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[くるくる回りながら、イレーネの言葉にはぴたりと止まって首を傾け]
あれ、食べれるのかなぁ。
なんか、ボクが覚えている限り、青くて白いの出て黒いの吐いて、あんまりおいしそーじゃなかったよぉ。
[見えたのは襲い掛かる複数の影と、昨夜挨拶を交わした人物。
ああ拙そうだなと指先を擦ろうとして、その動きを止めた]
ふぅん…。
[唐突にオトフリートの周囲に持ち上がった影。
そこから打ち出された礫のような何かに打ち倒されるモンスター達。
その影の向こうに一瞬見えたのは]
紅?
[だが影が消えた後のオトフリートはその色彩を纏っていない。
頭の隅にそれを記憶させながら、足音を立てて近付いた]
間に合わなかったみたいだけれど、大丈夫だね?
−中央部建物2F・個室(K)−
――うーん。
[ブリジットは、鏡と睨み合っていた。
湯上りらしく、肌は僅かに上記して、緩やかにウェーブのかかった髪は湿り気を帯びている。頬に張り付く一筋を摘んで、横に退けた。]
これ。
最初から置いてあったっけな……?
[ぽつり。
彼女の指す「これ」は、今、身に纏っている衣服に関する事だった。
前で合わせるだけの簡潔な構造をした、ひとえ物。薄い布は今の季節の外出着としては頼りないが、建物内だけならば、不足はなさそうだった。薄花桜色と白でつくられた布地は、落ち着いてはいるものの、普段よりも明るめの色合い。いわゆる、浴衣と言われる和装で――それは、知っているのだが。]
……まあ、いいか。
ずっと制服なのも、何だし。
食べれない、かなぁ?
青くて白くて黒いの――?
[白い身は美味しそうに見えたのに、残念――としょんぼり]
早く乾かないかなー。
[ユーディットの真似をするように、
上着を脱いで掲げ、ぱたぱたと広間の方へ]
……持ってくれば、って。
[いくらなんでもくえんだろ、というより早く、ユーディッドの声が聞こえ]
……それは、あんまり食いたくねぇな。
[素で呟いた]
……っつーか、着替えくらい置いてないんかね、ここ。
長く引き止めるんなら、そのくらいあっても良さそうなもんだが。
[不自由があると言えば、ベルトが付けられないことだが。帯に差しては、目立ってしまうだろう。]
鞄に入れておけばいいかな?
[暢気に、そう考えた。鞄は不似合いだが、仕方ない。
……実際に使う場合の事なんて、考えていないようで。そもそも想定したのなら、置かれていても、この衣服は選ばないだろう。]
それにしても。
[鏡をしげしげと見る。]
ねー。
着替え、無いと困るよねぇ。
どれくらいここに居るのかわかんないけどさー。
[真似をして上着を掲げるイレーネの周りを、エプロンを高く持ったままくるくる回った。]
あははははは。
はっ……はっ……。
…し、死ぬかと、思った…。
…もう、さっさと帰った方が良い、かな。
[連中がまた戻って来たり、別の何かが現れても困るわけで。
へたり込み荒い息を吐いて肩を上下させつつ言葉を紡ぐ]
[そんな折に聞こえた近付く足音。
ハッと表情を強張らせ視線を向ける]
…あ、ああ…ティル様…。
見苦しいところをお見せしてしまいましたようで。
[相手の口調から襲われていたところを見られ、今へたり込んでいる姿を見られてしまったことに恥ずかしそうに笑った]
ええ、どうにか…。
あんなものが放されているとは露ほども思いませんでしたもので…驚きました。
[はふ、と溜息。
離れて、個室を出た。
……下駄まで用意してあることには、流石に驚いたが。
スニーカーは合わないにも程にあるから、いいんだけれど。
呟きながらも、納得はちっともいっていない表情。
ぱたりぱたりと、階段を下りる。]
…見られちゃったかしらね。
まーこの後どうやったってバレるだろうから、時間の問題でもあるんだけどー。
ギリギリまで手の内は明かしたくなかったんだけどねぇ。
…でもこの子も結構可愛いじゃなぁい?
もう少し経ったらイイ感じになりそ〜♪
目を付けておいても良いかもしれないわねぇ。
[テンションアップでうきうきモード]
……っていうか、お前ら、走り回るなっての!
[やけにはしゃいだ様子の二人に、素で突っ込む。
その様子が、『身内』の子供たちを諌める時のそれになっていたのは無意識か]
……っとに。
せめて、タオルを取ってくるとかしろっての……。
[と、言ってる自分が行けばいいのか、と。
くるり、踵を返そうと]
[ぱたぱたと駆け回りつつ、足元に纏わりつくスカートが邪魔で。
はたりと立ち止まれば何処かに干しておこうと脱ぎ始める。
インナーのシャツの裾が長いからきっと平気、のつもりらしい]
様付けされるような人間じゃないですよ、僕は。
[呼ばれ方に困ったような笑いを返す。
へたりこんだままの姿には手を貸そうかどうか悩み]
僕も知らなかったけど、まったく物騒な歓迎だね。
うかうかと休んでもいられないみたいだ。
…立てる?
