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−客室−
[午後に目覚めてから。
女は開け放したままの窓辺で、ゆぅらりと煙管をふかしていた。
立ち昇る紫煙は爽やかな初夏の風に攫われて、競い合うように香る花々の園までは届かなかったろうか]
…アラァ、もゥお仕舞いですのゥ…つまらないことォ。
[庭園に居た金髪の美しい一対を見送り、呟くはそんな言葉]
[先日は、邸の主がいた位置。
全員に声が聞こえるように、執事はその場所に立ち、
深々と腰を折って礼をすると、テノールを響かせる]
皆様、お食事中、失礼致します。
大変お待たせしてしまい、誠に申し訳御座いません。
[顔を上げれば、そこには笑みはなく、真摯な表情]
[やはり毎度というか。野菜を退けているが、しつこく言うのもなんなので言う気もおきず。
無言で頭をぽむぽむしたのに不思議に思ったのだろう、フォークを加えたままこちらを見るブリジットに]
んー……なんか暗いというか重いからよ
[と、要領を得ない、答えになっていない答えを返し、そうであることを自分でも気づいたのだろう、目を逸らすと、体を小さくしながら入ってくるイレーネが見えて
こっちにおいで、という合図もこめて軽く手を振る]
[お気になさらずに、と言われれば、それ以上追及するのもどうかと思い、それ以上は問わず。
かわりに、という訳ではないが、朗々たる声を響かせた後の真摯な表情に、こちらも表情を引き締め、次の言葉を待つ。
話されるであろう内容には、既に察しがついてはいるのだが]
[執事が深く頭を下げるのを見れば、やはりただ事ではない、と居住まいを正して]
……では、話していただけるのでしょうかの?
[それは問いかけと言うよりは確認のような呟きで]
中/
ん〜。俺が一番絡んでいないのは、ユーディットかなー。とかぼやきつつ、そういえばイレーネとあんま絡んでいないとか。
んー。どうしよ。投票先
全然考えていませんでした
[老耆の呟きに、執事は大きく首肯する]
単刀直入に、まずは事実だけを申し上げましょう。
[ゆっくりと周囲に視線を巡らせ、細められる孔雀石の眼]
『永遠のオルゴール』が失われました。
恐らくは、何者かの手によって。
そして同時に、主――
ギュンター=オストワルト様の魂が、奪われました。
…なんとなく、分かるけど…
[ユリアンの言葉に目を瞬かせながら、小さく呟く。
別に嫌と思うことはなく。
ただ、それで、なんであたしの頭なのよ。
…そう疑問が出てきていただけである。
イレーネに軽く手を振る。
…いつにも増して元気が無さそうなイレーネに軽く首を傾げるも、オトフリートの声が聞こえるとそちらの方へと向いた]
中/
とりあえず除外するべきは。
まあオトフリートはいてもらったほうがよさそう。
エーリッヒは何か隠していそうだし、まだ表にいたほうがいい気もする。
ヘルガは色々といたほうがいい気もする。
アーベルとイレーネは…ん〜。どっちだろな。ってのがあるようなないような
ユーディットはオルゴールに少し(?)なのか音楽全般なのかになにかありそうな節がとか。
もうわかんね。
あれが独りでに働く事態は可能性として低い事、
外部からの侵入の痕跡が見られない事などから、
“犯人”はこの邸の滞在者の中にいると考えられます。
[目を伏せながら紡ぐ声は淡々として、感情の色は見え難い]
特に前者の理由に関しては、レーヴェ様にも同意を頂けるでしょうか。
[オルゴールの事に詳しいと判断してか、客人の一人に話題を振る]
[それから、ことさら急ぐことなく晩餐への身支度を整える。
今宵は黒の一揃い――まるで送別の衣の様にも見えるだろうか]
…ゥフフ。
サァテ、皆様どんなお顔をなさるのかしらネェ…?
