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―二階・個室―
[ベットの端に腰掛けて、雑巾を片手に、古ぼけたランプの手入れ。
その横顔が、人に接する時よりも楽しそうに見えるのは、恐らく間違いではないだろう]
………よし。
[やがて満足がいったのか、そう呟くと、ベッド脇のテーブルにそれを置いて。窓際に干してあったローブを纏うと、階下へと降りる]
[普段は人の良さそうな顔付きの自衛団長は、緊張故か、未だ固い表情。
形式的に頭を下げれば、視線の先に、昨日の機械犬を発見して。
興味深げに、じいっと見詰めている――というか、見詰め合っているというか]
[厨房で調理材料を探せばかなりの量があり、顔に憂いを浮かべる。]
[しかし気を取り直し、パンやら肉やら野菜やらを見付けると、手早く炒めたりしてチーズをかけてオーブンへ]
[楽にピザトーストらしい]
[暫しの見詰め合いの後、ふと、思い出したように片手を伸ばして]
……お手。
[沈黙。
いつの間にか、機械犬はスリープモードになっていたらしい]
[変わらぬ表情ながら、残念そうだ。
新たに加わった肉球の存在を知っていたら、もっと残念そうだったかもしれない]
[そして放置して犬にはどうしたらいいだろう? と覗いてみれば、見知った姿]
イレーネ?
おはようございます
[にこりと笑って]
[……なんだかすごいものを見たと思ったか。]
[とりあえずピザトーストをつくりましたよと声をかける。ギュンターにも]
[そしてできあがりの香ばしい匂いに、あわてて厨房にいって*とりわけ*]
[しゃがみ込んだ体勢のまま、そちらを見上げ]
…おはよう。
オトフリート。あなたも……、か。
[此処に呼ばれたのは、と言いたかったのだろう。
“眠って”いる機械犬をそっと撫でつつ、何人呼ばれるのかとぼんやり思考]
[物を片付けて、一休みしていたら、何時の間にか眠ってしまっていたらしかった。苦笑しながら目を覚まし]
…もうこんな時間ですか。
ところで何名が此処に来るのでしょう?
[呟いて、しかし椅子から立ち上がる事はなく。答えを待つにも自衛団長は黙ったまま]
─二階・個室─
[猫の鳴き声に、まどろみから目を覚ます。
開け放った窓辺に椅子を寄せ、雪を見ながら考え事をしていたら、そのまま転寝していたらしい。
吹き込んできた雪が金色の髪の上に、白い陰を広げていた]
ん……。
[まだ眠っているのか、惚けた声を上げる...に、白い仔猫は甲高い声で呼びかけ続け、その声に僅か、瞼が持ち上がる]
んん……ああ……ペルレ?
ミルクなら、教授にもらえ……。
[…まだ寝ぼけているようだ]
[惚けきった反応に、仔猫は不満げに喉を鳴らし、更に呼びかけ続ける。
その訴えが届いてか、...は、一度は閉じた目を開けた]
……んー……。
って、ここ……あ、そうか……。
[周囲の雪に、ようやく自分の置かれている状況を思い出す。
ふる、と頭を左右に振ると、積もっていた雪が煌めきながら周囲に散った]
……ふう……寒いな。
下行って、何か……あったまるものでも、勝手に作って飲むか……。
[寒いのは当たり前だが、それを突っ込む者は猫以外になく。
ともあれ、窓を閉めた...は、白い仔猫を肩に乗せて、ゆっくりと一階へ降りて行った]
[少し困ったような表情で、暫く視線を動かしていたが]
まぁ、誰か来る前に、鍋でも作りますかね。
[何鍋にしましょう、などと考えつつ]
[と、足音が聞こえたような気がして振り返る。階段から降りてきた金髪の…]
ああ、エーリッヒ。
一体いつのまにこちらに帰ってきてたんです?
[遂に学校、やめさせられました? と、微笑んで]
[呼びかけに一瞬戸惑い、声の方を見やって一つ瞬き。
そこにいるのが誰か気づき、そして、投げかけられた言葉が眠気をどこかに追いやった]
……お前な……人の顔見るなりそれかよ。
年末くらい帰郷しろ、って、教授に帰されだけだ、退学はくらってない!
[微笑みに、憮然とした面持ちで言い返し]
残念。あ、違いました。
我慢強い教授で良かったですね
[にこにこと人のよさそうな微笑を浮かべつつ]
でも帰ってきていたのは知りませんでしたねぇ。挨拶くらいしたらどうなんです?
[軽い欠伸混じりで二階より下りてくる]
…おはよう、と言う時間じゃないわね。
仕事は夜が多いから、昼は眠っている事が多いのよね、私。
[周りを見回し幾らか増えた者に気付き、壁のボードを見遣って]
今度は誰?
と言っても、私が知っている筈ないわね…
それにしても静かね。
ねぇ、食事とかはどうなっているのかしら?
[見張りのような自衛団長は何も答えぬままで]
自分で作れ、と言うことかしら?
宿に居る訳じゃないから仕方がないけど…
[半ば諦めたように呟いて]
[何処へ行っていたのやら、集会所の奥の方からふらりとやって来て]
………相変わらず…、仲、…いいね。
[二人のやり取りを見て、一言]
[眠たそうに降りて来た女性にも、頭を下げ]
こんばんは。
[人工的な光の下、微かに笑みを浮かべる]
[と、階段から降りてきた女性を見て、微笑みのままに]
こんばんは、でしょう。初めまして。
私はオトフリート=フィッシャーと申します。
宜しくお願いしますね
[それから続いた言葉に思案するように]
そうですね、昼は少し作りましたけど。
何かおつくりいたしましょうか?
…一体、何が残念なのかと。
[ったくもう、とぶつぶつ言いつつ。ともあれ、冷えた身体を温めようと暖炉の側へ向かう]
帰って来て早々、ここに強制連行されたからな。
挨拶周りしてるヒマなんかなかったよ。
[昨日も居た男と、新たに増えた男が話しているのに気付き軽く会釈をして]
こんばんわ。
邪魔をしてしまったかしら?
エーリッヒさんと…
[もう一度壁のボードを確認して]
オトフリートさんで良いのかしら?
[相変わらずの営業用の微笑を浮かべて]
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