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[ロランの仕草は線の細さと相俟って馴染んで見える]
何処ぞの屋敷で働いているとあったから
何もなければ戻るだろう、けど。
[思案するように途切れる言葉。
妹の幼馴染を見遣り]
キミが行くなと言えば
如何かは知れない。
[ユーリー自身は妹が村を出るのに渋りはしたが
引き止めるほどではなかったし
オリガもまた兄に引き止められても意思を変えぬだろう。
けれど、幼馴染の言葉は、また別に思える。
彼女からの手紙には家族よりも幼馴染の事ばかり書かれていたから]
/*
やることメモ
・町に行こうと思っているって誰かに言う→多分ここにもう戻ってこない
・旦那の話をする
もう村人COをしたようなもんである
[酒でも飲んで、とマクシームが言うを聞いて
軽く肩を竦める]
調子にのって飲みすぎるなよ?
[幼馴染だからこその軽い口調。
サンドイッチをぱくりと頬張れば
新鮮な野菜の食感とみずみずしさが広がる]
美味いよ、カチューシャ。
[目許を和ませて言えば
男はあっという間にサンドイッチを平らげた]
オリガ、かあ…。
ボクはたまに会いたいけれどな。
[どうしてもと言えば、彼女はボクに手紙をくれた。
それでも、ほんのときたまのものだし、最近はご無沙汰だ。
都会の新鮮な出来事を楽しそうに綴った手紙は、
彼女の生き生きとした面影を伝えてくれるようだった]
またカチューシャと3人で、お喋りもしたいし。
[幼馴染に目配せをして笑う。
お泊りをして、お喋りに興じるのはごく稀に許された楽しみだった]
…うん。だから、ボクはいないって言ったのに。
”いないこと”にしないとダメでしょう?
そうしなくては───…ダメでしょう?
[わらう。烏色よりも薄い銀灰の色。その瞳も赤に染まった。
赤い月が、綺麗に空を血に似た色に染め上げた]
素敵だったよ、ロラン。
”あの人”のこと、ボクは大好きだった…ううん。
今も大好き。ずっと、ここにいるよ。
[ボクはうっとりと目を伏せた。
胸元を押さえれば、あの日嚥下した熱い血の味が蘇るよう。
甘美な肉の味の記憶に、微かにボクの喉は鳴る]
…彼も一人で歩いていたから丁度良かった。
食べて、食べて…ひとつになって。
狼たちが鳴いていたね。
可哀想だから呼んであげたけれど…嗚呼。
ロランも、欲しかったんだ。
[まだ幼い妹が泣きじゃくりながら土を掘っていたのを、昨日の事の様に思う。でも、]
もう14年前、か。
[不幸な事故はもう遠い過去のことで、彼らの仲直りもとっくに終わっている。はずだ。
妹が外へ積極的に出るようになったのも、そう言えばあの頃からだったか。
自生している薬草を見分けるのは正直僕よりも上手いし、有難くはあるけれど何処か複雑だ。]
……戻るか。
[立ち上がり、腰を伸ばす。
改めて玄関に回り、誰もいない家の扉を開けた。**]
キミにそう思って貰えるなら
オリガも喜ぶだろう。
[キリルの言葉に淡い笑みを浮かべる。
彼女らと妹の仲は良かったように思う。
互いの家に泊まり一緒に過ごすのをとても楽しみにしていた。
一度、どんな話をしているのかと問うた事があるが
女の子だけの秘密、なのだと言われてしまった]
そういえば……
あいつはまだ知らないんだったか。
[キリルとイヴァンの二人を交互に見遣りぽつり呟いた]
[会話の交わされる中、篝火に目を移す。
狼たちの様子。
酒を酌み交わした旅人の死。
食事を終え、煙草をくわえて篝火に近付く。
マッチを擦り、火を点けて役目を終えたそれを篝火の中に投げ入れた。]
(用心さえしてりゃ…、何も起こりゃしねぇよ。
なぁ、そうだろう?)
