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[宙を彷徨う手は、こちらでしっかりと掴み]
ほい、ゆっくり立ち上がってー。
慌てなくていいかんな?
[軽い口調で言いつつ、テーブルへとカルメンを導く]
「ぬけてる、ぬけてるー。
ユーリィ、いつもー」
[言葉を繰り返すカルメンに鸚鵡は楽しげにこう返し]
……ロートス、てめぇ。
[思わず、声が低くなった]
[彷徨わせていた手を掴んでもらうと、カルメンはゆっくりと立ち上がる。
それからテーブルへと連れて行ってもらい、ロミルダが引いてくれた椅子の背凭れへと手をかけた]
ユーラ、いつも、ぬけてる。
[ロートスが楽しげに返す言葉を再び繰り返す。
こてりと首を傾げたところを見ると、理解はしていないようだ。
それからユリアンに預けていた手を離してもらい、座る位置を手で確かめてから椅子に腰掛ける]
あり、がと。
[声の低くなるユリアンには気付かず、二人に微笑んで礼を言った]
/*
……盲人は止めた方が良かったじゃろか。
や、一応一人で行動は出来る、んだけど。
誰か居るとやっぱり手を借りちゃうね!
次からは壁伝いにしよかなぁ。
部屋の中はそっちの方がよさげ。
あんまり言ってると怒られちゃうですよ。
[ユリアンの声が低くなったのに気がついたのかどうか、ロートスを諭すように言った。
やっぱり笑っていたけれど]
わ。
カルねぇがロートスになったです。
[カルメンがロートスの言葉を繰り返したものだから、そんなことを言いながら]
どういたしましてですよ。
[カルメンのお礼にはそう返してから、またぱたぱたと席に戻った]
[ロミルダに諭された鸚鵡はこてり、と首を傾げてくるる、と一鳴き。
そんな鸚鵡をじとり、と睨んでいたものの、カルメンの様子に毒気を抜かれた気分になり、はあ、とため息一つ]
ん、気にすんな。
[笑みと共に向けられた礼に、いつもと変わらぬ声で言って、作ってきたサンドイッチを皿に取り分ける]
お、そうそう。
なんでかわかんないけど、新鮮な野菜が蓄えに入ってたんだ。
滅多に食べらんないし、味わっとけよー。
……?
カーラ、が、ローテュ?
[ロミルダの言葉に再びカルメンは首を傾げる。
自分は自分だけどな、そんな雰囲気を含んで居ただろうか]
お、やさい。
めずら、しい、ね。
い、ただき、ます。
[食事の挨拶をしてからサンドイッチへと手を伸ばす。
最初はテーブルの上で皿の端を探し、そこから更に手を伸ばしてようやく目的のサンドイッチへと。
サンドイッチを持ち上げるのではなく、顔を皿に近付けて食べるのは長年の癖。
零して床や服を汚さないための工夫だった]
……おいし、いね。
[サンドイッチを口に含むとしゃくりと音が立つ。
咀嚼し飲み込んでから嬉しそうに笑みを浮かべた]
[急に備蓄が増えた事への疑問はあるのだが、そこらは考えても仕方ない、と割りきり、自分も椅子に座ってサンドイッチに手を伸ばす]
前に『陸』に寄った時は、あんまり数入らなかったからなぁ。
[しみじみとした口調で言いながら、一口齧り。
瑞々しさに、表情が綻んだ]
ん、美味い。
しっかし、じい様、いつ来るんだか……。
[窓の外へと視線を向けつつ、小さく呟く。
外では、自衛団員が忙しく動き回っているのが見て取れた]
カルねぇ、ロートスのまねしてたです。
[カルメンが不思議そうにしていたから、ロミルダはそう理由を付け加える]
いただきますです。
[おんなじように食前の挨拶をしてから、サンドイッチをひとつ取った]
野菜、きれいな色してるですね。
おいしそうです。
[パンの間に挟まっている野菜を、珍しいものを見るみたいにまじまじと見てから、ロミルダは口に運んだ。
実際新鮮なものなんて、滅多に食べたことなどないのだ]
わ、おいしいです。
[一口目をごくんと飲み込んで、もう一口]
むぐ。
みんな来るまで待ってなさいって、団員さん言ってたです。
まだみんな集まってないですか?
[二口目を飲み込んだところで、ユリアンの言葉に首をこてんと傾けた]
[しばらくはもぐもぐと、手にしたサンドイッチを頬張り続ける。
野菜の色についてや自衛団員が忙しそうな様子には反応せず。
否、反応出来ず。
ただ言葉を耳にするだけだった]
ローテュ、の、まね。
ユーラ、いつも、ぬけて、る?
