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くすくす。まぁ、受け入れるとは言っても、
すべてを額面通り受け取っているわけでは。
全面的に信頼するには、ナンセンスですから。
[メモを取るペンが鈍く光る。]
たとえば。あくまでも、架空の物語ですよ。
私が、今ここでこのペンを振り回して。
虚を突かれて、みんな餌食に。有り得そうですね。
[思案するばかりの一同を見回しつつ。]
美学の専門……どうなのでしょうか。
ただ俺は、神が与え給うた「美」を素直に享受できないだけの、愚者かもしれません……
[奇妙な動きをする右目に、静かに声を掛けた。]
お礼は私よりクインジーに。
頭をぶつけたりとかしてなければ良いのだけど。
良く分らないと言うのも不安だけれど、大丈夫なら良いわ。
[受け止めた濡れタオルを手元へと引き寄せたたみ、視線を向けて来るナサニエルに微笑んだ]
[男の記憶は意識が消失していた間に、随分と上書きが進んでいた。]
[そのお陰で、侵食に伴う混乱が大分軽減されていたのだが]
そう卑下しなくてもいいと思いますよ。
貴方は私の興味を引いた。誇ればいいです。
[眼帯の男に笑みを向ける。]
貴方とは有意義な話ができそう。とても。
そう。
人狼と呼ばれるものは、
それを齎す為に居るのだって。
[己が異質とは知れど]
[己と同じ者に会ったことはない]
[されど、その違和に気づかぬままにかれは言う]
そうそう。
名を名乗るのを忘れていました。
俺の名は、「ギルバート」……
おそらく、自分の名をこれと認識しているようなので、これが俺の「名前」なのでしょう。
以後、お見知りおきを。
[恭しく、一礼。]
そう言ってもらえるなら。
気も楽になるわ。
[笑み返してくる眼帯の青年にもくすりと笑みを返した。そう言えば、とその青年に自分の名を告げ、相手の名を聞き出そうとする]
[困惑したようなナサニエルの言葉にまずは頷きを返して]
ええ、ここに居る人は皆同じ境遇らしいわ。
番人を除いてね。
話は……信じるのも馬鹿らしい話ではあるのだけれど。
[そう前置きをしてから、アーヴァインから聞いた話をそのままナサニエルへと告げた]
[誰に断る事も無く、女は廊下の先を行く]
[チリン]
[鈴のか細い音色が、足を留める動きに合わせて鳴った]
ごきげんよう。
[ブーツの重たい音にも、女は唯くれないを横に引くのみ]
[二度三度と首を振る。
翠は揺れたまま、意識して逆の方向へ。
転じられた先は窓の外に輝く望月]
あんなにきれいなのに。
[会話から外れた呟きが毀れた]
[若く無邪気な同族の聲が、聞く『耳』を擽る。]
成る程。
終焉を齎す者……か。
であるなら。
それは俺に最も相応しい。
[男は喉を鳴らすようなかすかな嗤いを聲に乗せた。]
[覚えのある声に、そちらを見やる。
先に担ぎ込まれたナサニエルが目覚めたのを見て取り、そちらは他に任せればいいか、とすぐに視線を逸らした]
……きれい……?
[それから、ふと耳に届いた呟きに、蒼氷はそちらへと]
ギルバートさんね。私はイザベラ。
[ギルバートのことをメモに残す。]
さてね。彼の話はどうあれ、今後のことを
みんなで考える必要があるかもしれないわね。
集団生活には、ルールが必要ですから。
ありがとうございます、マダム。
お褒めいただき光栄にございます。
[イザベラに微笑み、そして周囲に視線を向ける。]
――ところで。
先ほど赤毛の青年が言った通り、この「終焉」とやらは何の終焉なのだろう……ひどく、奇妙だ。
「終わり」は、「始まり」が無ければ終わりはしない。「始まり」の無いものは、ただ漫然とそこにあるだけなのだ……ということを忘れてはいけない。
「始まり」を提示されていない「終焉」は、何の「終わり」なのだろうか――…
このまま「番人」の御方からの説明が何も無いままならば、答えは極めてシンプルだ――…
[僅かに頭を傾け、今聞かされた内容に考えを巡らせる。]
では、端的に言って、彼は私達に殺し合えと言っているのですね。
[思慮深い、平静な表情。]
[玄関を目指す方向から聞こえていた鈴の音にもブーツは止まらず、待ち受けていた女の紅が刷く形を見る]
よお、ご機嫌は悪くないぜ。
食いもんもあればもっとよろしくなるがな。
[右から左へと足にかける体重を移し、体を揺らして前に出る]
ペンを?
[女のひとの声に、また視線を動かします。
ペンの形は見えませんが、そのぎらりとした光は見えた気がしました。
思わず眼をぎゅっと閉じます。]
まぁ、そう言うことになるわね。
その話を信じるならば、なんだけど。
[ナサニエルの言葉には少し肩を竦めるような仕草]
イザベラが言うには、信じないことには話は進まない。
確かにそうかもしれないけれど、信じるにはちょっと、ねぇ。
俺は、
終焉に在って、決して滅ぶことの無い者だからさ。
[愉しげに]
[だが一抹の自嘲を込めて、まだ若い同族の耳元に囁くように聲を送った。]
[ギルバート、と名乗った男から投げられた問いに、微かに眉を寄せ。
思案するよに腕を組む]
……「始まり」のない「終わり」はない、か。
「始まり」が、俺たちがここに来た事……と定義できるなら。
そこから繋がる「終わり」は、俺たちがここから立ち去る……居なくなる事、と読めるかね。
……その手段や在り方はともかくとして、な。
[目を閉じる刹那。
もう一度、眩暈がしました。
青い髪の男のひとが、はっきりと映って。
薄らと眼を開けてみましたが、映る色は既にいつもの通りでした。]
「始まり」は此処にはなく、私たちがこの城へと現れた時、集った時にはもう決められていたのでしょう……
その答えを我らが忘れているだけで。
[男は半眼に目を閉じ、そっと呟いた。]
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