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[彼は立ち上がり、テーブルからホットワインのカップを一つ取って、ユリアンの前に差し出す]
キミも具合が悪そうだ。大丈夫?これ、暖まるよ?
[眉間に指を押し当てる。
強い眩暈に堕ちかけた意識をどうにか保って]
…ああ、ありがとう。
[差し出されたカップを受け取り、少しだけ口を付ける。
暖炉に熱された体には暖かさを与えることはなかったが、嚥下するという動きに、少し落ち着きを取り戻した]
果物も、オトフリートが持ってきてくれたのがあるから。
朝食って気分じゃないかもしれないけどね。
[彼はにこりとユリアンに笑いかけ、イレーネの隣に戻る]
投票を委任します。
教師 オトフリートは、小説家 ブリジット に投票を委任しました。
ん、サンキュ。
[中程まで飲み下したワインの効果か、礼と共に笑みを返すことができるまで落ち着いて。
テーブルに置かれているオレンジに手を伸ばす]
…外、そのまんまになってるのか?
[染められたままの雪の色。
オレンジを齧りながら、ふと尋ねる]
[ワインを飲み終える]
[それから、物を片付けて]
―厨房→居間―
[イレーネを見て、少し落ち着いたようだから、ほっとするも]
[ユリアンの言葉に]
…弔ってやらないと、いけませんね…
[彼はイレーネの方をちらちらと気にしながら、ユリアンの言葉に応える]
うん。そのままだと思う。
狼の群れが戻ってくるかもしれないし…ほんとは御弔いしなきゃいけないんだろうけど。
僕…あんなに沢山の狼、初めて見たよ。人を襲うなんて雪で餌が無くなってたせいなのかな?
[人狼の話と狼の群れを敢えて切り離そうとするように言葉を繋ぐ]
[時折 果物を齧りながら、ぼんやりと]
そのまま……
[ユリアンの言葉に、頷いて]
……魂は………鎮まった…、かもしれない……けど。
[声がする。
声が聞こえる。
姿も見える。
今はもう、いないものが。
手を離した。
ずっと一緒に、と。
永遠を共に、と。
全てを捨ててでもそうしようと決意したはずなのに。
なのに。
手は、離れて]
[泣きながら、微笑んでいた。
手を離してしまったものは。
白に。
飲まれながら。
手を伸ばした。
だけど。
おかしな痛みがそれを遮り。
華奢な手を、掴むことはできなくて。
全ては、白の中へ。
そして……]
外は危ないかもしれませんが……
それでも、弔いはしてやらないと
[それからイレーネの言葉をきいて、やはりそっと頭を撫でて]
…人狼、なのでしょうか…?
─二階・個室─
……いやだっ!
[絶叫。それが、夢想を破って。
繋がる意識。目の前にあるのは、少なくとも、それまで見ていたものではなくて]
あ……。
[呆けた声。身体の力が、一気に抜ける心地がした]
[オトフリート、アーベル、イレーネ。
皆がそのままだと告げる。
確かにアーベルが言う通り、外は危ないだろうけど]
幾ら雪が覆うからってさ。
あのまんまはやっぱ、寒いよな。
[カップを煽り、ワインを空にして。
イレーネの魂は鎮まったかもという言葉に少し首を傾げたけれど]
俺、ちょっと行ってくる。
[席を立ち、掛けられていた上着を取る。
恐らくは自衛団員の替えの物だったのであろう上着。
簡単に着込めば扉を開け、外へと]
―居間→集会場外―
私も、行きますよ
[ユリアンが行くのを見て、あわてて後を追う。]
[先ほどのワインがきいているのか、幾分かしっかりしたようで]
―→集会場外―
[心拍があがっているのがわかる。重度の発作。
右の肩が熱く、疼いて]
いやだ……俺は、もう……。
[震える左手で、右肩を掴む。仔猫の不安げな鳴き声も、今は届かなくて]
あ…待…
[彼は、外に出て行くユリアンとオトフリートを追おうと、立ちあがる。しかしその足からは再び力が抜けていて、かくりと、床に膝をついた]
う〜…
[俯いて、唇を噛み締める]
[人狼。またその単語が耳に残った。
連れてこられるその日にも、その単語は聞いていた]
…ちゃんと、聞いておけばよかったかな。
[広がる惨状。
視線の先には、自分を此処へ連れてきた自衛団員]
[後ろから追ってくる足音に振り返る]
オトフリート、大丈夫か?
何か…具合悪そうに見えたけど。
私は、大丈夫です。
[さっき、驚いただけですから、と]
[それから]
…埋めて、あげましょうか
[ぽつり、つぶやく。雪に目を落としたまま]
[出て行くユリアンとオトフリートを見送り]
[膝をついたアーベルを見、立ち上がり、傍にしゃがみ込んで]
………大丈夫……?
[不思議そうに、首を傾げて]
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