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[ランプの焔が揺らめき、彼の手にした花火に、その灯火を分ける。
――音を立て、薄闇の中に姿を現す、七色の花]
……………
[ゆらり、手を動かせば、花もまたその形を変える。
花びらのように、咲いては散るその色は、儚くも美しく。
火で象られたそれに目を奪われ、彼は、言葉を失くす]
[暗闇の中、足下に注意しながら歩いていく。
…店の中とは違い、ランプの温かい光はなく…
その手に握る、少女の手だけが頼りで]
…
[一度振り返り…出店の灯りがまだ見えることを確認すると、耳に入ってきた微かな音に立ち止まる]
…花火…?
[辺りを見渡せば、視界の隅に入ったのは微かな…色とりどりの光]
[少年と同じように、花火をうっとりと見つめながら、少女は自分の手にも、一本の花火を持って火をつける。闇の中、新たな星が産まれて弾け、少年の持つ火の花を彩るように揺れる]
わーい、キャラメル味ー…って、甘!結構甘!
[一匙掬って口に運べば、キャラメルの甘さが口に広がって。
イチゴとの2択で、あえてキャラメルを選んだアーベルに若干驚きつつ]
ん?そりゃー一口貰うんだし。食べていいよ?
[ん、と差し出したところに、相手のスプーンが刺さる。
イチゴが避けられた様子に、内心ほっと一息吐きつつも]
アーベルにぃ、甘いの平気なんだねー?
[逆に、甘いのは弱いと思っていたから
ふと思ったことをポツリと口に出しただけなのだけども。]
[花火に見入る二人の表情に、壊してはいけないような気がして。
それ以上は言葉を紡ぐ事が出来ずに、きゅ、と繋がれた手を握る。]
[他に目印になるような光はなく…少女の声に振り返り]
…
[強く手を握る少女に、微かに首を傾げ…]
…どうしよっか。
一応…挨拶だけ、しておく?
−自警団詰め所(臨時妖精祭り実行委員会詰め所)−
……ふぇ、っくしゅ。
[奥の暖炉の前で毛布に包まって盛大にくしゃみ。
儀式用のトワミドリの枝を取りに森に入った団員が彼を見つけなければ、今頃凍死していたかもしれず。
あれこれ叱られたりからかわれたりですっかりぐったり中。]
…いや、うん…それがまー…記憶がさっぱりで。
昨日呑んだからかなぁ?
「キツネか妖精にでも化かされたんじゃないか?」
いやいや、そんな非科学的な。
[毛布に包まったまま、寒そうに甘酒を啜る。]
「そういやおまえ…ちっこい頃にも祭りの始まる前に森で迷子になってたっけなぁ?あんときも森んなかでぐーすか…」
えぇ?なんすかそれ?全然覚えてねぇっすけど…
[囁かれた言葉は、風に乗り、彼の耳に届いたか]
……っ、
[我に返り、はっと目を見開く]
[力の抜けた手から花火が落ち、地に触れた。
幸いにして、殆ど消えかけていた為に、少女に害をなす事は無かったが、星から焔に戻ったそれは無残にも散り、唯の燃え尽きた紙の束となった]
[キャラメルパフェを食べて甘いと騒ぐリディに目を丸くし]
…パフェだから甘いに決まっているだろう
[と、呆れながら、自分もキャラメルパフェを一口
ベアトリーチェとユリアンものんびりパフェを食べてるのを見ながら
つづく、リディの言葉に首を傾げ]
甘い物は美味しいじゃないか。
[と、当然とばかりに答える。]
[少年が落とした花火を見つめた少女は、自分の手にあった花火も地面に落とし、手のひらで掬った水を零して消した。濃くなった闇の中、ふわりと微笑む]
お迎えが来たのね、ミハエル。
[イレーナの声に、ゆるゆると瞳を向けて。
迷った末に…こくりと頷く。]
待って…心配して、ますよね……。
[主を待つ、訪問先の人の事を思い浮かべ、困ったような笑みで、もう一度こくりと頷いて。]
そいで、舞姫は結局どーなって…
[既に候補見つけた、との言葉に、目をぱちくり。]
…ロックフェラーさんとこのお嬢さんの息子さんの侍女さん?
