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ええと…人狼が確実にいるだろうから、村へは戻ってきては駄目だって。
…何時までとか、どうすれば戻れるとか、そういう事は聞こえなかったんですが。
[向けられた疑問には、そう答えた。それだけしか言えなかった。]
[戻れば止むを得ない手段を取られる、云々は流石に言わなかったが。]
……バカみたい、だね。
[そんな事をしても意味はないのに、と。
蒼の風にも、それは感じられたから、素直に呟くが]
喰らいつくす。
邪魔するモノ、全て……。
[言い切られたコトバ。
強い尊厳と、それを裏付ける力に満ちたコエ。
それに同意する事、それ自体は構わないと思った。
けれど]
……邪魔するモノは……イラナイ、けど。
[ここには。
この場所には。
『大切』がある。
……それが、邪魔をしてきたら?
ふと過ぎった思いは、コトバを途切れさせる]
[取りあえず、運ばれてきた食事の中から、パンを一つ手にとって。
千切って相棒に食べさせつつ、ブリジットの言葉を聞く。
自分は、カップのミルクを口にする程度の食欲しかなかった。正直言えば、それすらも受け付けない気分なのだけれど]
……どこまで……頭固いんだか、あいつら。
[やがて零れたのは、ため息混じりの呟き]
けど?
[銀が彼の迷いのようなものに気づき問う前に、小さな意識が先に尋ねた。]
ヴィント、どうしたの?
いらないもの、こわしにいくの?
[小さな意識はじーっと。][不思議そうに見上げて。]
ふふっ。ああ、次から気をつけることだ
[ぼそりと返すアーベルの様子に相当痛かったことを想像して(まあ優しくしなかったのだから当たり前だが)軽く笑い
入ってきたクレメンス会釈をしながら、食事を続けて]
人狼が確実にいるだろう…か。
確かに狼が人里に来るなど珍しい。人為的に起こせなくもないのだろうが…
人狼。まずそっちから知らなきゃどうしようもないな。
[そしてそっとがっくりした様子のエーリッヒを見る]
そう?それならいいのだけど…無理はしてはだめよ?
[まだどこか顔色の悪いイレーネにそう答えて]
人狼が…そうね、彼らから見ればわたくしたち皆がそう見えているのかもしれない。
いつまでここに居ればいいのかしら…。
怪我人も病人もここには居るのに。
[なんともいえない気持ちでそう言葉を繋いで]
………ギュンターさんは、まだ、外に?
[居る、と言うべきか、ある、と言うべきか悩んで、
場所を尋ねるだけの問いかけを、誰にともなく]
―二階・私室―
ああ、もうこんな時間。
[ギュンターの死体の発見後、集会所でブリジットに手当てを受け、例を言うと、マテウスが面々に説明するのを聞かずに自室にこもった。ポケットから引っ張り出した手帖を、片端からめくっては、読みあさり。気づけばすでに日が高い。]
しっかりしなくっちゃね。
[手当てを受けた指先を眺め、ちょいちょい、と動かしてから、
部屋を出る。広間に向かう。ほがらかに、明るく努めよう。]
おはよう。
[娘の顔を思い浮かべ足は自然と速まる]
[遠くから威嚇するような銃声が聞こえる][男の怒鳴り声が聞こえる]
[数秒が経過し][それが自分に向けられていることに気づく]
どういうことですの?
村への立ち入り禁止って、そんな理不尽なお話がありますか。
集会場には子供も怪我人もいるんですのよ。
自衛団は、わたしたちを守ってくれる存在ではなかったのかしら?
[自分の耳を疑い][男に詰め寄ろうと足を踏み出す]
[遠目に男の怯える顔が見える]
[再度銃声が響いた][先刻と異なるのは、それが威嚇ではなく、自分に向けられたこと]
[隣に座るユリアンに気付いて、少し位置をずれる。だが視線はブリジットに向いたままだった。]
・・・・・人狼・・・っ
[呟いた。肩に鈍い痛みが走り、思わず押さえた。]
なにが、あったの?
[未だ状況は掴めていなくて、周りを見る。答えは返るだろうか。]
[小さな意識の問い。
蒼の風は、微かに揺れた]
イラナイモノは、壊してもいい、けど。
でも……。
[迷い、惑う]
イラナクナイ、モノは……。
壊せない……。
[零れたのは、どこか曖昧なコエ]
[紡がれた名前。
とっさに反応したのは、半ば無意識だろうか]
……じーさんは……。
多分、まだ、外。
[ナターリエの問いに、ぽつりと返す。
答えの得られなかった問いが思い返され、蒼は陰りを帯びる]
いらなくないもの、とくべつ?
[教えてもらった言葉を紡ぎながら。][見上げ。][きょとんと。]
いっぱいいっぱいたいせつなものなら、だいじにだいじにしまっておかないとね。
ほかのひとに、取られちゃわないように。
[曖昧な声に答えたそれは。][小さな意識に悪意は無いが。]
じんろう…。
[右肩に熱が走る。鈍い痛み。
抑えるように抱えると、掴んでいた指先に暖かい感触。
ナターリエを見ながら]
外に、いらっしゃるんですか?
話を聞きに…
[いけば、と言おうとして。
アーベルの声の調子に何かを感じて続きは途切れた]
おはよう、ございます。
[アマンダに頭を下げる。声は小さい。
答えは隣からあった。]
狼が。
[鸚鵡返しに呟いた。
背後の話にも、何やら異質めいたものを感じた。
左肩が疼く。]
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