[右手を上げながら首を傾げた]
ああ、そうそう。
自由に帰るのって無理じゃないかなと思う。
ここ、封鎖されてるみたいだし。
外とも連絡取れなくされてるからね。
[サラリと付け足した]
[階下――多分、広間から聞こえる声は、やけに騒がしい。]
何かあったのかな?
[首を傾げはするが、足は速めない。
階段は、一段、一段。
転ぶのが目に見えているから。]
アーベルに怒られた――。
[上着とスカートを手にぶら下げ、しょんぼり。
流石にちょっと寒いので翼に包まりながら、
片隅で三角座りで拗ねている]
やん、怒られちゃったよー。
あははははははっ。
[アーベルに声をかけられ、それでもにこにこ笑った。
上機嫌で、それでもまだ笑いながらくるくる回る。
水滴が、飛んで舞う。
イレーネがスカートを脱ごうとしているのを見つければ、引っ張って手伝おうとする。]
[きゃいきゃい、かしましい声。
……見えたのは、アーベルだけだったのだけれど。]
今日も何かあったんですか?
[「も」。
無意識に、そう付けていた。]
[イレーネが拗ねて端っこに座るのを見つつ、自分は未だ広間の真ん中でエプロンをパサパサと揺らして乾かす。
下を向くと、前髪からぽたぽたと水滴が床に落ちた。]
……っとに……これじゃ、ウチにいる時とかわんねぇな……。
[はあ、と嘆息一つ]
怒ってない、怒ってない。
いい子だから、ちょっとだけ静かにしてろ?
[しょげるイレーネに、声をかけつつ。
ブリジットの声に、そちらを見やって]
あー、なんか、烏賊退治してきたらしい、そこの二人。
で、見たとおり、ずぶ濡れではしゃいでるって……。
[説明はそこで途切れ、きょとり、蒼が瞬く]
……っていうか、服、変わった?
[服をそこいらに放っぽらかして]
――怒ってない、本当?
[と、見上げるように下からアーベルの様子を窺う。
ブリジットがやってきたのを見れば、
三角座りの膝に顎を乗せたまま翼を振って挨拶]
ええと…様付けは癖のようなもので。
執事たるもの、主様のお客様を呼び捨てにするわけにも行きませんから。
…これも主様の意向なのでしょうか…。
[未だ執事として呼ばれたのでは、と言う意識は抜けないため、ここへ集めた張本人を主と呼ぶ。
自分も巻き込まれている辺り、いい加減違うと割り切れば良いのだが、可能性が残る以上捨てきれないらしい]
あ、はい、立つのは、大丈夫です。
[そう返事をして立ち上がろうとする]
……。
[立ち上がろうとする]
……すみません、手を貸して頂いてもよろしいでしょうか。
[立ち上がれなかった。
申し訳無さそうにティルへと訊ねかける]
え、あ、帰る、ですか?
私は仕事でここに呼ばれたと思っているので、ここを離れるつもりはありませんが…。
[自分がさっき言った「帰る」を勘違いされているとは気付いていない]
それにしても封鎖、ですか…。
外とも連絡が取れない…隔離されている…?
[いい加減違和感が大きくなってきたか。
考えるように首を傾げた]
いかたいじ。
烏賊、退治?
[復唱した。
首が傾ぐ。]
……砂漠だけじゃなかったんだ、ここ。
って、それ、風邪引きませんか?
[あまりの事に、脳に情報へと情報が行き渡るのが遅れた。]
ああ、個室にあったので、着てみました。
昨日はなかった気がするんですけれど。
わたしのところだけかな?
[浴衣っていうんですよ、と言いながらくるりと回って、見せようとして、]
…………わ、た。
[転びかけた。]
あははは。
ブリジットさん、こんにっちわー。
その服、可愛いねっ!
[かがんだ格好のまま、首を横に捻ってブリジットに笑顔で手を振ったところ、転びかけたのを見て]
あははははは!
裾、踏みかけてるよぉ。
[笑った。]
[バランスを崩すブリジットに、思わず翼が伸びる。
届く距離かどうかは分からないが、反射的に]
大丈夫――?
歩き難そう、それ。
裸足は楽、だよ――?
[と小首を傾げて]
怒ってないよ。
[言葉と共に、向けるのは素の笑み。
『身内』に対しては、わりときつい兄貴で通しているのだが、短い時間共に暮らした少女には、出自の事もあってか、素で接する事が多かったようで。
そこらも、懐かれた理由かも知れない]
ああ、風邪引くからタオルだけでも……あ、着替え、あんのか。
……って、おっと!
[ブリジットの説明にそれなら着替えさせに行くか、と悠長に考えた矢先、転びかけるのが目に入り。
とっさに手を伸ばして、支えようと試みた]
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