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[わたしはそのひとに近付き、言葉を重ねます。
相手の正体を知っていることと、わたしの正体と。]
…それと。
[わたしを「ハズレ」と称した、男の話をしました。
考えて出た結論に確証はありませんから、気をつけたほうがいいかも知れない、とだけ。]
[もし望む訳を尋ねられたなら、わたしは答えたでしょう。
この世界が終わったら、新しい世界に行けるのでしょう、と。
そう長い時間は取らず、わたしは部屋を後にします。
話の間、きちんと眼を見ていたことに、相手は気付いたでしょうか。]
[そうして日が昇る頃。
昨夜のことなどなかったかのように、わたしは部屋を出て、また血の臭いを嗅ぐのかも知れません。
気配には気をつけたつもりでいましたから、何処かで見られた可能性など考えていません。*]
―深夜・回想―
[フィンが「花を摘む」と称して女を狩りに出かけている間。]
[男は結局狩りには出ず、塒としている客室に篭っていたのだった。]
[扉の前にやってきた気配は、警戒しているあの隻眼の男や髭の男のものではなく、足取りもおぼつかぬ女のものであったので、彼は戯れにその侵入を許した。]
/*
ぬっちゃけ自分でもどうかと思うが、
こうする他に思い付かなかったのですよ。
ラッセルは今日修羅場になったら話せなさそうだし、
ナサニエルはまだ表出る気なさそうだし。
というか狂信者1人ですよね?…ね?(不安になった)
投票を委任します。
見習い看護婦 ニーナは、冒険家 ナサニエル に投票を委任しました。
学生 ラッセルが「時間を進める」を選択しました
[娘の語った話は、彼にとっては悪い方の部類の話だった。]
[不安が的中したこと]
[この娘を盾にすることはもはや出来ないこと]
[表情は平静を装いながら、内心では舌打ちをした。]
[暗澹たる夜は終わりを告げ、
世界は陽の下に照らされる。
城内の冷えた気配は日に日に増していた]
……なんか、変な音する?
[されど厨房に立ち、煮立つ鍋と顔を付き合わすさまは。なんとも平和だった]
[何故娘が自分達に協力する気になったのか]
[その理由は男にとってどうでも良いことで、]
[また、様々な事情から人狼に肩入れして、自ら破滅を求める人間は見飽きるほどであったから、]
[それを尋ねたのは本当に、娘の動機や背景を知っておこうと言う保険程度のものだった。]
[娘を信用してはいなかったが、とりあえず泳がしておいても問題はないように感じたが故に、生かして帰した。]
[――単純にこの世界の法則、『一夜のうちに襲えるのは一人だけ」を遵守せざるをえなかった為であったかも知れない。]
[鍋を一つ駄目にしかけつつ、
一時は温め過ぎたミルクをカップに注ぐと
椅子に腰かけ足を伸ばした]
……料理って、大変だなぁ。
ベルといい勝負かも。
[呟いた名の持ち主が彼岸の人となったのは知らず、
しかし、誰かがまた、殺された事は察していた。
人の手によって――人が。
ネリーを弔わなかったのと同じく、
見に行くことはなかったけれど]
フィン。話がある。
[娘が出て行った後、男は沸き立つ感情を押し殺し、平板な聲で年若の同族に、娘から齎された情報を伝えた。]
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