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[その後は最後まで片付けを手伝ってから。
いつも借りている小さめの部屋へと引っ込む。
窓の向こうの街はまだまだ賑やかに見えて]
……ったく。
なんか色々、忙しなさそ。
『本番』にまで、出るハメになっちまうしなぁ……。
[大袈裟なため息と共にこんな呟きを落として。
さすがに一日の疲れが出たか、眠るのは早く。
明けて、翌日。
食堂で食事を済ませた後]
……さぁて……どうするかなあ。
[何となく、練習所に行きたくない天邪鬼精神から、ぼーっとしていたり]
[話を聞いた後は宿屋へと戻り]
[その日は何事もなく就寝する]
[予め同僚にも連絡は入れておいたため]
[夜中に叩き起されることは無かった]
─次の日─
[目覚めた後は直ぐに簡素な食事を腹に収め]
[調査を開始すべく表へと出ようとする]
[けれど宿屋の中で聞こえた言葉に足を止めた]
……おい。
その話は本当か?
[話をしていた二人組の旅人と宿屋の主人に声をかける]
[内容は旅人が一人行方不明になったと言うこと]
[旅人二人と宿屋の主人が「気をつけねぇとなぁ」などと話している横で]
[手巻きタバコを咥えていない口元を右手で覆い、考え込むような仕草]
…その旅人が取っていた宿がどこかとか、連れが居るのかとかは分かるか?
[続けられた問いに返ってきたのは否定の言葉]
そうか、なら良い。
邪魔したな。
[彼らにそう言葉を向けると宿屋の扉を押し開けた]
噂が広まってるってことは…。
あのオッサンの耳にも入ってるな。
あっちに聞いた方が早そうだ。
[問題は今どこに居るかと言うこと]
[ひとまず大通りに出て詰所へ向かってみることにした]
─宿屋→大通り─
お。
あそこの露店はまだ行ってなかったな。
どれどれ、どんなもんか……ん?
[新たな食べ物を求めて移動を開始しようと思った矢先、自分のズボンのすそを引っ張られた感触がした。
ぐるりと首を回し、そちらを眺めると、小さい女の子がレナーテのズボンを握ってる姿]
ありゃ?
どうしたんだ、お前?
親御さんは?
[言いながら周りを見渡すが、該当するような人物もおらず、当の子供も、小さく首を振るばかり]
あっちゃー。迷子か。
[困ったように、頭をかいた]
―大通り―
さぁて、と。
[本来ならば練習所に行く時間。
長い髪も垂らしたままに道を歩くエリザベートの表情には、やや厭気が表れていた]
……なんで私に任せるかな。
[代わりを探す。その役目を命じられたのが、本来の担当者ではなく、自分であったこと。それが不満の理由だった。
しかし、文句を言っても始まらない。
溜息を大きく吐き出して、頬に落ちてきた髪を掻き上げた]
[その様子に子供はちょっと悲しそうな顔で見上げたが、すぐにレナーテはかがみこんで、笑いながら子供の頭を撫でると]
よっしゃ。
アタイが一緒に探してやるよ。
なんつったって、アタイは何でも屋だからね。どんな依頼でもそれに見合った報酬しだいで解決さ。
アタイの名前はレナーテ。
アンタは?
『……ベアトリーチェ。
でも、私、お金無い……』
見合った報酬しだいつったろ?
