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はい。
それでも見つからなければ作り終えてからまた探すということで。
[頷きを返して少年の方に向き直る]
それならばよろしいのですが。
布越しでも冷たさは感じておりましたので。
はい、シャーロット様が鏡をお探しで。
お借りできる部屋も見たのですが、見つかりませんでした。
[最初に探していたのが隣の女性ではないとは知らず]
ナサニエル様。
具合は落ち着かれたのですね。
[フゥと小さく息を吐いた]
ラッセル?
[わたしの中ではその名前は未だ、赤い色や少年の声とは結び付きません。
だから首を傾げましたが、]
広間を出てからは、まだこちらの…ハーヴェイとしか、会っていませんけれど。
[ただそれだけは事実だったので、そう答えました。]
へえ、なかなかじゃねえか。
月が二つありゃ酒も旨くならあ。
花の色はいただけねえがな。どうせなら野性味のある…
[泉の傍に胡坐をかき、瓶の蓋を開けて深い色の液体を呷る。濡れた顎を袖で拭い満足げに細めた目が水面を見て凍りつく。焦茶色が映すのは満月ではなく天啓めいた理解と焦燥]
っざけんな、チクショウ!
[苛立ちに任せ三分の一以上残る瓶を水面に叩き込むが、水面の月を砕くことはない。荒い息を吐き肩を揺らして戻っていく満月を憎憎しげに睨む]
鏡――ああ、ないんだ。
お風呂場とかにも、ない?
[酒に対する評価には大きく頷いて]
うん。あんな変な臭いするのにね。
「命の水」っていうことなのかな。
[内心で首を捻りつつも前を向いて歩み出す]
それでも、キッチンまで歩いてきたみたいではあったから。
多少はよくなった、んじゃないかな。
見ていませんか。
残念ですが、ありがとうございます。
[青年の短い答えにも頭を垂れ]
[す、と女の眼差しは、青年の腕へと向けられた]
あの後に、叱られぬ様処置はなさいましたか。
必要があるならば、水場の近くにある布を裂くとよろしいかと。
いずれ、あかが乾いて黒に変わってしまう前に。
灯があれば、色は分かりますから。
[気をつけろと言われて、そう答えます。
実際危なく見えてしまうのは、仕方ないのでしょうけれど。
少なくとも廊下には、そう大きな障害物もないでしょうし。]
どっちでもよくても、よりよいほうで呼びたいけれど。
それなら、どっちでも呼んだほうがいいのかな。
[シャーロットの疑問に突いて考え込み、
歩を進めながら腕を組んだ。
手は肘を支えず、ともすれば落ちかける布を掴んで]
ああ、お風呂。
見てなかった。
[至極納得するような声色。後で確認しようと思いつつ、酒に関する言葉には頷き返す]
そうよねぇ。
まぁ好きな人は好きなんだろうけど。
私はあまり。
[話しながら歩みはキッチンへと向かう]
あら、キッチンまで来てるの?
それだったらだいぶ良くはなってそうだけれど…。
お酒も入ってとなると、どうかしら。
[やはり半信半疑]
終焉の獣…狩られる前に狩れってことか。
[がりりと親指を噛む。溢れた血が舌に触れた瞬間、浮かぶのは苦悶の色。荒く唾を吐き、それでも消えない味にポケットにねじ込んでいた酒瓶の封を切り口をすすぐ]
ゲフ…人間の血なんざ呑めたもんじゃねえぜ。
どうせなら――なあ
[酒にはジビエが合うと嘯く低いだみ声を聞くものは*いない*]
[のろのろとキッチンの中をあちこち動いて確認する。]
材料はあるようですね。
ダンプリング入りのスープでも作りますか……
[上着を脱いで作業台の隅に置き、シャツの袖を捲くる。]
ああ。
しかしこの中にはいるだろうし、そうでなくても近くの何処かにはいるだろうから、その内会えるだろ。
[告げられる礼にこんな言葉を返し。
腕へと向いた視線と言葉に、微かに眉が寄った]
一応、これからやろうかとは。
……水場の近く、ね。わかった、覚えとく。
[変わってしまう前に、という言には何も言わずに。
色はわかる、というニーナの答えに、そうか、と呟いて]
……それじゃ、俺はこれで。
[左の腕、そこに宿る疼きと熱と。
それを抑える手に力を込めつつ、*薄闇の奥へと歩き出す*]
出来れば統一してくれた方が良いかしらね?
どちらも良いとは言わないし、どちらもダメとも言わないのだけれど。
そうね…シャロ、の方が、呼び慣れては居るのかしら。
[多分、と自信はなさげに言葉を漏らす]
はい。ラッセル殿を。
あかの髪のお二方のうちの年若い方ですわ。
[色のみが分かると言う眼の事を聞いていたためか]
[なされる説明は色についてを]
そうでしたか。
こちらにはいないのかもしれませんね。
料理が出来る方を探していらっしゃった様ですが、また擦れ違ったのでしょうか。
絵を返さねばなりませんのに。
風呂場。
そうした場所にもあるものなのですね。
[自分が足を洗い流すのに使った水場にはなかったけれど。
この城の規模ならば他に立派な浴室があってもおかしくは無いとも思った]
変な臭い。
慣れないとそうも感じましょうか。
あれば便利なものでもあるかと思いますが。
[二人のあとについてキッチンへと足を進める]
慣れているほうがいい?
[訊ねながら、キッチンの戸を開く。
幾人かの姿は消えていて、
話題の当人が動き回っているところだった]
あ。平気なの?
[ペティナイフ片手に、野菜を手に取って物色している時に声が]
……ああ、ラッセル、君?でしたか。
ええ。もう随分と。
[莞爾と微笑む。]
赤…ああ。
[言われて漸く、その色を思い出します。
その間に去って行く色を、眼は見送りました。]
すみません、お役に立てなくて。
…絵?
[小さく謝罪を述べた後で、首を傾げました。]
[青年の、或いは励ましとも取れる言の葉に、女は再度礼を述べた]
[腕に向く碧は、寄せた眉に気付く事なく]
はい。行かれるのですね。
お気を付けて。
[その背を追う事は無い]
これで風呂場にも無かったらほぼ諦めかしら…。
イザベラも鏡があれば、って言ってたのになぁ。
[呟きながら、ラッセルの名前についての問いには頷きを返し。キッチンにつくと話題にしていたナサニエルが何かを作ろうとしていた]
あら、存外元気そうね。
料理、出来るの?
ゲーム。
[繰り返す]
遊んであげましょうと、謂っている人もいたね。
舞台だと謂う人も居た。
殺し合いだとも。
そのどれとも違うのだと、貴方は謂うの?
[同胞に向けた眼差しは、
具合を問うのとは異なる疑問を孕む]
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