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「えとね、おみやげー」
お土産、って。
[差し出されたのは、翠と紫。
果樹園で、ナターリエと共に採って来たのだと聞けば、自然、笑みが零れて]
……そう、か……ん、ありがとな。
[時空竜の目と同じ、と楽しげなセレスの様子に、緊張はやや、解れたか]
まだ、貰っていないものがあるから。
一つ目の目的は達したけれどね。
[宙を彷徨う手][眺める眼差し][冷たい。]
嗚呼。
そう。
解ったから、“僕”が此処に居る。
君達の言う“アーベル”はその為のものだったから。
あのまま自我が育ったら、困った事になったけれどね。
「ね、時空竜」
……ん?
「……大丈夫、だよ、ね?」
……ああ。
[どこか不安げな問いに、一つ、頷く。
翠と紫には、決意の色彩]
壊させやしない。
傷つけさせも。
……そして……俺は、死なない。
[碧を撫でつつ、静かに宣するは、決意の一つ]
もらってない、もの?
……ひとつめの、もくてき?
< 猫は、何がなんだか、わからなくて、じっと、彼を見ました。
つめたい。
心の中まで、凍えてしまうような。
ためらいがちに握られた手を、開いて、その頭の方に、のばしました。 >
…アーベル、じゃないの?
あなたは、誰?
……アーベル、は?
世界には、あらゆる声が満ちているのが常だったからな。
こう、声の聴こえない場所は…或る意味では貴重だよ。
歓迎すべき物では無いがね。
…事が済まなければ。
出る事は――少し、難しいかも知れぬな。
[小さく苦笑を零す。 肩へと止まった鴉を一瞥すれば
相手の後に続くように、一歩踏み出して。]
いや、手間など構わぬよ。興味本位で廻った所だったからな。
此処で迷ってしまっては――
事が終ってからでも、出れぬかも知れぬぞ?
[冗談まじりに、けらりと笑って。
無機質な通路へと足を踏み入れる。ふと、思い出したように]
そういえば、御仁は噂の機竜を見たか?
「それ、当たり前なのー!」
……はは……わかってますよ、と。
でも、このくらいの決意がないと、な?
「きゅ〜……時空竜は、わるいこー」
ん、そうかも……な。
[零れるのは、ただ、苦笑のみ]
君達の、ちから。
[伸ばされた手]
[眉を顰め、]
[躊躇い無く 払った。]
……触らないで呉れる?
“僕”も“彼”も、
アーベルと呼ばれる存在だ。
同じで、違う。
[その後、いくつか言葉を交わして。
……セレスは少し、機嫌を損ねたりもしたようではあったけれど。
それを笑って受け流しつつ、眠りに落ちて──翌日]
―ファクトリーエリア―
< 手を払われて、猫は、驚いて、まっさおな目を向けました。手を、自分の方に、ひきよせます。
だけれど、つづいたことばに >
エテルノと、ノイ、と、おなじ?
< 少し、かんがえながら、口にして >
……アーベルは。
ひとりが、いっぱいで、だけど、ひとり?
ふほんい?
< 何が、不本意なのか。
猫にはまったくわからずに。 >
……アーベル、は?
さっきまでの、アーベル、が、嫌い?
─二階・自室─
[目を覚まし、最初に確かめたのは呪印の具合。
痛みはなく、それなりに安定している様子に、一つ安堵の息を吐く]
……ヴィンター、悪い。少し、頼む。
「……まったく」
[処置なし、と言わんばかりにばさりと羽ばたく白梟に苦笑しつつ、癒しの光を印に受け、痛みを抑える]
さて……んじゃ、どうしたもんかね。
[落ち着いたところでぽつり、零れたのはこんな呟き]
いつも聞こえるものが聞こえない場所、確かに貴重だな。
常に聞こえるものが煩わしいと思うなら、歓迎しそうになるかもしれないが。
俺もここは歓迎出来ん。
[風の声が少ないから。風により情報を得ていた自分としては、手足をもがれたかのようで。気分の良いものではない]
事が済みここから出れるのが先か、界が揺らぐのが先か。
事が済むにしてもその行く先がどうなるのか。
見通しが出来ないな。
あー…出れるようになっても出れなくなるのは、勘弁。
[うへぇ、と嫌そうな表情。きょろきょろと見回しながら問われる言葉には]
ユーディットの鏡でちらっとは。
直接は見に行って無いな。
[鏡で見た機鋼竜の姿を思い出す。訊ねたいことはあるのだが、果たしてあれは答えてくれるのか]
[しばらく行った先で、足がぴたりと止まる。とある部屋の前。何かを感じるのか、その扉の奥をじっと見るように]
/*
何このアベぽん。
めっちゃ個人的にツボクリティカル…!!(ごろり)
可愛い!ヒネてて、でもかわいい…!
頭撫でくりしてやりたい…!(犯罪者が此処にいます)
……嗚呼。
精神の竜か。
あれには、礼を言わないとね。
おかげで、思い出せた/解った。
けれど、あれとは、また違うよ。
君に理解出来るように説明するのは時間の浪費だ。
故意であれ無自覚であれ、
己を消そうとした存在を好きになれるものか。
“彼”こそ、僕にとっては理解出来ない事だらけだ。
…たしかに、おれは、くわしくないけど。
< 今までのアーベルでは、言わなかったことでしょう。
そう思って、猫は、あおい目で、ただ、彼をみました。 >
アーベルは、
いまから、
……なに、したい、の?
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