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…。──あ、
[軽く投げられた青年の言葉に、一度緩く瞬いて。
突然、一言声を上げる。うろと視線を彷徨わせて、
所在無さ気に紙袋に、僅かに顔を隠した]
…思い出そうとするのを、忘れてました…。
[会話している内に、そっちに夢中になったらしい。
うー、と慌てて唸るように思い出す事に専念し始める。]
レベッカさん。
さっきは、どうもありがとう。
母さんはね、ちょっと心配だし。ほら、そそっかしいところあるから。
サーカス、ちょっと見てみたいかな。
でも、今はそれより、一夜で出現したとか言われているサーカスが、一体どこに隠れてたかっていうのが気になる。
…………よろしく。
[ぽつり、
小さく落された声は、
少女のものか、熊のものか。
けれど、合わせられる目線に、途惑うように。
一歩引いて、後ろに傾けていた傘を前へと倒そうと、]
グランマを知ってるの?
[横合いから聞こえた台詞。
ぱっと顔を上げて、
小さくともはっきり尋ねて、
紅玉はまっすぐ、声の主を見る。]
医師 ヴィンセント が参加しました。
医師 ヴィンセントは、智狼 を希望しました(他の人には見えません)。
あれ、そういうモノなの?
[年単位、という言葉に碧色は幾度か瞬く。]
お褒めに預かり至極光栄。
ま、確かにそうは居ないだろね。
[冗談めいた言葉の後に、矢張り苦笑を零す。]
狽ぁ、びっくりした
…なんか。あれだよね。
いつ見ても、ヴィンせんせのグラって、怪しいと思うんだけど…。
…あたしだけなのかなぁ…(お前だけだと思います)
…まあ、こんなものだろう。
さあて、団長は何処にいらっしゃるやら。
[喉の奥で笑い声がくぐもって響く。
それを見るものは、誰もいない…姿ある者は誰も]
[リックのほうに顔を向けてくすりと笑い]
そうね、今日も…ふふふ。
[思い出し笑いをするが、口をそこでつぐみ]
一晩で出来たってのはすごいわねぇ。
えぇと、なんて言うんだったかしら…一夜城?
忘れてたって……。
[紙袋に顔を隠すニーナの様子に、思わず呆れたような声を上げて]
どうしても必要なものじゃないんなら、明日改めて、でもいいんじゃないか?
[笑いながらこう言った後、向けられる紅玉に向き直る]
ああ……人違いでないなら、俺のじいちゃんの知り合いだよ。
俺も、色々とお世話になってるかな。
< グランマは、きっと、駄目っていうもの。
そう云っても仕方がないから、口にはしない。
祖母に直接、云われたわけではないけれど、そんな気がするのだ。
だって、祖母がわたしと同じ血を、あるいは魂を持つものであるのなら、あれに惹かれているに違いない。そして、わたしもまたそうであるのを知っているだろう。
だから、きっと、そう云うのだ。
まるで、鶏が先か卵が先かというような話ではあるけれど。>
…え?ちがうの…?
[問われて逆に不安になったらしく、僅かに眉を寄せて首を傾げる。
…誰かに聞こうかと思ったけれど、誰の意見が標準なのか、判らない]
……おうちのひと、忙しかったりする?
むずかしいのかな。
[少女の浮かべる難しい表情と、くるくる回る傘に、
きょとんと瞬いて緩く問う。]
……また、何かやった?
本当に不甲斐ない母親でごめんなさい。
こっちでも叱ってるけど、どうにも。
……一夜城ね。
どうやったって、一晩で出来るわけなんてないと思ったりしません?
でもそれすらサーカスの一環かなと、思わなくもないけど。
そうでもしないと客を集められないのかな。
うぅん、違うの、違うのよ。へまとかじゃないのよ?
ちょっと噛んだりしちゃっただけ。
ごめんなさいね、笑っちゃって。
そうねぇ、一晩ってのはなかなか。
規模が小さいものなら、大丈夫なのかもしれないわ?
私はこれから見に行ってみようかと思っているのよ。
えっと、だって、その。
お喋りに夢中になって、うっかり…!
[呆れたような声に、あうぅ、と思わずしょげる。
紙袋に隠れたまま、続く言葉に、こくりと小さく頷いた。
多分、青い髪が、もそと動いただけに見えるかもしれない。]
…多分、無くても死ぬようなものじゃないと思うので、
また明日にでも買い来る事にします。
はァ。
それならよかったけど……。
本当になにかへましたんだったらおれに言ってください。
注意して治るものなら、苦労しないけど。
……って、見に行くの?
それならおれもいく。
何か、前から置いてあったものも見れるかもしれないし?
規模もよく知らないしね。
……そっか。
[こくん、頷きひとつ。
ゆるり、紅玉が揺れる。
間接的とは言え、祖母の知人であることに安心したか、
緊張とも警戒ともとれる色は僅かに薄れて。
それから問いかけに、
傘の動きを止めて、
青へと視線を移して、
赤を緩やかに伏せて、
左右に一度、首を振る。]
[丘を下り、町へ入り、メインストリートを歩く。
足取りは軽くも重くもなく淡々と進んでいく。
擦れ違ったチラシ配りの男には、興味無げに擦れ違うも]
…サーカスに、行かれるのですか?
[金茶と女性と金の髪の子供の会話には、興を引かれたか立ち止まって声を掛けた]
[不意に、
或いは釣られて、
少女は天を仰ぐ。
時の移ろいを告げる空の色。
くるり、踵を返すと、
ふわり、裾が翻る。]
ばいばい。
[* 短く告げて、
立ち去って。*]
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