
やだ、やだ。やだ……。
[その二色に飲まれるものと離れたくなくて伸ばした手は空を切り。
求める手の代わりに……振り下ろされたのは、全てを引き裂く鋭きもの]
─宿屋・2階─
……っ!
[不意に、訪れる目覚め。
見ていた夢は、鋭いものに切り裂かれるように、途絶え。
文字通り跳ね起きたベッドの上で、荒く、息を吐く]
……ゆめ……?
[呆然と呟くその様子に、黒猫が不安げな声を上げた]
[宿屋に足を踏み入れると静かなもので。ああ、他の人が居ないのか、と一人ごちる]
マスター、パンとサラダとスープ、お願いね。
[カウンターの席に座り、主人に注文する。昨日の今日、愛飲しているワインや肉料理を食べる気はしなかった]
そうね。
人間さえいなければ、こんなことにはならなかったわ。
[思考を巡らせる]
[シャロンは『占い師』であることに固執している]
[それならば表に出てくれるだろう]
いいえ。
貴女は貴女だわ。
これからよろしくね、「占い師の」シャロン。
それにしても……また、あの、夢……。
ずっと、見なかったのに……どして……?
[額に滲んだ汗を拭いつつ独りごちる]
……うわ……汗だらけ……お湯、使わせてもらった方が、いいかな……。
[治療道具を持ち込んだ時、泊まる可能性も考えて着替えも持ち込んでいたのは、良かったのか悪かったのか。
そんな、どうでもいいような事を考えつつ、ふらつく足取りで、下へと下りて行く。
その後ろをついて行く黒猫は、どこか心配そうに少女を見つめていた]
よろしく、フラン。
ん。
貴方こそ、別の名前で呼んだほうがよろしいかしら?うふふ。
[狂いながらも、狂人には狂人なりの論理があって。
シャロンは、フランに他の名前があるのを気づきながらも、微笑しながら言った]
業務連絡です。
バファリン発生により、時間進行をどうしようか考案中です。
村立ての日記へのコメントか、メモにて反応をお願いします。
………。
協力してくれるのなら明かしましょうか。
[薄く微笑む]
[これに気が付けるということは…]
[だがそれは口に出さず]
私の名はエリス。
こちらで呼んでくれるならそれでもいいわ。
[階下に下りれば、どこかがらんとした1階に、主人と、食事をするディーノの姿があり]
こんばんは……。
マスター、お湯、使わせて……。
[お湯使わせてくれる? と、問おうとした矢先に。
昨日も感じた目眩が襲って]
……あ……あれ?
[惚けた声を上げつつ、その場に座り込む]
/中/
…24h進行か。どうしましょうかね。
確かにクレアがいなくなると、色々な意味で難しくはなる。
けれど48hでもそれは一緒かなと思ったりもするのですが。
シャロンはどう考えます?
今後の展開についての考え方も含めて。
[もぐ、とサラダを口に入れたところで声が聞こえ。飲み込んでからそちらを振り向く]
あ、エリカこんば……って、大丈夫!?
[様子がおかしく、座り込んでしまうエリカを見て慌てて立ち上がり、傍に駆け寄る]
そう。
もう一つの名前はエリス。
いい名前じゃない。
今度からそう呼ぶことにするわ、エリス。うふふ。
[シャロンが、微笑を貼り付けたままで、そんなことを言った]
さて。そんなことより、大事な質問が一つ。
[先ほどとは打って変わった堅い声で]
貴方の仲間の狼。
私には誰だったか知らないけど―――死んだのね?
別にそれでどうこう言うわけじゃないけどね。
ただの確認。
だから、「はい」か「いいえ」でだけ答えてくれればいいわ。
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