[幾重にも重ねた仄かに透ける裾をしゃらり鳴らし、部屋を出る。
向かうはホール。
着くのはちょうど、皆が衝撃の事実を知った瞬間だろうか]
─回想─
[今朝のことを思い出す
オトフリートさん曰く、このままほとんどの招待客の方々に真相を隠したまま滞在を促すのは無理であろうとのこと
その言葉に、やはりこのまま隠し通すことが無理だと気づいていたのだろう。ほぼ全員が首肯する
そのあと、とりあえず今日の晩餐の際に招待客の方々には真相を告げること
それまでは、無理を言ってでも留まっていただく事を確認し、その場は解散となった]
そうだよな
[ブリジットに同意を得られれば、やっぱりぽむぽむ。
嫌がっていたらやめるつもりではあったが、そうでもなさそうなので特に許可も得ずにやっている。
別に子ども扱いのつもりも...にはない、というかそもそも年齢詐称にしっかり騙されたままでそのまま深くも考えていないのだから、ある意味無意識の行動でなのだ。
そしてイレーネが自分の呼びかけに応じ来るのを見て、こんばんは。と挨拶を一つした後か。
意識を向けていたほうから語られた。オトフリートの言葉が耳に入る]
[告げられた言葉は、やはり、予想通りのもので。
話題を振られれば、一つ、息を吐いて、頷いて見せた]
過去、オルゴールが目覚め、他者の魂を求めた事は各地に伝承として残されている。
その全てに共通して、オルゴールが動く切欠は、何者かの働きかけによるものとなっている。
……今回だけが例外、とは、思い難いだろうな。
[静かに語る、翠の瞳は冷静で。
それが冗談ではないと、それが端的に物語っていると言えようか]
[執事の言葉に一瞬息を呑み、その後でゆっくりと息を吐き出して]
……なんと。
あのオルゴールが失われた、と?
そして、ギュンターの魂が失われた……?
[「人の魂を糧に歌うオルゴール」…そして失われたギュンターの…その意味する所は]
オルゴールを持ち出したものが、魂を…ギュンターの魂を奪ったのでは、と、そう言う事ですかな…?
それで、ギュンターは……?
[魂を奪われた、と言う言葉に思うのは最悪の事態で]
中/
本当に読めないわネェ…可能性の高いお二人は避けた方が無難そうだわァ。
ユリアンは出来るだけ皆に絡んで行こうとしてるのでェ、残したくもあるのだけれどネェ…。
ブリジットは守護されてる気がしてェ、そちらを狙えないチキンな私ィ…。
っ
[魂という言葉に反応してか身を震わせ、顔を上げる。]
やっぱり・・おじいが。
[呟きを落とす。執事へと向ける蒼が揺らめき、一瞬だけ紅へと変わった。]
[続けられた執事の言葉と、それを受けて、肯定するかのようなエーリッヒの言葉に、軽く周りを見渡して]
この中の、誰か、がオルゴールを奪い、オルゴールを目覚めさせた、と。
そう言う事ですかな?
[俄かにそれを信じられず。
しかしオルゴールについて調べていたという彼の言葉は、それが真実と告げているようで]
[知らされた事実に思わず閉口する。
何か起きているのだろうという予想は当たっていたようだが、本当かよ…と思い、口から思わず出そうになるが、それは留める。
聞き間違いではないだろう事は、周囲の反応を見てもわかる。冗談。というのも浮かぶが、オトフリートが冗談なんてつくのは想像しづらい。
でも一縷でもそう望んでしまうのも仕方ない。そもそもにして...は歌姫がどうとかは伝承なのでわからない。が、純粋な想いがこもっていたことだけは確信を抱いたが、魂が原動力などというのは信じてもいなかったのだから。
でも…昨日からの不振な状況等など鑑みれば…現実を見ろ。と自分に言い聞かせ]
冗談ってわけでもなさそうだな
[と、ぼやきつつ、続くエーリッヒの言葉にも静かに耳を傾けた。]
[研究家の青年の台詞を聞いて、執事は静かに頷く。
老耆の声には、薄く開いた緑をそちらへと向けた]
体温は失われているものの、
微弱ながら、呼吸をしており、脈もあります。
けれど、魂のない状態では……
時間が過ぎれば、取り返しのつかない事態になりましょう。
[少し俯きがちになり、沈痛な面持ち。
それが演技か否かは、見分け難い事だろう]
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