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[ランディとレッグとの遣り取りに、もしかして何か邪魔したか、と思いながら。
二階へ上っていく二人を見送る。一緒にリエータも上がっていくのが見えて、少し不思議そうな表情に。
エリカはどうしたんだろうか?
と、わしゃ、と頭に温もりを感じて目を細めた。
質問には尻尾を振ってイエスのサイン。
ディーノの柔らかい声が、昼間自分の心に突き刺さった、人々の視線の冷たさを取り去っていくように思った。]
[部屋を出て、後ろ手で扉を閉めると、階段から足音。
くるりと首をめぐらせると、先ほど品物を頼んだレッグと、それに付き合うランディの姿]
二人とも、お疲れ様。
エリカはどうやら具合が悪くなってきたようなので、しっかりと診てあげたほうがいいわよ?
大切な人がそばにいたほうが、症状は楽になるようですしね。
〔シャロンがこちらを向き、言葉をかけてくるのに驚き、足を止める〕
…ああ、わかった。
忠告ありがとう。
〔それだけ返すので精一杯だった。シャロンから感じる何かに気圧されていたといっても過言ではないだろう〕
[肯定の返事が返ってくると主人に頼んで牛肉のグリルを作ってもらう。それをパトラッシュの前に置いて]
何かね、エリカが熱出したんだって。
起きて下に下りてきたらリエータしか居なくておかしいなー、とは思ったんだけど、そんなことになってたとは。
[パトラッシュの疑問を知ってか知らずか。2階へ上がっていくグレッグとランディを見送りながらそう呟いて]
〔レッグに視線を移し、固まりそうになる自分をほぐすかのように軽い口調で囁く〕
おい、大切な人、だってよ。
誰がエリカの大切な人なんだろうな?
あー、若いっていいよな。
あの時はうっとおしい親父だな黙っとけ!って思ったもんだが…。
まさか自分が親父側になるとは思いもよらなかったな。
わっはっは。
…は?
[言われて、きょとんと目を見開いて。]
いやその、エリィは幼馴染でーってぇか、その…
べっ、べつにそんなんじゃないんだからな!
[とか、わたわた言いつつ多少赤くなったりならなかったり。]
[そういえば昨日の夜からろくに食ってねぇや、と思いながら夕飯にありつくことにする。
こんな時でも肉を食べるのに抵抗が無いのは『パトラッシュ』の本能だろうか。
ナイスタイミングで疑問に応えてくれたディーノに、少し驚きながら納得する。まぁこんな状況じゃ体調悪くもなるわなー…。
はぐはぐとグリルを頬張っていると、食堂にシャロンが下りてきたのが見えた。
こちらに気付いていないのか無視しているのか、少し離れた場所へ行くその姿を横目で見遣る。
あいつを占うのか? と、ディーノに目で問いかけ。]
……え、と……。
[シャロンが最後に残した言葉やら、やって来た二人に投げかけた言葉やら。
それを受けてのランディとレッグのやり取りやら。
それらの意味が読めないのは熱のせいか、それとも素の反応なのか]
……うん……。
[それでも、大人しくしとけ、という言葉には、一つ、頷いた]
〔赤くなってわたわたしつつも、かいがいしくエリカの世話を焼く姿をほほえましく見つめつつ、自分も食事のプレートをベッドサイドに置いてやる〕
食うもん食って、それからだな。薬は。
リエータが淋しそうにしてたぜ。
〔にゃぁ、と一鳴きして、ご主人様の元へ〕
[階段を見ていると入れ違いでシャロンが下りて来て。その姿が目に入ると僅かに眉を顰める。視線を逸らし前を向くと、パトラッシュがこちらを見ていて]
…僕は他を調べたいんだけどな。
彼女が人狼のようには思えない。
もし人狼なのであれば、彼女は大事な存在を自分の手にかけたことになる。
そうとは、思えない…。
でも他を調べたらきっと彼女が納得しないだろうね。
一応、調べるつもり。
[僅かに瞳を伏せ、冷め切ったスープを喉に流し込んだ]
さて、後は若い二人に任せますか。
俺は風呂に入ってくるわ。
今日も蒸したし。
じゃ、ごゆっくり。
〔レッグの背中を鼓舞するかのように軽く叩いて、エリカの部屋を出ていった〕
ですね……食べないと、薬も効きにくいし……。
[ランディの言葉にこくり、と頷いて。
戻ってきた黒猫の頭をそっと撫でてやる]
……ごめんね、リエータ。
御飯、ちゃんともらえた?
[問いかけに、黒猫は頷くような素振りと共に、また鳴いて]
[ディーノの返答に、そうか、と頷く。
そして、少し思案して。
マスターが奥のキッチンに居ることを確認、シャロンもこっちのことを気にかけてない(……よな?)ことを確認して。]
俺はお前を信じる。
お前の思うようにやればいい。ついててやるからさ。
[ごく低い声で言葉を紡ぎ。
あとはそ知らぬ顔をして、食事を続ける。]
……ふぇ?
任せる……って?
[こて、と首を傾げて瞬き一つ。
出て行く背には、ありがとうございました、と声をかけ]
……なんか……ヘンなの。
〔階段を降り、宿屋の主人に自宅へ戻る旨を告げる。宿の風呂を使うよう勧められたが、着替えを持ってきていなかったので、やはり自宅に帰ることにした〕
〔ディーノとシャロン、それからパトラッシュに向かって〕
エリカのことは、騎士に任せてあるよ。
役立たずの親父は早々に退散してきたさ。
一度自宅に帰るわ。また後で、な。
〔そう言うと、宿の扉をくぐり、宵闇の中へまぎれていった〕
[皆の居る場所では喋らないと思っていたため、聞こえた言葉に少し身を硬くし。さりげなく周りに視線をやり、誰も気付いていないことに安堵すると、そ知らぬ顔で食事を続けるパトラッシュの頭を撫でて]
…ありがと。
僕も、君を信じてるよ。
[自分を支えてくれている存在。無条件に信頼を寄せられる相手。その相手にそう言ってもらい、ホッと安堵の笑みを浮かべる]
へえ。なるほど。
喋る犬。
確かにその通りのようね。
[シャロンが視線や体勢を全く動かさないまま、確かにパトラッシュの喋る声を聞いた]
うふふ。
良かったわね、エリス。
これでもし、あの犬を殺したところで道化にはならないようよ?
ちょ!オッサン! …ごゆっくり…て。
[気を使ってか出て行く姿にわたわた。]
…ん、まー…俺の方はだいぶ調子いいからさ。
今は余計な事考えねーで、きっちり休んどけな。
[ベッド脇の床に座って、ベッドの側面に寄りかかる。]
ぁ、邪魔だったら出てくけどさ?
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