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[薄らと細まる瞳
じっと窺っていただけに小さな変化にも気付く
笑っているように見えて、少女も釣られ微笑。]
…誘惑のめいきゅう?
[本当に小さな声で、呟いた。
歌の内容は良く解っては居ないが。
ただ、綺麗だと感じるから詩手の動きを追う。]
…
[クルト、ヒルダ、と一拍遅れて同じ人を見る]
・・・、・・・。
[ゲルハルトの厳しい表情と言葉にオロオロと視線が揺れる。
けれど口を出すことなど出来るはずもなく]
・・・若様。
[小さな声が零れたのは二人が木立の中へと分け入った後]
万一、って…
それだと、イゾルデが濡れちゃうじゃない。
[今度は困ったように、口を尖らせる]
確かに、その。嬉しい、けど…
私の代わりに、って。いうのは。
なんだか、やだ。
『ちょ、ギースったら。
ダメだよ、そこは我慢しないと』
[笑いを堪える仲間の様子に、たしなめるよに言うものの。
ミステル自身の声も、どこか楽しげな響きを帯びていた]
……だ、だいじょうぶ、なの?
[そんな妖精たちの様子に、少年は思わずぽそり、と突っ込みを一つ]
た、楽しそうって、えと、えーと。
[なんか困っているらしい]
うん、みんな綺麗なのは確かだけど……。
[そこはしっかり、肯定した]
―回想―
えー、俺が面倒見られる方なの?
イズーみたいに器用じゃないけどさ。
[やっぱりそこは気になるか。
口をとんがらせながらも、ヒルダと手つなぎ森の中]
そうだね、あっち。
マリオンも覚えてるし迷いはしないだろ。
[幼馴染に頷いて、ヒルダに手引かれ川へと走る]
・・・あ、はい。
きっとお仕事のお話ですわ・・・。
[少年にまで心配させてはいけないと、小さく頷いてみせる。
落ち着かぬ視線が辺りを巡り、青い小鳥と目が合った。
語られる言の葉と、「ち」と鳴く声に眉が下がる]
[皆が居る場所から離れ行くゲルハルトとホラントには気付けず。
意識は目の前のマルガレーテへと向けられたまま]
その時はその時さ。
僕はマルガレーテがびしょ濡れになるよりマシだと思ってるから。
…やだ、って言われちゃうと、流石に困っちゃうよ。
[口を尖らせる様子に苦笑も零れたままに]
なっ!大丈夫だよぅ!
この金魚のにーちゃんくらい!
[ホラントの、口をぱくぱくさせる様が金魚そっくり。]
ぜーんぶ、目に焼き付けておくんだよ。
こんなにつき様のご機嫌がいい日なんて、めったにないんだから。
”満ちては欠ける
宇宙を行く神秘の船
[音色は唐突に転調する。
三拍子の音を覆うように長く伸びやかに]
変わらないものなど無い、と
語りかけてくるよ”
[声を上げたヴェルナーへと流れて。
また、伏せられる]
[開く瞳はアナに落ちる。
再び同じ音色に戻るまでを細めた瞳が添って]
……お仕事の話?
んじゃ、邪魔しちゃダメ……だよねぇ。
[こてり、と首を傾げて。
落ち着かない様子に、持っていたランタンを一度、下へ置き。
肩には手が届かないから、なだめるように腕を軽く叩いてみた]
ん。
[少女に声を掛けられ、振り向く。]
はい、アナちゃん?
[見れば、傅く騎士の姿はなく]
おや、どうしたんでしょうか……
[視線を彷徨わせると、ゲルハルトは丁度ホラントを従えて木立へ入るところ。]
[刻まれる円舞曲に、舞う紅の衣を見つけたのなら、そちらにも、にへらと]
ツィンカくんもキレイなのだよ、うん。
あれだね。
旅人として、僕も一芸身につけるべきか悩むところだねっ!
[普段よりも抑えた声は、未だ紡がれる歌に配慮して。
そうして、また微かな声で同じ歌をうたう。
ルイの視線に気付いて、少しだけ照れたような笑みが浮かんだ]
金魚のにーちゃん、って。
[どんなだよ、とちょっと思った。らしい]
『ああ、確かに月の機嫌は最高にいいからね。
こんな夜は滅多にないよ、素敵な銀月夜だ』
[口調だけはのんびりと言いつつ、ミステルは周囲を見回す。
大丈夫かな、おかしく邪魔は入らないかな。
漂うのは、そんな雰囲気]
噂好き ホラントが時計を進めました。
[ゲルハルトとホラントに気付かず。
口を尖らせたまま、遠くを見つめていた]
そりゃあ、あたしもびしょ濡れになりたくない、けど。
だからって、イゾルデがびしょ濡れになっても良い、ってことじゃない、よ。
[カタ、と、手の中のランタンを揺らし]
どうしても、って言うなら。
川よりもう一歩。こっちで歩いて。
―小川―
さすがは詩人さん。
[月下で歌うルイを見て、少しの間聞き惚れた]
でもヒルダさんも上手だね。
[小さく口ずさまれる歌を聞き、ヒルダを振り向きにこりと笑う。
深刻そうな空気にはまだ気づかないままでいた]
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