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村は数十年来の大事件に騒然としていた。
夜な夜な人を襲うという人狼が、人間の振りをしてこの村にも潜んでいるという噂が流れ始めたからだ。
そして今日、村にいた全ての人々が集会場に集められた……。
村の設定が変更されました。
『それは、万聖節を控えた10月』
『空を覆う鈍色の雲を遠く閃く稲妻が切り裂き、重く湿った風が嵐の先触れを告げる、そんな夜』
『自警団長アーヴァイン=ファリーは、今や日課となった町のパトロールを終えて、家路につこうとしていた』
『嵐に備えて早じまいした店が軒を連ねる、閑散としたメインストリートを抜けて、自宅へと続く路地を曲がろうとした時』
『しかし疑念は長くは留まらなかった』
『雲の間から落ちてきた大粒の雨と、雷鳴の轟きが、アーヴァインを自宅へと追い立てたからだ』
『何も知らず無為の眠りを貪る者達は、やがて知るだろう』
『彼らの恐怖を、怒りを、悲嘆を、そしてある者には恐ろしい歓喜を携えて……彼らが、やって来たことを……』
書生 ハーヴェイ が参加しました。
[決して照明を落としているわけでもないのに薄暗い、裏通りの骨董品店。
骨董品店……と言えば聞こえはいいが、ようは古い物好きの店主が趣味でやっているにすぎない小さな店。
その店内、訪れた客に紅茶や菓子を振舞うのにも使われるテーブルの上には、今は重苦しい沈黙が張り詰め。
それを挟んで、店主の老人と、彼の孫である青年とが、言葉を交わしていた]
……で。
少ない稼ぎの大半を注ぎ込んで、素性も知れない相手から買い取ったのが、この奇妙なナイフですよ、と。
そう、言いたいんだな、じいちゃん?
[ため息混じりの問い。
祖父は先程までの勢いはどこへやら、もごもごと決まり悪そうに口ごもっている。
二人の間にあるのは、気まずい空気と奇妙な形をした一振りのナイフ。
どうやら色々と装飾が成されているらしいが、すっかり汚れたそれは見る影もない]
まったく……。
[食うにも困っているようだったんでなあ、と呟く祖父に、またため息がこぼれる。
お人好しというか、なんというか。
その気質のせいで、一体何度ガラクタを掴まされたのか。
そう、言いたい気持ちもあるが、しかし]
まあ、買い取っちまったのは、仕方ない。
しかし、じいちゃん、頼むから金を動かす時は、俺に連絡してからにしてくれよ?
無駄遣いさせてる、って、俺が親父や姉貴に怒られちまう。
[苦笑めいた表情で言えば、祖父はわかっとるわい! と返してくる。
いつもと変わらぬ反応に、はいはい、と言いつつ、テーブルの上のナイフを下に敷かれた真紅の布ごと拾い上げる]
……とにかく、これは俺が預かるから。
[じいちゃんに任せると、今度は捨て値で手放しそうだし、とはさすがに言わなかったものの、意図は伝わったらしい。
むすっとする祖父の表情から読み取ったその感情にくつり、と笑いつつ、丁寧に布に包んだそれを鞄に入れる]
じゃ、俺は買い物行ってくるから。
[にこりと笑って言ってから、外に出る。
背後で祖父が何かぶつぶつと言っているのは、聞き流した]
[店から出れば、鳴き声と共に飛び込ついてくるしなやかな黒。
愛猫のウィッシュだ。
じゃれ付いてくる猫を引き連れるようにしつつ、嵐の跡の残る道を、歩く]
昨夜はだいぶ荒れたようだが……割と、平和なもんだ。
[呑気な口調で呟きつつ。
さて、怪しい通りすがりから、祖父の年金と引き換えに押し付けられたというこのナイフをどうしたものやら……と。
そんな思案をめぐらせて]
お嬢様 ヘンリエッタ が参加しました。
[町の中、こぢんまりとした小さな家。
白熱灯が寝台に座る部屋の主を照らす。
月の煌きと星の輝きよりも近い、
人工の光に映し出される少女の姿。
肌は白の陶磁器、円い睛は燃える紅玉、
膝の上にはブラウンのティディベア。
ぐるぐる幾重にも巻かれた髪に、
ふわふわ裾の広がるワンピース、
ゆったり羽織ったケープは暖かく、
リボンとフリルがたくさんで、
真赤で彩られて、
真白に飾りつけられて、
まるであまい苺のケーキのよう。]
[小さな机の上の、小さな長方形の箱。
吹き荒れる砂嵐の音が人の声に代わり、
きょう一日の出来事を綴っていく。
けれど少女の耳には届かずに、
虚空で、むなしく、霧散した。
だって、遠くの話なんて、何の意味もない。]
[室内の音が跡絶えれば、
室外の音が聞こえてくる。
開かれた窓の外へと手を伸ばす。
昼の空気とは違って、
夜の空気は冷たくて、
秋も深まり、雨に浸されれば、
なお、いっそう。
顔だけ出して、息を吐く。
白くは染まりはしなかったけど、暖かい。]
村長の妻 エレノア が参加しました。
今日は風がすこし、湿っているようね…?
[彼女の話しかける先には、誰もいない]
あら、それでも出かけたいの?
しょうのない子…。
[部屋の中で独り、ころころと笑って]
そうね、お友達に会いたいものね…。
勿論わかっているわよ、シャーロット。
[白のロングスカートを捌き、階下に下りる。
メイドの差し出した白の帽子をかぶってから、誰かを待つ仕草]
それじゃあ、いってくるわね。
[送り出すメイドにほほ笑んで、家を出る。
楽しげに笑いながら歩く姿は、まるで娘と出かける母親のよう]
[けれども彼女は、独りで道を、歩いているのだ*]
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