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きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が1名、人狼が2名、狩人が1名、共有者が1名、妖狐が1名、聖痕者が2名、狂信者が1名、共鳴者が2名いるようだ。
おお、どうやら全員、揃ったようじゃな。 皆に大事な話がある。
先日から噂になっておるので、皆も聞いておるやも知れんが……この地に『人狼』と呼ばれる脅威が潜んでいるらしい。
噂の真偽の程は定かではない。 何事もないとは思うが、皆、念のため気をつけてな。
ようこそ、我らが『遊戯場』へ。
私は、今回の『遊戯』の進行を任されし者。
仮に、ギュンター、と名乗っておこう。
さて、君たちをここへ『招待』した理由だが……既に、察している者もいるかと思うが。
君たちは今回の『遊戯』に参加する『権利』を得た。
己が力、存在、それを存分に発揮し、示す絶好の『機会』をな。
『Schwarzes・Meteor』が君たちに望むのは、その力の全てを『魅せる』事。
……全て出し切り、最後まで立ち続けた者には、それに見合った栄誉を約束しよう。
勿論、それ以外には……。
[楽しげな口調で、声は話を進める。
要約したなら、それは、互いに戦い合え、と。
端的な内容。
ここから出るには、勝ち残る以外に術はなく。
敗者に未来はない、と。
それを一方的に告げると、声は消えた]
[そして、声が消えるのと前後するように、広間の端末には新たな項目が付け加えられた。
『遊戯規定』と記されたそれには、先の男の話の要約に加え。
敗者が地下の空間に一時隔離される事──つまり、すぐには殺されない、という事と、地下の見取り図が記載されていた]
地下1F
┏━━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━━━━━┓
┃a ┃ ┃c┃d┃e┃f┃g┃ ┃
┣━━┛ ┗━┻━┻━┻━┻━┛ ┃
┃ m ┃
┃ ┏━┳━┳━┳━┳━┓ ┃
┃ b ┃h┃i┃j┃k┃l┃ ┃
┗━━━━┻━┻━┻━┻━┻━┻━━━━━┛
a:−
b:簡易メディカルシステム
c〜l:隔離室
m:モニタールーム
[すやすや。]
…………Zzz
[二階:個室M]
[昨晩ぶりじっとに案内してもらったお部屋。
立ち去るぶりじっとには、おともだちの手をばいばいと振って。]
[その後は案内されたお部屋を探検。
……お部屋の惨状は、言うまでもない。
今、その惨状にも朝日がさして。
……聞こえてくるのは、ぎゅんたーと名乗る声。]
[ぱちくり。]
…………?
[『遊戯』『参加者』聞き慣れない言葉にきょとんと けれども、いくつかのフレーズはキーワードになり。]
…………。
[新し記憶。白衣の人。顔写真。言葉。名前。
あぁ……そうだ……思い出せた。
……硝子玉のように虚ろだった翠は意志を帯び。]
[少女は昨晩着たままシャワーでも浴びたのか?
まだ、軽く湿って張り付く、白い検査着姿を起こす。]
[同じく湿っている、おともだちを抱き上げて、
少女はある人物を探し出すため、部屋を後にする。
……ある人物……それは少女の大切な人に定められた人。
少女はその大切な人の側にいなければいけない。]
―中央部・廃墟群―
[一体、いつからそこにいたのか。少なくとも、夜明けよりは前なのだろうが。
両足を剥き出しの鉄骨に引っ掛け、両腕は支えるように頭の後ろで組んだ姿勢で、逆さまにぶら下がりつつ。
朝陽と共にもたらされた話を、聞いていた]
はっ……『予測』通り、って訳か……上等。
[吐き捨てるように呟かれる言葉。
込められるのは、微かな憤りと――どこか、楽しげな響き]
ま、ヤツら前々から、俺の力は欲しがってたらしいからな……これ幸いと、モルモット化……ってか?
