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そして、物語は動き出す。
目覚めたものが何処へ向かうか、それは一人一人の思うがままに。
どうやらこの中には、村人が2名、占い師が1名、霊能者が1名、守護者が1名、共有者が1名、聖痕者が1名、狂信者が1名、呪狼が1名、智狼が1名いるようだ。
おお、どうやら全員、揃ったようじゃな。 皆に大事な話がある。
先日から噂になっておるので、皆も聞いておるやも知れんが……この地に『人狼』と呼ばれる脅威が潜んでいるらしい。
噂の真偽の程は定かではない。 何事もないとは思うが、皆、念のため気をつけてな。
[ユリアンの内心に気づいているのかいないのか。
いえ、ある程度気づいているが、気づいていない振りをする。振りだというのも相手にわかるだろうがそれでもしつつ]
ああ、俺は水汲みに。荷物はいいが、エルザが顔見せてくれたら親父も喜ぶなーと
[とっても寡黙に喜ぶだろうと。想像したところに。新たな声と、エルザが陰に隠れたのを見て]
おぁ。
[ミリィの姿とユリアンの言葉に挨拶も前に変な声があがった]
[二人の青年の後ろに、隠れる少女。
声からエルザと知れば、空いている片手を腰に当て溜息をついた]
まだ何も言っていないだろう、エリザベス?
やましいことがないのなら、どうどうとしているがいい。
そういう素振りを見せると変に勘ぐってしまうじゃないか。
[ぴき。
そんな効果音が聞こえる程、
こめかみにくっきり浮かぶ青筋が見える程、
ユリアンの一言は効果覿面だった]
ほっほう――
人を見て、げぇ、などと声をあげた挙句、
そのようなことを言うか。
その性根が治るよう、薬を調合してやろうか。
親父さんも喜ぶだろう。
[とん、とん。
足が地を叩く。眼鏡の奥の瞳は鋭い]
[アーベルの言葉には、後ろから笑顔で見上げ]
じゃあ、行くわ、顔を見せに?
お水、持って行く?
[言った時、ユリアンの言葉が聞こえたので、わかずくり、と口の中で繰り返してみた。
丁度その時、ミリィの声が聞こえてぴくんと肩をまた竦め。
おずおずと、ふたりの影から顔を出した―尤も、ちっとも全身が隠れてなどいないのだけれど。]
だって…
口の中おえってなるのだもの…
[舌を押えて咽を見られるのが嫌なのだ。]
診ねばわからないのだから、仕方ないだろうに。
診ずに発見が遅れて、ひどくなるのは、いやだろう?
[繰り返された言葉が聞こえていなかったのは、幸いに違いない。
女子供に対しても容赦はない――というか、大人気ないのだから。
とは言えエルザには、主に、彼女の過去に思うところもあるのか、他よりは幾分か柔らかい]
エリザベスの歌が聞けなくなれば、私だって寂しいぞ。
いや、いきなり声かけられたとこで横から、げぇ。とかいう声が出たら驚くでしょ。
[と、ミリィに睨まれて説明。変な声を上げた理由は本心それである
ただユリアンが驚くのも致し方ないことだとか失礼なことは思っているが]
そう、ですか。
…血は争えない、のかな。
[両親はどうだったろう、などと片隅で思いつつ。
血の繋がった兄だからこそ、向ける視線はやはり複雑ではあれ、そうすることが失礼だとかいった感情はまずない]
……はっきり頷くか、お前は。
[頷く幼馴染に、渋い顔をして。
複雑なものを帯びてこちらに向けられる弟の視線に、なんとなくジト目になりつつ]
……そりゃ、実の兄弟で全く似てない、って事は、ないだろうけどなぁ。
歌。
そう、そう?
うれしいわ。
[歌を、と言われればぱぁっと顔が明るくなり
隠れていた二人の後ろから姿を現した。
不意に息を吸い込み、大きな声で歌いだす。
辺りを歩いた人達は、何時もの事かと驚きもせず、
人によっては自分の子供を彼女の方へと
寄らないように、握る手に力を入れるのだった。]
― 図書館 ―
どうかな?俺と兄は、全く似ていない。
今、似ているとしても、お前の努力次第で、なんとでもなるだろう。
[憂鬱そうなミハエルを見ると、励ますように言う。絵師の方が変化するとは欠片も思っていないのが見え見えだ]
とりあえず、音楽もいいが飯も食え。
おう。じゃあ水汲んだりした後でいくか。ちょっと両親ともに出かけてるからまだ家にいねーだろうしな。
運ぶのは自力で大丈夫だぞ。そもそもそんなに量は必要ないしな
[とエルザに応えつつ。確かにミリィの薬…そもそも薬は苦いよなぁ。と思い健康体なため機会は少ないことに感謝する。
とはいえ左目のほうとか色々あるわけだが]
[青筋浮かべて、怒り心頭のミリィに]
なんだよー。前もそう言って苦っげぇ薬飲ませたじゃんかよー。
そう言うんだったらちゃんとした薬作れよなー。
……自作の薬で若返ってるくせに。
[なんでしょう。
この学ばなくて、かつ神経逆撫でする台詞が素で出てくるのは。
ある意味才能なんでしょうか。百害あって一利ないけど。]
……ふむ。それもそうか。
[アーベルに言いつつも、眇めた赤い瞳は疑惑の色が濃い。
しかしその表情は、清廉な歌が耳に届けば掻き消えた。場所が場所のために、心が和らぐというより、驚きが先立つ]
ああ、そうだよ、エリザベス。
けれど、それは大切な時にとっておくといい。
誰にでも聴かせてしまってはもったいない。
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