研究生 孝博は、メモを貼った。

小説家 榛名は、メモを貼った。

未亡人 綾野は、メモを貼った。

小説家 榛名は、かぁっと頬を真っ赤に染めた。

歌姫 琉璃は、メモを貼った。

青年 聡は、メモを貼った。

少年 翔は、メモを貼った。

小説家 榛名は、ひらひら落ちてくる花びらを掌で受け止めて、首を傾げた。

少年 翔は、口を押さえた。

歌姫 琉璃は、少年 翔に「――知らない方が、良いわ」僅かに低く、*呟いて。*

小説家 榛名は、そしてきょろりと見回した。

職人見習い 裕樹は、遊び疲れた仔猫は膝の上ですやすや。

自治会長 銀一郎は、メモを貼った。

自治会長 銀一郎は、メモを貼った。

自治会長 銀一郎は、手に持っていた茶碗を*差し出した。*

職人見習い 裕樹は、青年 聡や翔に、他人事のように笑いつつ。

細工物屋 玲は、自治会長 銀一郎に多めで温めの茶を差し出して、首を傾げる。

職人見習い 裕樹は、自治会長 銀一郎に*瞬いた。*　猫がいるので茶は注げない。

細工物屋 玲は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、茶道具と重箱、ポットから視線を辺りへ*問うよに上げて*

