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[不意に、陽気な声で呼びかけられ]
……お?
[瞬き一つして、そちらを見やり]
リディかぁ。祭り見に戻ってきたんか?
[色々と抱えた様子に、笑いながら問いかけ]
ていうか。そこにぼさっと突っ立ってる方がはるかにどーかと思うけど。
[憮然としたアーベルの言葉にこう返す。肩の相棒も、同意するようにきゅう、と鳴き]
/中の人メモ/
☆年上の男性→○○にぃ、○○さん。他。
☆年上の女性→○○さん。他。
☆年下の男性→○○、○○くん。他。
☆年下の女性→○○ちゃん。他
同年代は渾名ばっかり。
ってか他ばっかり。
[夜の帳が下りて陽の光は消え失せるも、未だ賑やかな村内は、天に満ちる星だけでなく、ランプの灯とそれを受けて煌めく装飾の色とりどりの輝きで、幻想的な美しさを魅せる]
……………
[彼はその光景を、人込みから少し外れた場所で眺めていた。
薄明かりに照らし出された横顔には、長い睫毛によって作られた影が下り、些か物憂げにも見える]
認めたくない事実だ。
[小さく、口唇を震わせ音を紡ぐ]
[認めたくない事実ではあるが、――迷った]
[食後の休憩の後、体調の優れない母親に代わり、彼は、彼女の生家に挨拶に行く事になった。
明日に回すべきだったかとも思ったが、妖精祭りの準備に向け、益々忙しくなる事は目に見えていた。それに彼と祖父母とが顔を合わせるのは初めての事で、前々から早く顔が見たいと言っていたと、母から伝えられたのだった。
夜分にという不安はあったが、侍女であるユーディットもいるのだし、と。
そういう訳で、彼は再び、村の中を歩いていたのだが。
ユーディットとはぐれ、うっかりと地図を無くし、迷ってしまったのである。
彼とて、何処かの騎士とは違い、人並みの方向感覚は持っていたが、何分土地勘が無いのだし、この人込みである。迷ったって、仕方が無いのだ――多分]
[屋台を存分に楽しんだと言わんばかりの少女が
ユリアンとベアトリーチェと…そして青年を愛称で呼ぶ]
……確か…ティーレマンさんの所のリディ…だったか
進学で村を離れた…と聞いたが…退学したのか?
[舞姫候補だったリディと同名の少女の名を思い出す。
そして、彼女の背景も思い出し、それと彼女が村にいることが噛み合わなかった為
口をついて出たのは失礼な言葉]
/中/
……いよーに、瞼が重いです……うーん、日付変わるまでは起きてたいんだけど……。
……鳩からじゃ、村開始できねぇからなー。
後二人、大丈夫かなー。きついようなら、1/10の00時にずらすけど……。
おーう!祭りを見に、遠路遥々戻ってきましたともっ!
[笑いながら問いかけられれば、けらりと笑みを返し。
と、彼の肩に鎮座する山ネズミに気づけば小さく声を上げる]
わー!ヴィントだ!元気?あたしのこと覚えてる??
ヴィントもたこ焼き食べる?というか食べれる?
[きゃあきゃあと手に持ったたこ焼きを差し出しつつ、
アーベルの言葉を聞けば、ばっと勢い良くそちらを見やり]
なっ…!アーベルにぃってば、酷いー!
重い荷物を抱えて、短い休みに遠路遥々戻ってきた勤勉学生にっ!
……えっへへー、祭りがあるからわざわざ帰ってきたのっ!
[実際に荷物を抱えたのは、馬車と自衛団員の青年だが知る由もない。
むぅ、と膨れっ面を向けるも、次の瞬間には笑みを返して]
そのままずーっといたら、マジで怪しいヤツだっての。
[視線を逸らすアーベルに、さくっと一言。容赦なんてありゃしません。
それでも、一応切り上げたいのは察したらしく、ま、いーけど、と呟いて]
つーか、おま、ほんと賑やかだなぁ。
ま、祭りで元気がねーよりはいいけどなっ。
たこ焼き……食えると思うけど。ヴィント、大抵のもんは食べてるし。
[リディの明るい様子に、つられるようににぱ、と笑う。
肩の相棒は大きな瞳をくるっとさせた後、覚えてる、と言わんばかりにきゅきゅ、と鳴き声を上げる]
[ランプの灯りはきらきらと、柘榴石色の少女の瞳に光を映す。少女はゆっくりと辺りを見渡し、楽し気に歩き出す。ちらりちらりと落ち始めた雪が、紅いお下げにまとわりついて、白い粉砂糖をまぶした苺のようにも見えただろうか]
『りでぃ、げんきー』
ま、相変わらずってかなんてかだな。
『げんきよいことー。ゆーりぃもげんきなれー』
……へい、へい、と。
[誰にも気取られないように、小さくため息をついて]
[…工房。竈の火は外と比べられぬほどに部屋の温度を高くする。
その中で、溶かした二色の色ガラスを合わせ…ゆっくりと膨らませていく]
…
[ある程度の大きさになると、くるくると棒を回しながら、雪水の中に浸した。
…ジュワァァァァ…
噎せ返るほどの水蒸気に目を細めながらも、棒を持ち上げると…すっかり冷めた濃い青から明るい緑へと色を変える球体のガラスがあった]
…ん。
[小さく頷くと、こん、と叩き…球体のガラスを落とす]
[周囲に視線を巡らせる]
[村の入り口だろうか。彼のいる布巾には特に灯りや装飾が多く、花を沢山あしらわれた、大きな門がある。恐らく、妖精を迎え入れる為のもの、ところか]
[となれば、目的の場所からは大分離れている事になる。
人の少ない方へ逃れようとしたのが、災いしたか。
冷静に、そんな事を考え。誰かに尋ねるのが手っ取り早いかと思う]
そうか…では、学校は随分静かになっただろうな
[賑やかに表情をコロコロかえるリディに、
短いながらも静かになる学校を思う]
しかし、祭りのためとは言え、重い荷物は大変だったろう。
お疲れさま…………お帰り。
[青年はそう言うと、リディの短い茶色の髪をかき混ぜるように一撫で。]
[妖精の国を彷徨う、異郷の姫のような気持ちで、色とりどりの飴細工や、ふわふわゆらめく風船の群れを眺めながら歩いていた少女の目に、柔らかい黄金の光が映る。どこか憂いを秘めた翡翠色の瞳に引き寄せられるように、少女は少年の方に足を向けた]
こんばんは、小さな妖精さん?
