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―ニ階・客室―
[ 浴場から持って来たタオルを机に敷き、其の上に濡れた品物を並べる。嵌め殺しの窓の向こうに広がるのは烏珠の夜。今宵は、月が見えない。]
しっかし……。
[ 小さく声を零して口許に手を当てる。
想起するのは森の奥に見た彼の金色の双眸。幻覚だったのか現実だったのかは解らず、未だ誰にも話していなかった。雨の所為で其れどころでは無かったというのが大きいが、容易に口外する気にもなれない。]
[テーブルに戻って、チョコレートムースを取り分けつつ。
ルーサーの問いに、そちらを振り返って]
デザートのチョコレートムースですよー。
[答えつつ、自分の分をがっちりと確保]
酒場の看板娘 ローズマリーは、牧童 トビー を能力(占う)の対象に選びました。
[やって来たルーサーに軽く頭を下げ]
…ホットミルクは嫌い?
[と訊ねるでもなく訊いて。
気になる、との言葉には頷き]
そのうち分かるとは思うけどね。
[と返し。
その後に続く言葉に、以前言っていた秘密と言う言葉を思い出す]
そう?ならもう訊かないよ。
秘密の一つくらいは…って前にも言ったかな?
…嫌う理由がないから、嫌いにはなれないな。
[ローズが何に不安を抱いているのかは分からなかったけれど、少しでもそれを軽くしようと、笑う]
おやおや、大丈夫ですか?
自分の飲める量はきちんと把握した方がいいですよ、コーネリアスさん。
[のほほんと微笑む。]
……んー。二日酔いには梅干を入れた番茶が効くらしいのですが。
この屋敷に梅干や番茶があったかどうか。
―厨房―
[立ち上る湯気は何か煙のような香りがした。珍しい香りだと思う。
やがて淹れ終え、トレーにカップを乗せて広間へと戻る]
―厨房→広間―
まあ、ホットミルクには嫌な思い出がありましてね。
ミルクティーやココアも受け付けないのですよ。
シチューは平気なのですが。
[特に気にした風もなく、ナサニエルに答えを返す。]
あ、どうも。
……ふー。やはりこの匂いは落ち着きますね。
[煙に似た匂いを吸い込み、ほうとため息。]
[秘密、と自分で言って、ちり、と胸が痛む]
俺の旅の話…人には言えない事。
それを知っても笑ってくれるんだろうか?
金に困って自分を売った事。
そして…身を守るためとはいえ人を……
あの時の男の遺体はどうなっただろう?
……男…いや、あれはきっと人の姿をした、何か。
獣と思ったから、殺した。
そうでなければ、俺が……だから、殺した。
もう、あんな事はしたくない、けど……
[傷ついた男の反応と言葉を思い出す]
人狼、が、居るというのだろうか?
―広間―
そのうち、わかるのかしら?
[本当は、違うことはもうわかっているけれど。
それから続いた言葉に申し訳なくなる。でも、わたしがそれを今、口にすることは出来なくて。
たとえ周りが知っていたとしても]
ありがとう。本当に、嬉しいわ。
あなたは、優しいひとね。ナサニエルさん。
[安心させるように、笑ってみせよう。]
[ 静かに響く雨音を耳にしながら部屋を後にすれば、慣れない下駄で廊下を歩み階段を降りていく。一歩間違えれば盛大に転びそうな気がして、此れを履き熟す東洋人は偉大だ等と少し間の抜けた事を考えつつ広間へと向かえば、賑やかな声。]
……今晩和。
[ 逡巡の後に扉を開き、軽く会釈をする。]
今日も大勢の方がいらっしゃるようで。
[二日酔い、の言葉に無意識に眉をしかめる。]
おいしいものが食べれなくなるまで、飲まなきゃいいのに。
[いくらかきつい口調で言うと、すこしだけ表情をやわらげて、声をかけて来た牧師の方に首をめぐらせた。]
ウメボシ?とかナントカ茶は良くわからないけど、確かに、クリームよりもお茶の方が二日酔いにはいいと思うわよ。
…今宵よりは、明日…でしょうかね。
[長くここで暮らしたゆえか、屋敷の構造は把握している。
天井裏すらも。
どう動けばもっとも効率よく、そして面白いことになるだろうか…それを緻密に考える。]
[梅干しを入れた番茶、という言葉が丁度耳に入る。
ありましたっけ、と問おうと使用人の姿を探すと、既に厨房へと向かっているところであった]
…ま、自重しますよ…。
[多少反省しているのか小さくため息をつき、
からころと(多少ぎこちなく)鳴る下駄の音に目をやってクスリと微笑む。]
おや、これは風流な。
まあ、私には必要のない薬ですがね。
何せ私はうわばみですから。ふふふ。
[ヘンリエッタに笑いかけながら、ラプサンスーチョンを啜る。]
ヘンリエッタさん。
お酒の飲みすぎも良くないですが煙草も良くないのですよ。
味覚が鈍くなってしまいますからね。
おいしい食事をしたいなら、煙草は吸わない事をおすすめします。
[まあ、まだ煙草の吸えない年ですから関係ないでしょうが。と付け加え。]
[デザートの甘さにほんの少し、張り詰めていたものが緩むのを感じつつ。
聞きなれた声に振り返って]
…………。
[沈黙、数瞬]
……ハーヴェイ、どしたの、そのかっこ?
[何となく、想像はつくけれど。敢えて聞いてみた]
[ヘンリエッタがそう言ったのに呼応するように、使用人の少女が茶器を牧師の前において行く。
紅茶にしてはいささか特徴のある、薬じみた匂いが鼻を突いた。]
……へんな匂い。
[それを口にし、ため息を吐く牧師をもの珍しそうに見る。]
[ コーネリアスを見遣るほんの一瞬に其の黒曜石は眇められるも、直ぐに人当たりの好さそうな表情へと変わり以降銀髪の男へと視線を移す事は無い。]
明日……、か。夜雨に紛れた方が好いと思うが。
[ 尤も、と後に付け加えられる言葉。]
騒ぎにしたいのならば話は別だけどな。
[ミルクティーもダメとの言葉に少し驚き]
…重症だな、それ。
[とぽつりと。
ミルクティーは美味しいのに、と付け足して。
優しい、とのローズの言葉には軽く首を振る]
俺は優しくはないよ?
……俺にも言えない事がある、だから訊かない。
君が笑ってくれるなら、いくらでも優しくなれると思うけどね。俺は。
[それは半分は社交辞令で半分は…だけどそれは胸の内に隠しておこう、と。
旅人に好かれても、寂しいだけだから]
/中/
しまった……。文化圏についていけてないorz
浴衣と言う言葉は、共通言語として有るっぽい。なら、番茶も梅干も皆知ってておかしくない。
ん、貧乏なので、舶来品など目にしたことがないのデスヨー。
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