執事 呉羽は、メモを貼った。

青年 聡は、はあ、と深いため息一つ。

小説家 榛名は、執事 呉羽に、もちろんです！と頷いた。

小説家 榛名は、青年 聡を見送りつつ。

小説家 榛名は、むーんと悩んでいる。

自治会長 銀一郎は、腕を組んでぬーんと悩んだ。

自治会長 銀一郎は、カカカカカ･･･と大声で笑った。

職人見習い 裕樹は、青年 聡に能天気に返しつつ、榛名の頭を撫でようと。

小説家 榛名は、職人見習い 裕樹に撫でられて、目を細めた。嬉しそうだ。

職人見習い 裕樹は、自治会長 銀一郎を見送り。仔猫は膝から飛び降りて欠伸を一つ。

職人見習い 裕樹は、小説家 榛名の元に仔猫を遣りながら、にへり。

少年 翔は、広場の隅のベンチに座って、難しい顔。

小説家 榛名は、メモを貼った。

職人見習い 裕樹は、小説家 榛名の指先に擦り寄る仔猫を横目に、翔の額に手を当てようと。

職人見習い 裕樹は、桜を見遣る瞬間だけ、笑みを消して。

少年 翔は、……翔です、とため息。

職人見習い 裕樹は、少年 翔の額に当てた手を、更に頭に移動して撫で撫で。

小説家 榛名は、少年 翔に「翔ちゃんだね！」と笑顔になった。

職人見習い 裕樹は、少年 翔の頭から手を離し、2人に笑い掛け。

職人見習い 裕樹は、頭の後ろで手を組み、桜を*見上げる。*　仔猫も一緒に。

青年 聡は、はあ、とため息。

細工物屋 玲は、風呂敷包みを大事に抱え、よたよたと戻ってきた。

細工物屋 玲は、中身の変わった三段重箱と日本酒の包みを解いて一息。

細工物屋 玲は、未亡人 綾野を上目遣いで見、じ…っとお伺い。やがて口元に笑み。

細工物屋 玲は、お猪口一杯分の酒をそっと桜の根元に注ぎ、目を細めた。

細工物屋 玲は、辛口の御酒に舌を少し出し涙目。薄墨ひらりひらり*

小説家 榛名は、細工物屋 玲の様子をじっと見た。お酒・・・。

小説家 榛名は、・・・・・・・・・目がきらきらしている。

小説家 榛名は、でも桜の樹を見て心配そうな顔*

青年 聡は、物言いたげに、梢を見上げ。

細工物屋 玲は、未亡人 綾野に肴と猪口を渡し、はるにもお猪口の底に*すこうしだけ*

青年 聡は、舞い散る花弁を手に受けつつ、ぼーっとしている。

職人見習い 裕樹は、仔猫がかりかり木に登っていくのを眺める。

少年 翔は、額に手を当てながら、ふらり広場の外に向かう。

職人見習い 裕樹は、仔猫がお返事しつつ聡の乗る枝に近付くのに、呑気に声を掛けた。

職人見習い 裕樹は、ひらりはらり落ちて来る花弁を、何となく掌で受け止め。

職人見習い 裕樹は、青年 聡に抱え上げられご機嫌な仔猫を見つつ、微妙な表情に首傾げ。

職人見習い 裕樹は、微妙な呼び名にシフトしつつ、自分の顔を示して見せ。

職人見習い 裕樹は、青年 聡の視線の先見て問い掛け。仔猫は戯らされて前肢をちょいちょい。

細工物屋 玲は、仔猫とあきの様子に、口元を袖で隠す。頬はほんのり桜色。

職人見習い 裕樹は、青年 聡の言葉に思案気に眼を細め。仔猫は目を円くして尻尾ゆらゆら。

細工物屋 玲は、職人見習い 裕樹からあきに視線を移し、首を傾げた。

細工物屋 玲は、口元を隠したまま、目を細めて。くすくす。

職人見習い 裕樹は、青年 聡多分全く解らないままそんなことを。仔猫は必死に上を見ようと。

職人見習い 裕樹は、細工物屋 玲の言葉を聞いて、勝手に納得している。

少年 翔は、八つ当たっている。べしべしべし。

細工物屋 玲は、職人見習い 裕樹を見つめ、目元に笑みを残したまま頷いた。くすくす。

職人見習い 裕樹は、幹が揺らされ、仔猫が木の枝からころり。

小説家 榛名は、*くにゃんとなった*

小説家 榛名は、細工物屋 玲からお茶を受け取った。ありがとー。と言った*つもり*

細工物屋 玲は、小説家 榛名の咳き込みに魔法瓶のコップを渡して。ひしょ…の行為に悲鳴。

細工物屋 玲は、少年 翔へと閉じた扇子を翳して。頭上には小さな影。

細工物屋 玲は、仔猫が頭にがっちりこ。扇子は何処へ飛んだやら。

職人見習い 裕樹は、なんて暢気に言っているうちに、仔猫の落ちた先を見て瞬き。

少年 翔は、なにがなにやら。

職人見習い 裕樹は、細工物屋 玲の扇子は<<歌姫 琉璃>>の元へ一直線。かも知れない。

細工物屋 玲は、少年 翔に向かい仁王立ち。頭の上では仔猫がにゃー。

細工物屋 玲は、悪戯小僧ととらぶるめーかーと暫定飼い主に涙目で睨み、

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博に頷き。呼び名は微妙なところで区切った。

細工物屋 玲は、袖を振り上げてぺちぺちし始めた。仔猫を頭に*乗せたまま*