なんかまー…複雑な。
[聞き覚えのある苗字に、凍りかけの頭はしばらく考えてから気が付く。]
って、フィー姉さん帰ってきてるんすか!?マジで!?
うーわ♪挨拶しにいかなくちゃっ!!
[母の従姉妹であり、幼少期の憧れの人であったその人を思い出して、思わずテンションあがりまくり。]
…うん。約束、したなら…ね。
[もそもそ。小さく頷くと、七色の光もなくなり…淡いランプの光だけが見えた]
…ちょうど、終わった…みたい、だし…
[ゆっくりとその光の下へと歩み寄る]
こんばんは…。
…遅くなりました。ミハエル様。
私の不手際ではぐれてしまい…すみません…。
[彼女は彼の付き人で。付いていけなかったのだから、はぐれたのは彼女の方という認識のままに。謝罪の言葉を口にする。]
や、パフェが甘いってのは判ってるんだけどー…
こう…イチゴパフェだと、ソースが甘酸っぱいでしょ?
けどキャラメルパフェは、甘い上に甘さが、どばっと…。
[こう、わたわたと説明をしながらも、
首を傾げられてあまつ当然のように言われてしまえば]
………そっか。
[…言葉は続かなかった。]
[微かに、水の零れる音]
[――お迎え。その言葉に、ぼんやり霞がかっていた思考が、徐々に明瞭になる。
そうだ。此処で、こんな事をしている場合では、なかったはず]
[ミリィの微笑みから顔を背けるかのようにして振り向いた先には、頭を垂れる侍女の姿があった]
……ユーディット?
[天の星とランプの光を受けて浮かんだ彼女に、まばたき]
…こんばんは。
[一応、少し後ろに立っていたが、驚かせるのも悪いか、と軽く手を振って…]
…
[成り行きを見守ることにしたようだ]
……………?
[わたわたと言い募ったかと思えば突然静かになって
リディの反応に首を傾げつつ、パフェを口に運ぶ]
…………うむ…
[溢れる甘さに、ほんの少し口元をほころばせ。
屋台において異質極まりない青年は、ますますもって異質となる]
まぁ…甘酸っぱいのも悪くはない…が
純粋に甘さだけを味わえると言うのも良いものだぞ?
[そんな異質になっていることに気づかず
青年にしては珍しく饒舌にキャラメル味を語る。]
[イレーナに勇気付けられるように、手を繋いだままで。]
……はい。
お迎えに…上がりました。
[主の声に、頭を上げて。こくり、頷く。
暗闇の中でもよく見える彼女の瞳は、主の表情の変化を捕らえていて。
安堵させるように、にこ、と笑みを浮かべた。]
[彼女の謝罪に、暫し、動きが止まる]
[再び聞こえた、お迎えという言葉に、ああ、と小さく息を吐いて。金色の髪を掻き上げるようにして、額に手を当てる]
……いや。
一度別荘に戻るなり、人伝に聞いて目的地に向かうなり。
僕の方からも、何らかの手段を講ずるべきだった。
[彼の瞳には、彼女の表情はよく見えていなかっただろう。
寧ろ、見えていたならば、目を逸らしていたかもしれない]
だから、その……君だけが、謝る事はない……
[続けて発しようとしたのは、彼にとっては慣れない言葉。
酷く、言い辛そうにして]
……すまなかった。
[顔は僅かに、俯き加減に。
目は微かに雪の残る地面へと向けられていた上に、極々小さな声だったが為に、他者に聞き取れたかは解らないが]
…いやー、そりゃーもう…フィー姉さんったら俺の女神っすよ、絶世の美女っすよ。
ほんっと、人妻にしておくにゃもったいない…。
[どっかの眼鏡さんみたいな夢見る瞳で、ほぅ…とため息。]
「お前熱でもあるんじゃねぇか?」
うん、30度以上はあるとおもう。
「…いや、そーでなくて。」
[額に手を当てられて、さっさと帰って寝ろと怒られたりとかして。]
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