……冗談じゃねぇ。
[ゆっくりと、目を開ける。
蒼が映すのは、逆さまの世界。
閉ざされた『遊戯場』]
誰が、思惑通りに踊ってやるかってんだ……!
『遊戯』だかなんだか知らねぇが……俺は、絶対、帰らなきゃならねぇんだからな。
[低い呟きと共に身体を軽く揺らし、反動を利用して鉄筋の上に起き上がる。
反転する、世界]
それが、約束……だしな。チビどもとの。
……約束は、破らない。
それが俺たちの、『誓いの印』。
[確かめるように呟きつつ、右手の糸をそ、と撫でる]
……果たせなかった、兄貴の分も。
俺が、必ず。
[零れ落ちるのは、静かな、静かな*決意の言葉*]
[ばちっ!
そんな音が聞こえると錯覚する程突然に、目が見開かれた。
聞こえてくる、ギュンターと名乗る男の声。
布団の中で丸くなったまま、その声が終わるまでじっと聞く。]
[程なくして声が終わると、ばさりと布団の中から起き上がる。]
あーぁ、ボク、痛いのイヤなんですよぉ?
ご主人様?
[声のトーンは明るい。
くすくす笑いながら、バスルームへと向かった。]
[熱いシャワーが骨ばった体を滑り落ちる。
もうもうと湯気が立つ中、白磁のような肌が薄く桃色に染まる――ただ一箇所を除いて。
左の肩の付け根、背中寄り。
そこに存在するのは――焼鏝の痕のような、青い模様。
その形は、何度も上から削り取ろうと苦労した結果もはやただの痣のように汚く、爛れた火傷のように痛々しく。]
ふぅ。
[きゅ、とコックを捻り、シャワーを止めると大きなタオルを被って部屋へと出た。
そのまま冷蔵庫を開けて、食材をキッチンへと出していく。]
[霜降りの、分厚い肉に荒挽いた胡椒を振りかけて焼いていく。
表面が少し焦げる程度焼けただけで皿に載せ、机へと運んで食べ始めた。]
ねぇご主人様、「栄誉」だってぇ。
ボク、そんなの要らないなぁ。
ご主人様は要るぅ?
[虚空を見ながら、言葉を紡ぐ。]
あははは。
でも、ここにずーっといるのは、詰まらない、ですよねぇ。
[くすくす楽しそうに笑いながら、食事を終えるとお皿を洗う。
ドロワーズとベビードールの上から洗って干した黒いワンピースを身につけ、いつものようにエプロンに腕を通して黒銃を背中にさす。]
さてっと、体は毎日動かさないとねぇ。
[窓をばたりと開け、昨日と同じように窓の淵を蹴って外へと*飛び出した。*]
[目覚めは普段より早く、陽の昇りと共に。
ベッドの端に腰掛け、鉄色の眸は虚空を見つめる。
響き渡る声は、聞いているのか、いないのか。
途絶えると同時に、立ち上がった。]
[寝巻き代わりにしていた和装は、幾らか乱れていた。
緩んだ襟元からは、髪が要り込んでいる。
両の手を首の後ろに持って行き、ゆっくりと左右に広げるように動かした。持ち上げられた髪がばらりと広がり、薄花桜色の上に収まる。その間に、目を伏せて、ゆるゆると首を振った。
帯を解き、合わせの部分を軽く動かすだけで、布はするりと肌を滑り落ちる。
露になる、
胸から腹にかけて、斜めに走る傷跡。
薄くなっているとは言え、目立たないはずはなく。
それは、到底、ブリジット=エメスには、似つかわしくない。]
[見慣れたそれに、感慨などなく。
下着を身につけ、タイツを履いて、ブラウスを羽織り、制服に袖を通す。
スカートのホックを止め、後はセーターを着てリボンを結ぶだけというところで、漸く、何処を見ているか曖昧だった視線を動かした。
卓上に置かれた、小刀へと。
手に取り、鞘に包まれた刀身を口許に。
何事かを囁くように、朱唇が、微か、動いた。
下緒が揺れる。]
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