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―音楽室―
[結局自らリクエストを出すことはせず、他の者の希望に応じて紡ぎ出される音をにこやかに聴いていた。
それが途切れる頃を見計らって、口を開く]
すみません、僕はそろそろ。
ソフィーくんはありがとう。また機会があれば聴かせて欲しい。
[場に残る者には退去の旨を、奏者には感謝の言葉を、同じ笑みを向けて告げ。
再度一礼をして、音楽室を辞した]
……荒れる、かな。
[風は窓をがたがたと揺らしながら轟々と音を立てている。
外に見える木々も大きく揺れていて、不安が募る。
本当はこういう時、一人でいたくない。
でも、怖いから一緒に寝て欲しいなんて、お願い出来る人はもういない。
母親も、アーヴァインも、ソフィーも。
理由は違えど、昔のように接することはできない。
だから、頭まで毛布を被って、ぎゅっと目を瞑った。
誰かに呼ばれたり、外の様子を気にして外に出ようかなどと考えない限りはそのまま朝までそうしているだろう。**]
─ 自室 ─
[自室に戻ったのは使用人の中では恐らく一番最後。
寝るのは遅く、起きるのは早い日常サイクル。
部屋に戻れば翌日の準備をし、寝る支度を整えて。
直ぐにベッドの中へと入り込む。
しっかりとした睡眠時間を取り、その日一日の疲れを取るのが常だった。
自分の時間は主に起きてから。
ベッドに入れば疲れもあって、ぐっすりと眠ってしまったのだった]
─ →翌日/自室 ─
[目を覚まし身支度を整えて。
早い食事のために厨房へ向かう前に、いつものようにタロットに触れた]
さて、今日はどのようなことが起こるのでしょうね。
[そのタロットは実は曰く付きのもの。
けれど絵柄に惹かれて、屋敷を訪れた行商人より買い取ってからは特に何かあるわけではなかった。
だから、そんな曰くがあることなど終ぞ忘れてしまっていて。
クロスの上で右手だけでシャッフルし、カードを整えて、一番上にあるカードを横に捲った]
──また、Hermitの逆位置?
2日連続とは、一体……───っ!
[何があるのかと、訝しんだその一瞬。
バチリと目の前、否、眼の中と言った方が正しいだろう。
何か雷光めいたものが駆け巡り、瞳を瞑った刹那、脳裏に逆位置の隠者のカードに重なるように、ある人物の姿が視えた]
…………今のは、一体────。
[視えた姿はこの屋敷に今滞在する者の1人。
今まで体験し得なかった事柄に、頭の整理が追いつかない]
[しばらくまじまじと手にした隠者のカードを見詰めていたが、その時は何が起きたのか全く理解が*出来なかった*]
―→個室―
[音楽室を出たのは、会がお開きになるよりも前のことで]
……やれやれ。予想はしていたものの、疲れたな。
[貼り付けていた笑みを剥がしたのも、深く息を吐いたのも、部屋に戻ってからのこと。
音楽の才も興味も然程ない青年には、演奏会は少々退屈に思えるものだった]
ああ、本。は、広間か。
……まあ、明日で良いな。
[ふと思い出したのは、四葉の栞を挟めた本と、他数冊。演奏会には邪魔になるだろうと広間のテーブルに置いたまま、部屋に戻ってきたことに気づく。
けれども取りに行こうとはせずに、ベッドに寝転がった]
/*
これだと多分まだ黒引いたとも分からない…はず。
唐突に理解するのは2日目後半に入ってからが良いかな、と思っている。
前半は旦那様のこととか使用人逃亡とかでてんやわんやってことで。
[リクエストの曲を弾いてくれるのに、本当にうれしそうな顔になって。
いつものようにおとなしく聞いて。
終わったら拍手は忘れない]
ソフィーおにいさま、本当にすごいです!
おにいさまの手は、魔法の手みたい。
[それからもいくつか曲は続いたろうか。
彼が弾いているときはずっと聴いていて]
ありがとうございました。
とても素敵でした。
[お礼を言ったら、お話をしながらでも部屋に行く。
お別れの挨拶は、おやすみなさいと就寝の言葉。
だけれど外の風の音にすぐに不安になってしまって、布団を頭までかぶって、ぎゅうっと胸元の小瓶を握りしめて眠ることになるのだった**]
まあ、金さえ貰えれば後は帰るだけ……ああ、教会に寄るだなんて話もしていたな。
一時間も居れば十分だろう。
[風の強い窓の外を横目で眺め、呟く。
後はどのタイミングで受け取り、館を出るか、嵐の止んだ後の算段を頭の中で考えながら、いつしか瞼は重くなる**]
未亡人 オードリーは、学生 メイ を投票先に選びました。
使用人 グレンは、学生 メイ を投票先に選びました。
[ある幼い日の事、
赤い声が聞こえるという男に、
そう諭したのは誰だっただろうか。]
赤い声は、一つ。
そして、一度だけ。
[広間の食事の時に、聞こえた。
誰かと会話をするでなく、呟くような――赤い色の声――。]
―――「どうしても返事をしなければならない時は、
―――「声を出して返事をなさい。」
[記憶の中の顔の見えない人物は、諭す。
今も、赤い声が時折聞こえる時も、「あの時」も
男は、返事を返していない。]
山の群生地と聞いて、
そのお話かと。
[話が終わる頃に音楽室に着いた。]
こちらです。
[共に中に入れば、窓辺に佇むソフィーが見えた。
男の唇が傍目には分からない程度に引き締められる。
それでも、曲が奏で始められれば室内の隅に佇み、]
それでは、ごゆっくりどうぞ。
俺は、嵐の前にやる事があるので。
興味があるのでしたら、
明日の朝に。
[ニーナとの話を切り上げ、音楽室を退室した。]
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