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……特に何も無い。
変なところだけ聡いんだな。
[会話の相手には見えないはしないが]
[困ったように前髪をかき上げた。]
[そうして再び眼を戻します。
焦茶色はかなり遠くに見えていました。
傍に置いていた杖を手に、立ち上がり。
赤の中、茶の地面が見えている場所をゆっくりと*辿り始めました。*]
─城内廊下─
[出発地点は二階の奥の部屋。来た道を思い出し、その通りに戻って行く。ややあって差し掛かるのは客間が並ぶ廊下。そのまま進んで行くと、とある部屋から何かぽつぽつと、続いて居るのが見えた]
…何かしら、あれ。
[近寄り、黒い何かを覗き込む。床に染み込むそれは、酸化した紅の雫にも似ていた]
ずーっと続いてる。
この部屋って誰か使ってたっけ?
[ナサニエルに聞いてみるが、首を捻られる。同じく首を捻るが、別の何かに気付いたナサニエルに声をかけられ思考は途切れた]
うわ、何これ!
誰よこんな落書きしたの。
[壁に書かれた文字。読めない文字と読める文字が左右の壁に並んでいた]
これ……私の名前?
あ、こっちはナサニエルの。
……もしかして、イザベラかしら。
いつも何か書いてたのって彼女くらいよね。
[黒い染みが現れている扉の近くに書かれた文字。誰が書いたのかの当たりを付け、しばし考える]
……これ辿って行ったらイザベラ居るかしら。
そうじゃなくても、この染み、気になるわね。
[よし行くわよ!と染みが続くのを辿り歩み進めて行く。ナサニエルも、仕方なしにその後を着いて来た]
[一時手は止まったが、ゆっくりと開く。
最後の一音が尾を引いて隙間を抜けていった]
あ、ヴィーだー。
[下がった語尾は拍子抜け と言ったふう。
未だ薄く開いた扉の傍に佇んだまま、
旋律を作る白と黒に眼差しを向けた]
ピアノ、弾けるんだ。
腕は平気なの?
―城内廊下―
[困ったように前髪をかき上げたが]
[それでも拒否はせずに、引き摺られるようにシャーロットの後をついて行く。*]
……俺じゃ、まずかったか?
[下がった語尾に、何となくこんな言葉を返して]
ああ……ま、手遊び程度だが。
腕は、口煩いのが多いんで、清めてきた。
元々、大した傷じゃなかったからなんて事もない。
[問いに答えつつ、右手で白を軽く弾く。
左の腕を包む白に、今は紅の陰はない]
もう嫌……。
[顔は青ざめ、涙目になっている。
残ったベーコンを皿に乗せる。黒こげだ。]
せっかくだから、ゆで卵も欲しいところですね。
これなら、私にもできそうですから。
えーっと……。
[きょろきょろしていると、箱形の調理機器を見つけた。
にんまりとし、その中に生卵を入れる。]
これは発電機ですかね。古い型の発電機なんて、
とても珍しいものがありますねえ。
[感心するイザベラとは裏腹に、卵は回る。]
─キッチン─
[黒い染みを追いかけ辿り着いたのはキッチンだった。中で何かしている音がする]
む、誰か居るわね。
[ひょい、とキッチンの中を覗き込んだ。何だか悪戦苦闘する後ろ姿が見える]
…イザベラ?
んー。
女の人が弾くイメージがあったからさ。
[記憶を辿るように首を捻る]
煩いから、なの?
そんなにすぐ清められるものなら、
もっと早くにやっておいたら良かったのに。
ん…ああ、シャーロットさん。
[バツが悪そうに、頭を掻きながら向き直る。]
妙なところ見られてしま―
[キッチンの中にパァン!!という甲高い爆発音が
響いたのは、それと同時のことであった。]
[ミルクを持ち、廊下を歩くのは、どうにも違和感があってたまらないものだろう]
[男にとっては、大した問題ではないが]
[頭痛が治まるとき、それは記憶についてを考えないときと同義だが、廊下へ出た]
[音は止まっていたが、音がしていた方へと歩く]
[イザベラとすれ違うことはなかった]
まあ、女の方が見栄えがするのは確かだが。
[イメージ、という言葉に軽く肩を竦め]
ああ。
顔つき合わせる度に突っ込まれるぐらいならまだしも、いきなり吹っ掛けられるようじゃ、さすがにやりきれんからな。
[疑問の声には軽く、返すものの。
続いた言葉に、蒼氷は緩く伏せられる]
……色々と、あるんだよ。
[空白を経て零れた呟きは、やや、掠れて]
/*
>ネリーメモ
うーん、確かにねぇ…。
怪我が無いとしても、影響が後から出て来る可能性あるし。
一応合わせておこうかな。
村長の娘 シャーロットは、見習いメイド ネリー を投票先に選びました。
[仰向けに倒れながら、シャーロットの方を向く。]
す…すいませんけど、手を貸してくれませんか。
腰抜かしてしまったようです。
[照れくさそうな表情をしてはいるが、顔は青ざめている。]
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