今回は、ベアトリーチェの心からの笑顔ってやつがその見合った報酬ってやつさ。
さ。行こうぜ。
[そう言いながら立ち上がり、レナーテがベアトリーチェの名前を大声で叫びながら、歩き始めた]
『待って……』
[早々に歩き始めるレナーテにベアトリーチェが慌てた様子でついていく]
おっと、悪い悪い。
はぐれないように手を……って、ちょいと身長差がありすぎるかな。
んじゃ、さっきのようにズボンのすそ掴んでなよ。
ま。はぐれても、他の人間から頭一つ分でかいから見つけやすいと思うけどね。ははは。
『……うん』
[ギュッと強く少女がレナーテのズボンのすそを掴むと、レナーテがまた歩き始めた]
だーれか、知ってるやつはいねえかー。
子供が飽きないよう、
ってことは子供がターゲットなわけで。
[ぶつぶつ。腕を組んで独り言ちつつ歩む。
人通りが多いにも関わらず前を見ていないものだから危なっかしい]
……孤児院で人形劇あったって聞いたな。
[昨日会ったばかりだというのに、ゲルダの事はすっぽりと頭から抜け落ちていた。
子供向けか否か、も視野にはあったのだろうが]
美味しいー。
やっぱり街は賑やかでいいですねー。
[満足そうな顔で羊肉に齧りつき、こっそり頼んでいたカップの中のエールが師匠にばれたら誤魔化し笑い。噂話に耳を傾けたり、他愛ない話をしたりしつつ、やがて夜が更ける前には部屋へと戻り、明日のために就寝]
― 翌朝 ―
それじゃ、先に行ってお店の準備してきまーす。
[ハンスに告げると、軽い荷物を抱えて露店へと続く道を歩いていく]
― 宿屋→大通り ―
[しばらく食堂でうだうだとしていたものの。
邪魔になるからとっとと行け、と主人に促されて外へ出るハメに]
んー……とりあえず、爺様んとこ、行くかあ……。
[は、とため息を一つ落とし。
詰め所へ向かうべく、大通りへと出た]
─ →大通り─
[顔を上げ目をやった先には、群集から下手すると頭一つ分は抜きんでた女性]
……どこかで見たような。
[昨日、傍を駆け抜けていった人物とまでは気づかぬまま、立ち止まって注視した]
─大通り─
[しばらく歩いて一度立ち止まり]
[胸ポケットから道具を取り出し手巻きタバコを作り上げる]
[口元へと運び指を鳴らして火を灯し]
[肺いっぱいに吸い込むと右手で手巻きタバコを摘み]
[大きく紫煙を吐き出した]
……聞き覚えのある声が響いてるな。
[ふと、聞こえた声に隻眸が周囲へと向く]
[声は未だ遠くのようだが己の耳にまで届いていた]
人探しか。
精が出るな。
[紫煙交じりに呟き、再び歩き始める]
[手伝うと言う概念は当然無かった]
何かしら?
[聴こえてくる大きな声。足を止めて、声の方を見やる]
あれ、昨日喧嘩してたお姉さん……?
[人に紛れて小さな従者の姿は見えないが、どうやら誰かを探している様子]
…信用ね。
[声には思いきり不信が滲み出ていた]
まあ、いい。
今更変更も効かないだろうしな。
[半ば諦めたような言葉を最後に、昨夜の声は切れた]
─大通り─
[雑踏の中を進んでいくと、何やら聞こえて来る、声]
……あれ、昨日のおねーさん、か?
[まさか一つしか違わない、とは思っていないようで、こんな呟きをもらしつつ]
またなんか、やってんのかな……っと、それより、爺様んとこ行かないと。
見回りに出られると、捕まえんの大変だからなあ。
― 大通り ―
どうかしましたかー。
[女剣士に近づいて声をかけると、彼女のズボンをぎゅっと掴む小さな少女に気がついた]
……迷子かな?
[屈み込んで少女と目線を合わせ、にこりと笑いかける]
[大声出して歩いていると、目立つ行為を数回しているせいか、何度と無く注視されたが、声の内容を聞くと、「?」という顔をされた]
……こんだけ大声で探しても出てこないってことは、近くにいねえのかなあ。
こんにちは?
[傍まで近づくと、赤髪の女性を見上げ、挨拶を投げかける]
何か、お探しかしら。
[普段、弟に向けるよりも高い目線。
人並みよりは背はあるつもりだが、勇に20cmは差があった。
腰の辺りの子供、ついでに屈んだ少女にも、気づかずじまい]
[口元から離した手巻きタバコを戻し]
[周囲の喧騒を余所に詰所へと向かう]
─大通り→詰所付近─
[辿り着いた詰所ではその出入口で数名の自衛団員と自衛団長が話をしていた]
…よぉ、取り込み中か?
人が消えたっつー噂を聞いたんだが…。
[その言葉にその場に居た自衛団員達は一度口を噤み]
[こちらへ視線を向けた自衛団長は無言のまま頷いた]
つーことは今からその調査、か?
祭りのこともあるからそればかりじゃねぇんだろうが。
[その言葉にも頷きが返って来る]
[指示を出さねばならぬからと、しばらく待たされることに]
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