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流れ者 ギルバートが「時間を進める」を選択しました
/中/
ギルさん、描写ありがとうございます。
なんかこう、中的には驚いたというか、喜んだというか(ぇ)
好きなキャラで好きなキャラに殺害されるというのは、ある意味本懐を遂げた気分です(まて)
しかし、昨日のハヴギル展開から予想はしてたけど…
本当に血ぃ貪られるとは…
――浴室――
[少女は熱いお湯に浸かりながら、ルーサーの言い残して言った言葉を反芻していた。]
人狼の餌食に、または人々の疑いの矛先が向かう先。私達がその両方の対象になったとしても――
一人残る――
神父様は人狼の餌食に…。そしてナサニエルさんは…怪我をしていた青年によって…。
――ねぇ、神父様…。あなたは初めから…こうなることを予想していたの?
予想していたから私に……?
[ぱしゃり――]
[水音が跳ねて、少女の顔を濡らす――]
[跳ねた水滴を右手で拭いながら]
あなたから授かった『聖書』は…、やはり私には重すぎて――でも誰を頼ればいいか判らなくて…。結局私は無力だって――思い知らされる…。
[ぱしゃり――]
[再び水音を立てて左手を水面から差し出し、じっと見つめて――]
せめて成長が止まっていなければ…
今よりはもう少し楽に――あの『聖書』を扱えたはずなのに……
[少女は薄紅色の唇を強く噛みしめ――]
[滲み出た血液をそっと舌で掬い舐める――]
美味しくない…血なんて…。
こんなの…食事じゃないっ…
だから人狼の事なんて――解らなくていい…。
だから…答えなんて…要らない――
[交差するのは過去の記憶――
一命を取り留める代わりに与えられた問いかけに――
少女は…解き明かすことを拒絶して]
探さなきゃ…人狼を――
[弱さを流し落とすように勢いよく立ち上がり、少女は浴室を後にした――]
――浴室→*客室へ*――
――客室――
[一日振りに戻る自分宛に差し出された部屋はもう、既に少女のものでは無いような気がして。]
[さらり――]
[頬を掠める金糸を耳に掛けて――]
[少女は手際よく着替えをし、荷物から小さな何かを手に取り、『聖書』を抱えて――]
さよなら――
[離別の言葉は何に対してか――]
――客室→温室へ――
[久方振りの][夢の無い睡りから目醒めて]
[血と死の匂いで満ちた部屋で]
[ゆっくりと目を開ける。]
[茫漠とした眸は未だ夢の中に在る様で]
[夢中で血を貪った時の心地は]
[漠として霞んでいるけれども]
[満たされた心地は真実で。]
[古い皮が剥がれ落ち][その上を新たな皮膚が覆って行く様に]
[此の心が変わりゆく恐怖は消えていた。]
[暫く然うしてゆったりと]
[死した恋人達の居る寝台の上で]
[茫と視線を漂わせていたが]
[やがて、]
[其処から下り立ち。]
[引き裂いてしまった青年の服の襟を掻き合わせ]
[傷口を隠して][毛布を掛けた。]
[思い付いた様に]
[部屋に掛けられた鏡の前に立つと]
[血に染んだ口元を舐め取り][其処に在った布切れで丁寧に拭い]
[吸血の痕跡を消し去る。]
[部屋の中を捜して][見付けた青年の荷物の中から衣服を取り出すと]
[切り裂かれた服を脱ぎ捨て][其れを身に着ける。]
[然うして]
[すっかり身支度を整えると]
[ふらりと]
[部屋の外に出て行く]
――温室――
[以前訪れた時と同じように少女は花籠を携え、室内をゆっくりと歩く――]
[細く小さな指が選ぶのはフリージア。神を捨てた少女に、献花に選ばれる花など目に映らない。
やがて籠いっぱいに摘み取られた花びらに、黄スイセンが入り混じったのは、花言葉に込められた少女の願いか、今は誰も知る由も無く――]
[さらり――]
[揺れる金糸は、誘われるように舞い――]
さぁ、神父様の器にお別れをしなくてはね…
[少女は花籠の中に閉じ込めた『聖書』に一度だけ視線を落として――]
[ふわり――]
[花の匂いを漂わせて――]
――温室→屋敷内へ――
[偶然にも探し出した浴室で]
[浴槽には浸からず]
[タオルを濡らして身体を拭い][身を清める。]
[水気を拭き取り、]
[鏡に映った姿]
[鬱血の痕跡の残るだけとなった皮膚]
[塞がった傷痕の上に][もう一度包帯を巻いて行く。]
――屋敷内 廊下――
[屋敷内に足を踏み入れた花籠を携えた少女は、ふと、視界に加害の青年の後ろ姿を見つけ――]
[かさり――]
[花籠を胸に携え――]
[その後姿を追いかけて――]
こんにちは…。お兄さん。あなたは何処へ行くの?
良かったら…私もお供させてくださらないかしら?
[ふわり――]
[あどけない笑みを、青年に向けた――]
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