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─糸紡ぎの工房─
[エーリッヒたちと別れた後、向かったのは工房。
師に事情を伝えて、細工に使う糸をわけてもらう。
その時投げかけられたのは、大丈夫か、という問いかけ]
……ふに?
ディは、大丈夫だよ?
手当てもしてもらったし。
[こてり、と首を傾げて、笑ってみせる。
いつもと変わらない様子は、逆に違和感を与えたようだが気にした様子もなく。
とてとて、と変わらぬ調子で自宅へと]
─自宅─
[家に帰り着くと、出迎えたのは不安げな様子の母で。
先と同じ、大丈夫、という言葉を繰り返す]
でも、ね。
ルゥねえと、ウェルが……。
[二人が消えてしまった事を告げる時は、表情はやや陰る、ものの]
……ディ、細工、続けるよ。
これだけは、ちゃんと、完成させたいから。
ギィにいにも、大人しくしてるように、言われちゃったし、ね。
[すぐに笑ってこう言って、自室へと引っ込んだ]
─自室─
[部屋に戻ると、床の上に積み上げたクッションの山に埋もれるようにぽふり、と座る。
それから、家を出る前に用意しておいた別の籠を引き寄せ、壁掛けの土台を作り始めた]
……そういえば。
消えたら……どうなるん、だろ。
[刈られた命は、花を咲かす糧となる──というけれど。
刈られた者の魂はどうなるのか。
今更のように、そんな事を疑問に感じるものの]
……その時がくれば、わかる、かなぁ。
[結局、考えは、そこで途絶えた]
―回想・ユリアンの家を離れる前―
[ユリアンの見ている夢は見れない。
ただ声は届いてきた。
大丈夫、と。
多分それは、自分に向けられた言葉ではない。
何を見ているんだろう。
誰を心配しているんだろう。
背負いすぎないでねと、心の中でだけ*想った。*]
─ →自宅・作業場─
[家に戻るとすぐさま作業場のキャンバスの前へ。隣の作業台で染色液とヒカリコケの調合を行い、時間をかけて二種の翠と二種の黄色の染色液を用意した]
[キャンバスの中央に描いた4つの円の左側に、明るめの翠の円を2つ。その中にそれよりも少し暗めの翠の円を描き入れる。次いで中央の4つの円の右側に、明るめの黄色の円を2つ。その中にそれよりも少しくすんだ黄色の円を描き入れた]
……何だか、描き始めた時と意味合いが違って来ちゃったな。
[漏れるのは苦笑。この絵は妹のために、皆のために。そう思って描き始めたものだった。それは今でも変わらない。けれど、描き加えられるものの順番が、物悲しいものとなっていた]
─回想/村の通り─
[一緒に行くというのを受け入れられ、共に歩き出そうとしたところに、ユーディットが現れる。
僅かに震える声と一瞬覗いた泣きそうな顔に胸が締め付けられる。
だが、泣くことなく、無理に作った笑顔で駆けて行くユーディットに]
……ユーディットは、強いな。
[ぽつり、呟きが漏れる。]
―自宅―
ああ、ウェンもなのか?
[目を覚まして、夢のことを思い出しながらつぶやく。
どれくらいの時間が経ったか、それほど経ってなかったかもしれない]
[その後は、ゼルギウスの家に二人で赴き、2人の消失を伝える。
ウェンが目の前で消えたことを告げる際には。自然視線は下に落ちていただろう。
そうして、ミハエル達にもこのことを伝えると、ユリアンに伝えてくる、とミハエルは走り去ってしまう。
それらの間、エーリッヒの少し後ろで僅かに視線を落とした状態で付き従っていたわけだが、レナーテから声を掛けられると、僅かにぎこちなさの残る笑みを浮かべると、]
……ううん、大丈夫。まあ、確かにショック……ではあったけど。
何時までも凹んでたら……ウェンくんも浮かばれないし、ね。
[気丈にそう答えた。]
―村の通り―
[持ち物はいつもの応急処置用の薬だけだった為、自宅を出るまでにはそう掛からなかった。
決して軽くはない足取りは、パン屋の近くまで来て一度止まる。
前方、道の中央をじっと見つめて。
首を動かして、パン屋の方にも目を向ける。
それから暫し瞑目をし]
行くか。
[目を開いて、再び親友の家へ向けて歩き出した]
薬師 ゼルギウスが時計を進めました。
薬師 ゼルギウスが時計を進めるのをやめました。
[それを聞いて安堵した様子のレナーテを見送ると、イレーネが木苺を勧めてくる。]
あ…………うん。ありがとレーねぇ。
[ああ、気遣ってくれているのだな、と思いつつ、ありがたく頂戴する。
口に広がる甘みが、陰鬱な気持ちを少し和らげてくれた気がした。]
[そうしていると、エーリッヒがやらなきゃいけないことがあると言い出す。
エーリッヒの確認の目線には、ふるふると首を横に振り、]
……うん、いってらっしゃい。それと……ありがとうね。
[そう言って、立ち去るエーリッヒを笑顔で見送った。]
― →ユリアン宅―
[ユリアンの家の前で一度、扉を見上げる。
息を吐いてから、2回ノックをして]
居るか?
[中に向けて声を投げた]
―自宅―
[お茶の用意をして、ゲルダからもらった包みを手にした]
最後にもらったのがまだ、まともなパンなのが救いか。
[親友がきたのは丁度その頃だっただろうか]
─自室─
ん、こんな感じ、かな?
[呟いて、土台を横に置く。
左上は濃く深い蒼、右下は柔らかな緑の、布で作られた円。
それを一度横に置いて、ここまでで作った細工を確かめ、新しい糸に手を伸ばす]
……あー、お代。
レェねえたち、もう、戻ってるかな。
[ビーズの内訳を書いたメモに、小さく呟いて]
にぃ……また、歩き回ったら、怒られる、かなぁ……。
─自宅─
[いつものように革を剥ぐ]
[肉は薄く割いて網に並べ裏へ干した]
本当は、恐くもあるのだろうな。
[気丈な少女達の声を思い出しながら壁を見つめる]
[睨むように注いでいた視線をふっと和らげた]
[ピシャリと自分の頬を叩き家の中に戻る]
─自室─
にー……。
[悩みながらも手は動かす。
蒼と碧が継ぎ合わされて花として開いてゆく]
お代はちゃんとしたい、けど。
……にぃ。
[別れ際に一瞬だけ見えた、心配げなエーリッヒの表情。
いつも通りにしていたつもり、だけれど。
抑えているものがあるのに、気づかれたかもしれない、と。
……そう思うと、外に出るのもいささか気が重かった]
[少女達がいつもと違ってしまうように]
[自分もまた恐怖を感じてはいるのだろうなと思った]
[もし生き残ってそれを乗り越えたのなら]
[何が見られるのだろう]
―自宅―
ゲルダの残したパン、食べてく?
[お茶をゼルギウスの前に出しながら、見せた包みに入っているのは甘いパンが四個]
新作じゃないまともなやつ。
[薦めながら自分は、一つ手にして食べ始めた。
親友と接する態度は普段と、ほとんど、変わらない風に]
/*
表現ベクトルが違うだけで。
何気に、某アヤメさんと同一方向性なのだよねぇ、この子。
……でなかったら、くろねこが動かせる道理がない、とも言うけどね。
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