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[フランの言葉も今のシャロンの耳には入らない。
ただ、うわ言のように]
クローディア・・・私の大好きなクローディア・・・
[とだけ繰り返し続けた]
んー、まぁ…多少痛ぇけど、平気平気。
[にっこり笑って見せて、自分の胸を軽く叩き、]
大分楽になったしな。薬…効いたみた…
[突然、階段から聞こえた物音に、ビクッと立ち上がる。]
…どうした!?大丈夫か!!??
うん、タロット占いを少し。
簡単なのしか出来ないけどね。
…母さんがやってたのを聞きかじりで。
[母のことを口に出すと、その表情は少しだけ翳り。しかしその表情もフランの叫びにすぐに消える]
え、何、どうしたの?
[視線を階段へと向けると血だらけのシャロンが目に入った]
…っ!
[聞こえない強い波動]
[でもエリスにも感じたということは――確かなのだろうか]
……今のは?気のせい……?
[突然のことに、少し訳が分からず]
なに、が。
どうなっって。
[声が喉に張り付く]
クローディア…?
クローディアさんがどうかしたの!?
[その血に怯えたように]
[触れることが出来ず]
[うわごとのように繰り返すシャロンに聞き返した]
痛いなら、無理しちゃダメだよ?
中途半端なまま動くと、余計に悪くなるからね?
[笑う様子にほっとするものの、小言づくのはいつもの事で。
楽になった、という言葉に返そうとした直後に、響いた物音に、はっとそちらを振り返って]
え……一体、な……。
[一体何、と。言おうとした矢先に。
ふらり、と。
何故か視界が揺らめいて]
……え?
[僅か、よろめく身体をどうにか支えて、瞬き一つ]
どうした?
〔フランの声に驚いて、階段下まで駆け寄る〕
〔そこに倒れているシャロンの姿に驚く〕
〔一瞬の逡巡…しかし、躊躇している暇は無いと思った〕
〔後で本人に怒られる覚悟でそっと半身を抱き起こす〕
おい!どこか怪我してないか?大丈夫か?
〔と、シャロンの呟きが聞こえる〕
…クローディア?彼女がどうかしたのか?
[シャロンに声は届かない。
ただ、宙を見上げながら、うわ言を繰り返すシャロンの目からは涙が。
血まみれの顔から流れ出るそれは、赤い涙となって零れ、幾つも幾つも、床を汚していった]
シャロンさん……?!
どうしたんですか……クローディアさん……?
[言い知れぬ不安に押しつぶされそうになって]
[その後の言葉を紡げず]
[廊下に飛び出す。
階段へと続いている血痕は、客室の一つから始まっていて…]
…なんだ、これ……。
[階段の上から下を見ると、二人連れの女性旅行者の片割れが服を真っ赤に染めているのが見えた。
気になって、その客室の方を振り向く。]
あの部屋で、なにかあったのか?
〔一瞬、すぐにでも2階へと駆け上がりそうになったが、目の前のシャロンを置いては置けず、目の前のフランに向かって問いかけた〕
おい、フラン。
シャロンは俺が見る。
クローディアを…様子を、見てきてくれないか?
[さっき感じた匂い。気配。赤い血。
うわ言を呟くシャロンの身体に纏われたその匂い。
しかしそれがシャロン自身のものでないのはすぐ知れた。
ランディの声もリディアの声も遠く聞こえる。
――彼女がさっき向かった部屋は?
答えが頭に閃くのと同時に、ば、と身を翻し。
2階への階段へと奔り、駆け上がった。]
そう、クレアも感じたのね。
何か不測の事態じゃないといいけれど。
[目の前のシャロンをじっと見つめて]
[血の香りに酔わぬよう]
[気をつけながら囁いた]
[その部屋の、ドアを開け…]
…な………。
[室内の光景を映したまま、見開かれた目は瞬きすら忘れ。
そのまま呆然と、動けなくなる。]
うふ・・・ふふふふふ・・・
赤い・・・赤いわ・・・
ねえ・・・クローディア・・・貴女は・・・なんでそんなに赤いの・・・?
うふ・・うふふ・・・そうね・・・世界も赤いわ・・・どこまでも・・・赤い・・・
[シャロンがうわ言のように繰り返すクローディアの名前。確かシャロンはクローディアの部屋に行ったはずだ]
……もしかして、クローディアに何か、あった?
[当のクローディアはここには現れず─ここに居る間下りて来ることはほぼ無かったが─、言い知れぬ不安がよぎる]
[ふる、と首を振り、目眩を振り落とす。
原因不明の頭痛や目眩に囚われている場合ではない、というのはわかっていたから]
……しっかりしなさい、もう!
[自分自身に向けて、小さく呟いて。
駆け出したレッグの後を追うように部屋の外へ]
……これ……血……。
[小さく呟き、それが続く先を見やる。
そこには、呆然としたレッグの姿があって]
なに……何が、起きてる……の?
[そっと近づいて、震える声で問いを投げて]
[廊下で驚いた顔のレッグをやり過ごし、血痕が始まるその客室の前に立つ。
ドアは半開きになっていて、中からはシャロンが纏っていたのとは比べようもないほど濃い、血の、赤い匂いが。]
[扉から中に入り、その惨状を前にして。]
[ああ。動物の厭な予感ってのは、当たるもんだな、と自嘲して。一息。]
ワンワンワンッ!!
[階下の連中にも届くぐらいの大声で思い切り吠え立てた。]
[目の前でうわ言を繰り返すシャロンに恐怖心は煽られるばかり]
何……何なのよ………何だって言うのよ……!
[耐え切れず大きな声で]
[瞳の青は震えているようにも見え]
〔宿屋の主人が、さっきエリカから預かった治療道具のセットを出してきた〕
〔リディアに向かって〕
すまんが、俺はシャロンをソファに運ぶから、後の事を頼んでもいいか?
…エリカがいれば、一番いいんだろうが…。
[扉の所にいるレッグを認めて]
[その横から]
グレッグ。
クローディアさんはどうし……。
……キャァァァッ!
[中を覗き込み]
[咄嗟に抑えきれずに悲鳴をあげた]
/中/
やっほう。
気絶できないよ、コレは。
まあ、気絶するようなコではないけどね。
キリングスイッチもわりとゆるく設定してあるし。
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