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ん?
[彼岸のやり取りには、付き合いきれぬと思ったか。
いずれも主張譲らず、平行線となるのは目に見えているが故。
その分、現世に向いた意識は、異変を捉える]
……蒼花?
[只ならぬ様子に、声に微か、案ずる響きが込められた]
いや…いやだ…!
[子供は手を伸ばす、朱花の主にだったか、それとも見えぬ何かにだったか]
消さない、で……!!
[顔を歪め、子供はひくりと身体をのけぞらせて、そのまま、がくりと崩れ落ちる]
[エーリッヒに遅れてヨハナさんの下に寄り]
ヨハナさん、
いつも只者じゃないとは思っていたが…
[その先の言葉は続けられず]
じゃあな、ヨハナさん。
[すでに事切れたヨハナをベッドの上に寝かせて胸の上で手をくませた。
悲鳴が聞こえ振り返る、その途中ゼルギウスの姿が見えたであろうか?]
[激情に突き動かされる今のウェンデルに痛みはない。
ただ、身体が熱く、頭がくらりとした。
それすら、花により齎されたものかも分からない]
本当なら、これで…終わり?
[自分の零した声。
確認するように、朱花と蒼花の二人を見つめ。
その片割れから響く声は悲鳴。
二度の瞬きの後で近付き、腕を伸ばして身体を抱きとめる]
なに、なんで…?
[ざわりと、心が騒ぐ。
それは、エーファの顔半分を覆う色に気付いてしまったから]
[傍で上がる悲鳴]
[それを心地よいと思ったか、煩わしいと思ったか]
[真紅を向けるだけで手を出そうとはしない]
[消さないでと青灰は叫んだ]
[それが何を意味するかは分からないが]
[その言葉を最後に青灰は崩れ落ちて行く]
[支えようとする手は出なかった]
[広がる蒼。
それは、侵食するかのようにも見える]
文字通りの、呪縛……だな。
『象徴』たるもの。
全てを負わされるもの。
[だからこそ。
そのあり方に。
折れぬようにと。
それは、友を重ねてのことだけれど。
力になろうと]
…………。
[歯がゆい。
ここに来て、始めて。
そう、思った]
[息絶えたヨハナをマテウスが運ぶ]
[胸の上で手を組んで横たえられたヨハナの表情は穏やかだった]
[悲鳴に振り返るマテウスに真紅を向ける]
[彼もまた俺を必要としないのか]
[それとも裏切らずに居てくれるのか]
[この場のこととは全く関係のないことが頭を支配した]
…なら、この証は、何のために――
[己の左手を掴み、酷く顔を歪め、吐き捨てる。
子供の顔を半ば覆う蒼の花に向ける眼差しすら憎しみに似たものを孕んだ]
二重人格というやつか。
[ライヒアルトとアーベルの会話から、何となく察する。
イヴァンとベアトリーチェの会話には、あれ以上口を挟まなかったが。]
…少しは落ち着け。
[ぽすと後ろ頭を軽く叩いて止めた。]
そういうコト。
それにオレが出てても、他の奴からはアーベルの行動にしか見えねェからなァ。
[納得する声]
[視線を遣り]
おやおや。
[悲鳴]
[面白そうに][眺める]
おい!?
[エーファの言葉は意味を解することが出来ず。
ゲルダが支えるのを見て、何があったかとそちらに寄る]
……あ……?
[間の抜けた声が零れた。
倒れた子供の顔に脈打つ、蒼炎花。
振り向き、朱花の持ち主を見る]
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