研究生 孝博は、そして空を見た。次はなに降ってくるんだろ

職人見習い 裕樹は、細工物屋 玲にぺちぺちされつつ、案外落ち着いてる仔猫を指差し。

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博の言葉を聞いて、妙に嬉しそうだ。

青年 聡は、細工物屋 玲にぺちぺちされつつ、何故か桜を睨んでいたり。

細工物屋 玲は、三人分ぺちぺちしたら眩暈息切れくーらくら。

細工物屋 玲は、桜をとの目的語を言い忘れたまま、尻餅すてん。

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博の言葉に残念そうに。ひっそり期待していたらしい。

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博に親指びしっと。だが貯め方は知らない。

青年 聡は、何となく疲れ果てて、桜の樹に寄りかかり。

少年 翔は、青年 聡をじっと見つめた。

細工物屋 玲は、青年 聡→翔→裕樹の順に見、最後が桜か孝博かと見比べた。

青年 聡は、恨めしげに、梢を見やる。笑うよに揺れる、桜の枝。

職人見習い 裕樹は、細工物屋 玲の視線にことりと首を*傾げ。*仔猫も同じように首を傾げた。

細工物屋 玲は、恐る恐る頭上に手を伸ばす。小さな温もり。にゃーん。

細工物屋 玲は、職人見習い 裕樹に合わせ仔猫が首を傾げるのを指先で感じ、疑問形。

細工物屋 玲は、桜のさざめきをうっとり見上げて。仔猫の上にも薄墨ひらり。

細工物屋 玲は、どこか間違った認識で、孝博の茫洋な眼差しを見た。

細工物屋 玲は、研究生 孝博に頷き、花びらに気を取られ爪外れた猫を*そっと降ろした*

研究生 孝博は、細工物屋 玲に、軽く頷くが、茫洋とした眼差しは桜を見ていて

小説家 榛名は、くにゃってなってたのから、起き上がった。むっくり

細工物屋 玲は、研究生 孝博の流れる言葉へのツッコミに、袖で隠した口元が綻ぶ。くすくす。

少年 翔は、青年 聡のなんとなく共感を覚えた。

小説家 榛名は、何の会話なのかまったくわからずにこくこく頷いている。

細工物屋 玲は、独りごち、あきの問いに袖の隙間から桜唇が笑む。

細工物屋 玲は、小説家 榛名へ、尻餅ついてへたれたままの空色の裾をぽんぽん叩く。

小説家 榛名は、ふらふらと近寄った。

小説家 榛名は、どうするの？　って顔で、じー。

細工物屋 玲は、青年 聡に眉を下げて、ひろの返事にもっと下げた。へんにゃり。

細工物屋 玲は、小説家 榛名に枕談義を言いかけて。じって見られて説明してみた。

職人見習い 裕樹は、音を立てる桜の梢を眺め、ふと左目を押さえる。

細工物屋 玲は、青年 聡に眉を下げたまま、じっと見つめている。

小説家 榛名は、学者ってたいへんーとけらけら笑った。

細工物屋 玲は、だからはるの動きに気付けずに。為されるがまま重力のまま。

小説家 榛名は、細工物屋 玲をハグした。ぎゅううっ

職人見習い 裕樹は、のんびりと呟きつつ、周囲を見回し。左目は押さえたまま。

未亡人 綾野は、メモを貼った。

細工物屋 玲は、はるのハグに眉根を下げてたのも忘れ、きょとん。

小説家 榛名は、細工物屋 玲にえへーと笑った。

細工物屋 玲は、小説家 榛名に頷き、……………えへーと真似してみた。

細工物屋 玲は、…………でも似合わないのでやめた。この間一秒。

小説家 榛名は、一秒の変化を、ちゃんと見ていた。えへー♪

職人見習い 裕樹は、青年 聡と孝博の会話に突然加わってみた。仔猫は人の間できょときょと。

細工物屋 玲は、青年 聡に答えて。しばしの間を置き、ふわり笑った。

細工物屋 玲は、くん、と鼻先を差し出して目を細め。猪口にもう一杯注ぐ。

少年 翔は、なにこのかおす。と呟いた。

小説家 榛名は、それからきょろりと辺りをみまわした。

職人見習い 裕樹は、研究生 孝博の言葉や聡の突っ込みにも笑いつつ。

細工物屋 玲は、桜の根元にそおっと御酒を注ぎかけ、名を呼ぶ母の声にびく。

小説家 榛名は、未亡人 綾野の方からもお酒の匂いがする気がした。

青年 聡は、甘い香りに、ゆるく瞬き、一つ。

少年 翔は、真顔。

細工物屋 玲は、青年 聡の声には、くすくす笑みを零したけれど。

歌姫 琉璃は、細工物屋 玲が御酒を注ぐのにくすくすと笑い。触れる桜の幹を撫でるよう。

細工物屋 玲は、一陣の風。薄墨舞う桜吹雪に、目を瞑って。

小説家 榛名は、未亡人 綾野にてとてと、近づいて。ぎゅう。

職人見習い 裕樹は、笑いながらも、ふと顔を顰める。

青年 聡は、さざめく枝の様子に、不信顔。