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[村へと続く道から顔を出したのは武装した幾人かの自衛団員達
こちらを見止めると銃を向けるが、倒れているアーベルも目に入ったのかざわめきが広がった
それらに見せ付けるようにしながら、アーベルの倒れているところまで歩み寄り抱えあげる]
借りるぞ。ユリアン。ちゃんと返してやる
もし返せなかったらクレメンスを好きなだけ殴りな
[試供品と言う言葉はしっかりと耳に届いていた]
予定では、なのですね。
[でも、恐らくはきっと大丈夫だろうと思うことにして]
自衛団の方々に見せて納得していただきませんといけませんものね。
[クレメンスがまた外へと向かう。
外が少し騒がしい]
呼ぶ必要はないようですね。
[近付いてくるざわめきから逃れるように、男は歩き出す。自分はどう見てもここに居ない方がいいだろうと思われた]
このまま、逃げるかねえ………
[村人が本当に彼等を解放する気があるのかは疑わしい。今まで人狼がいたから手が出せなかったというのが本当の所ではないか?そもそも領主の息子まで犠牲になっている。殺されないまでも煩わしい事になるのは目に見えていた]
そうそう飲める薬ではないですから
仕方ないんですよ
それに人狼ですからある程度なら…いえなんでも
[シスターから目をそらした]
そうですね、呼ぶ必要もないようです。
そして俺たちは解放されると
[ざわめき。顔を上げる]
……借りるとか、返すって、なに。
[アーベルは物じゃない。
そう言いたかったけれど、声は揺らいでいたから、それ以上紡げなかった]
[やって来る複数の影は、自衛団員だろうか。
彼らに見せたくなどなかったけれど、力の抜けた身体は動いてくれない]
とにかく……くそったれの教会に一蹴り入れねえと…死にきれねえぜ。
[ソフィーに送るように頼んだ手紙は、本当に投函されただろうか?取り決めた暗号を仕込んだあの手紙が彼女の元に届いていれば、そう遠くないうちに新聞社の人間達がこの村を訪れるはずだ。男自身ではなく、男が遺して隠したはずの「記録」を探して]
結局…アーベルで実験したようなものですのね?
[小さく溜息。やはり目眩がした]
解放、されると思います?
戻っても今までと同じ気持ちで神に祈る自信がなくなりましたわ。
[さらりと問題発言を落として]
[蒼狼のアーベルを抱えて自衛団員の下に歩く
ハインリヒが去る気配もその意図も察したが、はっきりいってここで退くのも癪だった。]
ほれ、お前らお望みの人狼だよ
ちゃんと仕留めたぜ。なんなら確認してみな?
[そういって、差し出すようにアーベルを前に突き出す
だが人狼といって怖いのだろう。なかなか前に出てこないが、代表らしき男が恐る恐る。アーベルの心臓。呼吸の有無を確認して
死んでいると判断したのだろう]
終わったぜ。さっさと解放しな
[その言葉に、ひそひそとなにやら話し始める自衛団員たちを苛立たしげに見る]
さてさて、それはどうでしょうねぇ。
まあちょっと副作用が強すぎたみたいなのでまだまだ開発しがいはありそうですけど
[シスターに言って]
…ま、俺は逃げますよ。
あなたはどうしますか、シスター。
不安でしたら、少しくらいなら一緒に逃げましょうか。
[とりあえず、アーベルを引き渡せという自衛団員。それには首を横に振り]
断る。この毛皮は上物なんでな。剥いで金にしたいんでな
それに、ちゃんと処理しないと復活するぜ。お前らその方法知ってんのか?
[全部嘘っぱちであったが、後半の言葉を聞いて及び腰になる自衛団員
そのままひそひそと話しだし、そして武器を向け...を包囲するように動きだす
拘束する。と言い出して]
なんだ、口封じってことか…芸がねえ
[呆れたように嘆息して、アーベルをおろして、剣に手をやる
多勢に無勢はもとより承知の上で、ただ素直につかまってやれる気も欠片もない。
システムというのにもうんざりしていたが、自衛団員にも同じようにうんざりしていた]
[カァ、][また鴉が鳴いている。泣いてはいなかった]
……ザフィーア。
[自らの手のひらを見る。赤が滲んでいた]
[服の裾で拭いて、ベルトにかけていた袋の紐を解く。幸い、落ちてはいなかった。中身を取り出して、黒い鳥に見せるように持ち上げた。
雪の華を模った細工に鎖を通した腕飾り、その中央には蒼の石]
あげる。
本当は、その石を直せたらよかったけれど、
今の僕には出来ないから。
[鳥の脚には大きいから、幾重かに巻いて、そっとかけてやる]
邪魔っけ、かな。
[マテウスと自衛団員が何を話しているのかは、わからない。
まるで遠い世界の出来事だった]
薬に副作用は付き物ですけど…。
あまり危なくない薬をお願いしますね?
[そして、逃げる、と言う言葉に反応して]
そう…ですね。
なんだか、教会に戻ったら色々理由をつけて危ないことになりそうですし。
…秘密を知ったようなものですしね。
逃げた方がいいのかしら、やっぱり。
もし逃げるおつもりになったら、身を隠す場所くらいは提供しますよ。
まああなたは何の力もないので、よくわからないうちにとでも言えば、いくらあの人たちでも手は出してこないでしょうがねぇ。
そうですねえ。
それならこの村からさっさと離れますかね?
…まあ、アーベル君が目覚めたら、の時のことも考えなければなりませんが。
「待て」
[この場には似つかわしくない凛とした声が響いたのは剣を抜く。それと同時だったか
見れば、金髪に翠眼。の長身でがっしりした男、その後ろにもまた複数名の人間をつれているが、それよりも気になったのはその男、その面影は微かにミハエルを思い出させて
その人物を見止めると自衛団員は静まり、かしこまった様になり、こちらへと来ると、波打つように自衛団員が割れた]
あんた誰だ
「アイル=エンバーミング。ミハエルの兄だ」
[続けて言うには、ミハエルが届けた書状によって来たと言う]
[そしてだいたいの窮状が書いてあったらしいことも聞いているらしい
だが、まだ伝わっていないこともあって。それを言う]
そか…一足遅かったな。ミハエルは…死んだよ
[酷であることを承知でいうと。
アイルは理解できないというように固まり、認識すると同時に俯く。
その表情は陰になって伺えないが、肩を震わせるその姿からは想像はつく]
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