[遠い日の、とある人物の顔を思い浮かべて、…眉間に皺が寄る。
煙草と篝火の煙が、空へと昇っていく様を見上げた。**]
[赤に染まるキリルの眸を、今目の間に居る彼女に重ねる幻視。
うっとりと目を伏せる様子に、喉鳴らす様子に
思い返すいろは鮮やかでない、どす黒い赤色で]
…ん。
でも俺はこんなだし、
この車椅子…音がうるさいから、無理かなって。
でも、狼が迎えに来てくれた。
彼らは、仲間だ。
[大きな背に掴まって、屍に辿り着いたのだ。
冷たく硬い肉だったけれど、まだ覚えている]
…ん。
欲しい。
[不意に繋がった感覚のせいか、赤い月近づくせいか。
きっとそのどちらものせい。
くらりと眩暈感じる中、本能の衝動は、強くなる]
柔らかくて、喰いでのありそうな、のが
イイ、な。
[告げる囁きの中、
無表情な人狼の方割れは間違い無く、目細めた笑みを返した]
――…そうか。
[左右に振れる烏色を映しながら男は相槌を打つ]
分かった。
伝えておくよ。
[ロランに確かな頷きを向けるが
手紙を認めるのはまだ先か。
長閑な故郷に起こった事件が頭を過ぎり
妹に文を書こうとする意思を鈍らせていた]
うん。狼は仲間だ──…賢くて、強い。
呼べばこれくらいの火、楽々と越えるよ。
だから大丈夫。
ロランも一緒に行こう?
……何かあれば呼んでって、言ったじゃないか。
[あの時は別の意味。
今度はまた別の意を添えて、ボクは薄く微笑む]
あげるよ。きっと、とびきりのを。
ボクたちも狼たちも、ちゃんと食べなくちゃ。
[蘇る血の味に、同族の聲。
近づく赤い月が少しずつ、本能を解き放ってゆく]
美味しい食事を…さ。
[目を細めた片割れに、ボクは薄く冷ややかに笑み返した]
[くい、とグラスに残る葡萄酒をのみほした。
ゆっくりとじんわりと、胃から喉から熱が広がり
目の周りがふわふわと暖かくなるのを感じる]
…ごちそうさま。
この葡萄酒、美味しい。
[ワゴンにグラスと皿を置き、ユーリーにも礼を告げ。
いつもより血色の良い貌で暫くはそこにまだ居るだろうが、
人がはけ始めれば自分も家に戻る心算**]
[洋梨の果実酒の瓶を空けたロランは
それほど酔っていないように見えた。
それとは逆に既に酒気を帯びてみえるのはキリルで
懐かしいという彼女が首を傾げれば
なんでもないという風に首を振る]
――…イヴァン。
余り飲ませすぎるなよ。
[誰にとは言わず幼馴染にそう告げた]
帰ってきたら真っ先にそっちに行くだろ。
[ロランの言葉に妹の幼馴染である彼らを流し見て]
余り似てなくて良かった。
懐かしまれてもどんな顔をしていいかわからない。
[悪態には軽口を返しクツクツと喉を鳴らした]
…ん。ボク、もう帰るね。
ちょっと効いちゃったみたいだ…あ、美味しかったよ。
食器は、ええと…うん。ごめん。
イヴァン、大丈夫。
[あまりの眠気に、ボクは長居を諦めた。
イヴァンの差し出してくれる手に掴まって、立ち上がる。
やっぱり傍らにある、この温もりは気持ち良かった。
彼の肩口に頬を預ける]
カチューシャ、ありがとう。
ユーリーも葡萄酒ご馳走さま。
…みんな、ゆっくりしていってね。
[言えたのはそこまでだった。家に帰れば布団に飛び込む。
ボクが酔っ払って帰るだなんて初めてだから、
兄貴はさぞかしびっくりしたことだろう**]
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