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[知っている人が手を振り返してくれるのを見て
もご、と残った食べ物を両手で口にねじ込むと
泉から水を両手で掬って口に含んでから
たたと、そちらへと駆け寄った。
丁度間には、絵師の子と間違えた弟が居るのが、見える。]
こんにちはぁ、ごきげんよう。
[2人から2歩程離れた位置で、足を止めた。
手前の彼が頭を下げてくれたからもう一歩足を出し、
話しの内容がきっちり聞こえる位置へと進む。]
食糧?
大変な荷物なら、手伝いが要る?
[ミハエルの抱える荷物を見て、首を傾けた。]
さぁてぇ。
……戻るとするかぁ。
[目を開いたなら、つい先ほどまでの何処か物憂げな気配は微塵もなく。
浮かぶのは、へらりと軽薄そうな表情。
立ち去り際、墓守と二、三言葉を交わすと、のんびりとした足取りで居住区画の方へと歩いていく]
え、ああ。
大丈夫ですよ、このくらいなら。
慣れてますから。
[少女の問いに、ランプを食糧と一緒に持ち替えてからひらと手を振った。
実際、切らしてしまってから貰いに行ったのは一度や二度ではない]
そうかそうか。ああ、俺は見ての通り。水汲みな
[荷物の量に納得しながら、自分は、と、頭に載せている桶を軽く手で叩く]
そんな篭ってたってことは、また何か作ってたのか?
聞く側の俺にはわからんが、難しそうだし
[ミハエルのやっていることは想像も難しいため酷く曖昧なことを言いながら駆けてきたエルザへとも目を移し]
よっ。エルザ。相変わらず元気みたいだが、なんか変わったこともねえか?
─中央広場─
[首をコキコキ鳴らしつつ、広場へやってくると]
あれ? あれって……
おーい、おまえら集まってなにしてんだ?
[広場の3人に声をかける。]
[机の上にあった雑多な修繕用具と何冊かの本を片付けると、男は書庫を出て扉を閉ざす。海からの湿気が出来るだけ入らないように工夫された石の扉の表面は、しかし長い年月のうちに腐食して崩れかけている]
ぼろぼろだな。
[今更のように一瞥して、つぶやいてから、鍵をかけた]
そう?
大変だったら、言ってね?
[首を傾けたまま、にこり、笑う。
それから首を元に戻し、
ターコイズグリーンの瞳をぱちぱちと瞬かせて
アーベルへと顔を向けて]
変わった、事?
人が、飛んでいたわ、そう――
[その向こう、やってくるユリアンへと目を向けて
にこり、満面の笑みを浮かべ]
あの人。
[手を伸ばして真っ直ぐ指さした。]
ええ。丁度先程、楽譜を書き終わったところで。
…夢中になるといけませんね。
[もう一度苦笑を浮かべ]
…ああ、こんにちは。
[掛かった声に振り向けば、知った顔が一つ。
軽く頭を下げて応えた]
― 図書館 ―
[書庫の外は、読書のための小部屋が連なっている。書庫に保管された本は、自由に持ち出せるものではなく、司書の手を介して希望するものに貸し出され、この小部屋で読むことになっていた。持って帰ることは出来ないが、内容を書き写すことは自由。数日かけて丸ごと一冊書き写していく者も居ないではない。ちなみに司書はここに住んでいるから、一年中図書館は開いている]
・・・・・
[しかし昼間は働く者の方が多く、今の時間に図書館への客は少ない。男はくちゃくちゃと口を動かしながら、読書室から建物の外へと通じる扉を開けた]
よぅ。ユリアン…続々とだな
[とはいえ、立地も中央。近くには大衆食堂もあるし、水もある。
何かあったとき集められるにしても、単なる通り道としても。と不思議ではないが]
いや、集まってるのは偶然だな。俺は水汲み。そっちは?
[ミハエルにしたように軽く桶を叩きながら言ってそちらは?と見遣る]
は?…人がとんだって…
[とりあえずエルザに何かあったというわけでもないかな。とさりげなく思いながらも。内容に間の抜けた顔をしながら、指が指された方に視線を向ければ]
納得した…で、やっぱ落ちたのか
[それはエルザに聞いてるようなユリアンに聞いているような]
[歩いて行く道すがら、すれ違う人たちの挨拶に軽い調子で返して行く。
先代の『絵師』は厳格な雰囲気の人だったが、当代たる彼はいつもこんな調子で。
先代を知る人々からすると、自覚がないように見える……と、長に釘を刺された事は幾度もあったが、その小言の効果は未だにない。らしい]
格式ばったからって、どうなるもんでもないと思うんだけどなぁ……。
[暢気にそんな事を呟いていたら、横合いから飛び出して来た子供とぶつかりそうになった。
完全に意識していなかったためか、すぐには止まれず]
わたとっ!?
[道が緩めの傾斜だった事もあり、まともに後ろによろめき、転んだ]
― 図書館入口 ―
[相変わらずくちゃくちゃと口を動かしながら、扉にもたれるようにして辺りを眺める。少し離れた広場に若いのが数人たむろしているのが見えた]
どいつもこいつも暇なのか?
[ぼそりとつぶやいてから欠伸]
[そして]
…飛んだ?
[続いた言葉に訝しげな顔をして、指差された先、ユリアンを見た]
あれ。
もしかして、成功したんですか?
[彼が気球研究家を自称していることを知っていたが故に勘違い発生]
……ってて。
あー……大丈夫大丈夫、なんて事ないから。
[こちらが誰か気づいて青くなる子供の様子に、苦笑して]
でもなぁ、いきなり飛び出すのは、危ないからなぁ。
広い道に出る前には、一度止まって、左右を見る。
『絵師』のおにーさんとの約束なあ?
[笑いながら言って、頭を撫でてやると、子供はほっとしたような表情でこくこくと頷いた]
うん、聞き分けのいい子だ。
飴ちゃんをあげよう。
[何故そうなる、と突っ込まれそうな理屈を展開しつつ、蜂蜜を練った飴玉を一つ、子供に渡して、駆けていくのを見送った]
楽譜を書く…か
[ミハエルの言葉に。それはどういう作業の連なりでできるのか。少し考えてみた。…すぐ諦めた。]
そうか。気づけた辺り無茶までしてないならいんだが、今度聞かせてくれよ。
[そういえばミハエルの兄も夢中になると寝食が滞るとか聞いたことがあるような。と思うとやはり兄弟なのだろうと思ったとか]
[掛けられる声によっと挨拶を返すが、指差されて飛んでたとかやけに納得されて落ちたのかとか言われて]
ちょっ!?
飛んでたとか落ちたとか酷くね!?
……いや、そりゃ宙を飛んだし、当然重力ある訳だから落ちたわけだけどさ。
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