[先に作っておいた、持ち手の部分は馬の頭を模したガラス…
底の部分は芝が渦巻いているようなガラス…
その二つを球体のガラスの近くに置くと、球体のガラスに刃物で線を引く。
こっ…
軽く叩けば、線に沿ってガラスは二つに分かれた。
その断面をヤスリで削っていく。
…しばらくして、ガラスを置くと、手を振った]
…疲れた。
[四つのガラスをそのままに、竈の扉を閉める。
出てきた汗を拭うと、小さく息をついた]
折角のお祭りに戻ってきたのに、凹んでるっきゃーマシでしょ?
一人でも賑やかなのがあたしの取り柄だし、
ってゆーかあたしが暗いとか、自分でも想像付かないし!
[ユリアンの言葉にけらけらと笑いつつも、その口から否定の言葉は出てこない。
まぁそれは場合によっては、"煩い"とも分類出来る訳だが
本人にそれを言った所で、恐らくこの性格は変わらないのだろう]
わ、わ。覚えててくれて嬉しいっ!
よーし、あたしを覚えててくれたご褒美にたこ焼き上げちゃうっ♪
[山ネズミの様子に、にぱっと笑みを向ければ、
半個に割ったたこ焼きを割り箸で山ネズミに向ける。
割ってから暫く時間も経ってるから、火傷もしないだろうと考えて。]
んー…久しぶりに帰ってきたし、学校が静かになったのも1年ぶり?
[自分が賑やかな事に、幸いにも自覚はあるらしかった]
…祭りが終わっちゃったら、すぐにまた学校に戻るけど
それまでは目一杯楽しもうかなーと思って!
……うん!ただいまっ!
[...よりも大きな手に撫でられれば、笑みを浮かべながらも
どこか擽ったそうに目を細める。]
そういえばアーベルにぃ…は、この通りに来てるのに手ぶらだね。
何か買わないの?
[怪訝そうな少年の様子に気付いているのかいないのか、少女はにこにこと微笑んだまま、口を開く]
妖精を招くお祭りですもの、妖精さんが混じっていてもだあれも気付かないわ。
私はミリィ。妖精さんのお名前は?
ていうか、自分でそこまで言うかあっ?
……全然変わってねーっつーか何つーか……。
[まあ、一年足らずでころっと変わってしまうのもどうか、と思うわけだが。
明るい様子につられて笑う内、ほんの僅か抱えていた鬱々としたものが晴れ、自然に笑みが浮かんでくる。
一方、肩の相棒は向けられた笑顔とたこ焼きにきゅう、と嬉しげに声を上げ。
声から察した意図に答えるように、彼は相棒を手に移動させ、向けられたたこ焼きに近づけてやる]
つーか、こいつも食い意地はってるよなぁ……。
[嬉しそうな相棒の様子に、思わずぼそ]
[――ぽつん。
楽しそうな表情の人々から逃れた裏路地で、独り立ち尽くす。
ご主人様とははぐれてしまい…手がかりは踏みくちゃになってしまった地図が一つだけ。]
……早く…行かないと……。
[きゅ、と手にした紙を握り締め…慌てて皺を伸ばし直して。再び人々の間を*捜し歩く。*]
[その単語を発した少女――ミリィへと、翠玉の双眸を向ける]
[二つに分けた紅い三つ編みには疎らに真白の雪がかかり、微笑を湛えた少女の、何処か現実感の無い雰囲気と相俟って、砂糖菓子のような印象をも覚える。
眼鏡の奥の瞳は、きらきらとした輝きを放っていた]
そういう祭りだと、聞いてはいるが。僕は、人間だ。
[続いた言葉に、漸くそれが自分を指しているのだと気付いて、声を返す。
少女の笑顔とは対照的に、訝んだ表情のまま]
……僕は、ミハエル。
ミハエル=フォン=エーデルシュタインだ。
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