[ロミルダが口にした理由に、また言葉を繰り返した。
最後が疑問形になっていたけれど]
/*
ちなみに10さいくらいと書いたのは、
中身的には8歳くらいのつもりなのですが、
それだと低すぎるかもしれないからごまかしただけです。
んー、まだ、集まりきってないんだろーな。
呼ばれたのが俺らだけなら、とっくにじい様来てるだろうし。
なんでもいいけど、長く引き止められるとなあ。
お師さんに、何言われるやら……。
[ロミルダの疑問の声に、零れるのはため息。
修行中の身だけに、それが途切れるのは気がかりだった]
[繰り返された言葉に、何となくがっくりと来た]
……何度も何度も言わんでくれっつの……。
さすがにそれ、泣けるぞ……。
[カルメンに他意がないのはわかるものの、嬉しくはなく。
そんな相棒の様子に、鸚鵡は楽しげに喉を鳴らしていた]
はい、それです。
[カルメンの疑問系の繰り返しに、ロミルダは大きく頷いた。
伝わるのは声だけだろうけど]
むぅ。
ユーリにぃはお仕事大変なのですね。
ロミも早く、陸に行きたいです。
[床に付かない足をぶらぶらさせて言いながら、ロミルダはサンドイッチを一つ食べ終えた。
がっくりと来たようすには、喉を鳴らすロートスと顔を合わせて、やっぱり笑うのだった]
[がっくりとしたようなユリアンの声色に、きょとりとした表情で首を傾げた]
ユーラ?
…じゃあ、やめ、る。
[当人が嫌がっているのなら、と素直に止めることを口にした]
おしさま、に、ようじ、あるって、つたえて、きたら?
おはなし、きかなきゃ、ならない、って。
[修行のことを案じるユリアンに、不思議そうにしながらそう告げる。
ここに集められた詳細を知らぬ故の言葉]
大変っちゃ大変だけど、好きでやってる事だしな。
[ロミルダの言葉に、軽く息を吐く]
陸、かぁ。
んだな、早く行けるといいなぁ。
[自分の中の仮説が正しいならこの少女がここにいるのは何かの間違いとしか思えず。故に、言葉には実感がこもっていた]
[やめる、というカルメンに、ほっとしたのは傍目にも明らかだった。
もっとも、それと気づけるのは鸚鵡とロミルダだけなのだが]
んー……あんまり長くなりそうなら、それもあり、かな。
[不思議そうな問いかけには、こう返す。
掛け合えば、出してもらえるだろうとは思うものの。
あんまり歩き回りたくない、というのもまた本音だった]
じーちゃ、はやく、くると、いいね。
[陸へ行きたいと言うロミルダと、修行を気にするユリアンの両方へと言葉を向ける。
カルメンに焦る様子が無いのは生来の気性からか、それともあまり自由に出歩けないためか]
…ん、ごちそう、さま。
[ようやくサンドイッチ一つを食べ終え、食後の挨拶。
皿やテーブルに多少欠片が零れているのはご愛嬌と*言うことで*]
好きなのをお仕事にできるのは、いいことですよ。
前にパパが言ってたです。
[今度はお茶のカップに手を伸ばして、ロミルダは言う]
です。
陸は広いから、いっぱい遊べるです。
[言葉にこもった実感の意味は分からずとも、ロミルダがそれを本当に楽しみにしているのはきっと他にも伝わるだろう]
ああ、ほんとにな。
早く来るといいんだけど。
[カルメンの言葉に、一つ、頷く。
『陸』の神を信仰する自衛団長は、個人的には余り好きな相手ではないので、複雑なものもあるのだが]
好きじゃなかったら、できない、ってのもあっけどな、俺の場合は。
[ロミルダに向けるのは、苦笑めいた表情。
それでも、陸に行くのを心待ちにしている少女の様子に、何となくそれは*和らいだ*]
/*
さて、と。
プロ延長も視野に入れつつ様子見、かな。
後7人は、難しいかにゃ、時期的に……。
広報、頑張ろう、うん。
はいです。
あっ、お皿持ってくですよ。
[カルメンの言葉にはやっぱりうなずいてから、食べ終えたらしい皿をロミルダの分に重ねた]
ふぇ。そうなのですか?
なら、いいお仕事でよかったのです。
[椅子から降りながら、ロミルダがユリアンに向けるのは少しも曇りのない笑顔。
二人分の食器をかちゃかちゃ音をたてながら台所に運んで行く。
そうして戻って来てから、脇に退けていたスケッチブックを*また開いた*]
5人目、水人 クロエ がやってきました。
水人 クロエは、霊能者 を希望しました(他の人には見えません)。
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