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[豊かな料理の香りが漂う頃、私の子守唄の旋律は消える。
否、香りから逃れるよに、唄を終える。
育ち盛りの仔に必要な食事を、麒麟である身は忌避してしまう]
……良く眠っていること。
[毛布に包まる心竜を見、零れた声は少し掠れていて。
いつの間にか空であったグラスに吐息零し、立ち上がった。
起こさぬよう、足音抑え外へ向かう]
[外へ出て、心にかかった欠片に一度だけ振り向く。
ノイの言っていた、竜も――オト殿も心配するという言葉]
…いえ、遠くへ行く訳でも、非常時でもありませぬ。
コエを投げて、料理のお邪魔する方がよくはないであろう。
[視線を落とし、白金の環を撫でる。
眠るイレーネへコエが零れたやもとは、思う事なく。
顔を前へと戻し、渇きを癒そうとさすらう]
[ともすれば通り過ぎていたであろう気配に足を止めたのは、ふと何かが揺らいだ気がしたゆえに。
探すよに首を巡らせれば、気に背を預け静物のよに佇む姿。
遠目に、顔を上げた隻眼と目が合った気がして瞬く。
戸惑いながらも、そちらへと幾らか歩み寄り]
………ごきげんいかがなりや。
[他に良い挨拶も思いつかず、少し掠れた声を掛ける。
邪魔であれば立ち去ろうと、近づきすぎぬ距離を保って]
[いつの間に外に出ておられたのか。
私は少しの驚きを持ち、目の前の青年を見つめる。
やがて腑に落ちたのは、青年も通常の食事をせぬものであったという事。
旅の途中、この二人がどうしていたかまで思い至らぬは、中途半端に繋がったままの心持つ身には幸いであったろうか]
普通…ということでしょうか。
[その割には気だるげな気配。
疲れか空腹なりや?と心で自問しつつ、首を傾ける様を見やる]
いえ、少し…喉が渇きましたので。
ヘルガ殿の恵みをお裾分けいただこうかと参りました。
[陽光の精霊の恵みを受けた木々には、幾つものたわわな果実。
言葉通りに一つ手を伸ばし、押し戴くよに口付ける。
甘い果汁が喉を潤し、私は目を細めた]
……、
そうなるだろうか。
[茫と答え果実を採る様を眺める]
あぁ、 陽光の、か。
[裂かれた実は果実を滴らせる]
[喉の鳴る音すら聞こえる気がした]
…………美味いか。
ちま竜 ティルは、機鋼 アーベル を投票先に選びました。
ちま竜 ティルが「時間を進める」を選択しました。
[あれこれとやっている間に、近しくも遠い気が離れたのに気づき、ふう、と一つ息を吐く。
先ほど、疲れを感じるに至った声も今は聞こえず。
機鋼の仔竜も、落ち着いているのが感じられた]
……そいや、セレスの『同属』の方はどうなってんだっけ……。
さすがに、同じ事はやらん……よなぁ、機竜卿。
[ぶつぶつ呟くのは、二度ある事は三度ある、を警戒しているのか他に理由はあるのか]
ま、今は、目の前のやる事片しちまいますか、と。
[軽く頭を振った後、場にあった材料から、パスタとサラダとサンドイッチを作って行く。
量が特盛りクラスなのは、*言うまでもない*]
[茫とした答えは、己でもよく判ってはいない様子で。
どのように声を掛けるべきか、私は果実を齧りながら考える。
陽光の、と納得した声音に、瞼だけ持ち上げ見やる。
この人も通常の食事を避けてこちらに来たのであろうかと。
故に、問われた言の葉に瞬いた。
以前にも似たよなやりとりが交わされた気がする]
……ええ、とても。
[味がしないと聞いていたから、勧める事はなく食べ終えて。
このまま去るも惜しく、果汁に濡れた唇を指先で拭い問うた]
そなたは…そなたも、食事を避けに此方へ?
心竜 イレーネは、機鋼 アーベル を投票先に選びました。
心竜 イレーネが「時間を進める」を選択しました。
[答えを求めず味を問うた青年と同じく、半ば間違っていると知りながらの問い。
気になった故に、このまま去るを選ばずに。
遠慮がちながらも、距離を近づけるべく歩を進めた。]
[特盛りサイズも一瞬で消えると知っているから、時間稼ぎではありませぬ*]
そう、
……それなら、果実も喜ぶのだろう――
とは、“彼”の言だったかな。
[らしくないと思ったか、]
[一拍の間を置いて言い添える]
食事、 あぁ。
そうだね……
[肯定を呟けど異なっているのは明白で]
[去るかと思えば近づく気配に眼を向ける]
…………否、
[薄く開いた口唇は]
[音なく空気をかいて]
[それから、言葉を、紡ぐ。]
少し、 離れたかった、……からかな。
[一拍の間。
添えられた言葉に瞬いた。
遅れて、彼であって彼ではなかった事を思い出す。
分かたれたとは言え元は一つの魂ゆえかと、仄かに口元が綻ぶ。
耳に届くは、肯定でありながら否定の響きを帯びた呟き。
目を向ける青年の側立ち止まり、私は紡がれる言葉を待った]
………少し…、そう…でしたか。
[少しわかったよな気がして、静かに見上げる。
一人になりたかったでなく、離れたかった。そは誰と?]
[聞いてはならぬ事であろうと、目を閉じて。
そのまま、頭を垂れる]
……なれば、お邪魔してはいけまぬの。
私は失礼いたしまする。
[頭を上げて、青年に背を向ける。
このまま此方で時を過ごそうとも、心配される方がいるであれば見かけた事を知らせればよいであろうと]
別に――
[邪魔でもない]
[恐らくはそう続いたであろう言葉は、
音にはならぬまま虚空に消え失せた。]
否、此方こそ、食事の邪魔をした。
[代わりの台詞を口にして、*その背を見送る*]
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