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そして、物語は動き出す。
目覚めたものが何処へ向かうか、それは一人一人の思うがままに。
どうやらこの中には、村人が6名、占い師が1名、霊能者が1名、守護者が1名、囁き狂人が1名、聖痕者が1名、智狼が2名いるようだ。
おお、どうやら全員、揃ったようじゃな。 皆に大事な話がある。
先日から噂になっておるので、皆も聞いておるやも知れんが……この地に『人狼』と呼ばれる脅威が潜んでいるらしい。
噂の真偽の程は定かではない。 何事もないとは思うが、皆、念のため気をつけてな。
[蒼鷹に話しかけている間に、みるみる雨と風の勢いは強まっていて。
がたがたと窓や戸の揺れる音に、少し身を竦める。]
…雷は、来ないよね…
きゃあああ!?
[そう呟いたのは自身の希望だったが、そこに鳴った雷鳴に思わず目を瞑った。]
―工房『Horai』/玄関―
うん。雨が降りそうなのに、外に1人では行かせないよ。
[真顔で同意を示すあたりが、過保護が過保護たる所以か。]
商談中っていっても、ほとんど終わったようなものだしね。
それに……―――
[ふっと紅は外を見て]
通り雨かと思ったけど、これは……。
帰るにしても小降りになってからの方がいいよ。
[迷いを見せる人を、客室へ誘おうとした。
その頃には、もう雷も鳴っていただろうか。
雷の音に、ゼルギウスの足は足早に妻の元へと向かうのは……火を見るより明らか。]
こ、こわく、ない。
だいじょうぶ、君もいるもん、ね。
[雷の音に青褪め震えながらも、自身に言い聞かせるように大丈夫と言って。
蒼鷹が燻製を啄ばむ様子を見ればほんの少し表情が和らいだ。]
…君が居てくれて本当に助かる。
いつもありがと、ね?
[一人で過ごすのには慣れてきたけれど、どうしても雷には慣れなくて。
蒼鷹が顔を見せない時は本当に泣きながら過ごす羽目になるから。
そう、弱弱しくも安堵した笑みを浮かべ蒼鷹へと礼を言った。
そこにまた響く雷鳴には目を瞑り耳を塞ぐが。]
─宿屋─
……って、容赦ねぇな、おい!
[響いた雷鳴。
窓越しの雨の向こうに閃いて見えた、閃光]
ベッティ、俺、ちょいと厩舎の戸締り確認してくっから!
中の戸締り、確認して回れ!
けっこ、でかいの来てるかもしれねぇ!
[客室の方へ向けてこう怒鳴ると、一先ず外へ。
薪も、中に入れておかないと、という考えも頭の隅を過ぎっていた]
嵐の中、自衛団員も詰所に避難していた。
その機を見計らって団長は一つの話を団員達にする。
夏でも長袖を着ている彼の腕半ばには、銀で彫り込まれた印がある。
結社の一員。人狼の存在。
初めて聞く話に団員達も驚きの色を隠せなかった。
嵐が去ったらすぐに動くという話だったが。
それは少し遅れることになった。
まだ激しい雨の中。
村の奥まで響き渡る崩壊の音が原因で……。
―宿屋―
降り始めたな…
[窓の外を眺めながら、部屋の前にブリジットを案内した後]
私はちょっと厩舎の様子みてくるな。
お客様がもう一名あっちにもいるからな。
[そう告げて、雨がひどくならないうちにと外にある厩舎に向かおうとしたところで、アーベルからかかる声]
じゃあ、頼んだ。薪の方も頼むなっ!
[そう大きな声で返して窓の戸締りを確認して回った]
こ、れ… ひと雨だけじゃ、全然済まなさそ…ッ!
[窓をたたきつける雨粒は強く、吹き付ける風もごおごおと唸り声を上げていた。然程新しい家でもなく年期が入った雑貨屋は軋むような音を響かせた。]
きゃ……!
[視界が閃光に奪われ、娘は小さく悲鳴を上げる。
祖母も驚いた様子で店を案じている様子。]
―工房『Horai』/玄関―
[背から聞こえる雨音が激しくなる。
空を裂く閃光、ややして地に響く雷鳴。
風がガタガタと窓硝子を揺らしていた]
荒れ出したな。
[修道院に残してきた子供達の事が頭を過る。
引き返すべきだったかと後悔の表情。
ゼルギウスの声>>3には小さく頷き茶化す事はしなかった]
だろうな。
[逡巡するような間の後]
お言葉に甘えて待たせて貰うとするさ。
[雷の音と同時に動き出すゼルギウスにクツと小さく笑う。
青年は彼の後を追うように奥へと進んだ]
[暫し空を見上げていたが、ベッティに声を掛けられると]
……ん。そうだな。うん、嵐が来る前でよかった。
[そう返す言葉はいつも通りのやり取りか。
そうして、部屋に案内されると、荷物を置いて一息ついた。]
―雑貨屋―
酷い言われようだ。
下心で触ってたんなら離さなかったんだけど。
[助平紳士云々には少し拗ねた顔になる]
即金。む、ちょっとギリギリになるな。
そうだ、絹のスカーフ。
気に入ってくれたらその分まけて欲しい。
[荷の中から出して広げたのは銀色にも見える白のスカーフ。
端を飾るレースもだが、一級品と呼ばれるものだろう]
─厩舎→薪小屋─
……っとに。
運命の女神さん、俺の帰郷タイミングは良かった、それとも悪かった?
[冗談めかした口調で言いながら、ポケットの中から蒼い正方形を二つ、引っ張り出す。
瑠璃を削りだしたダイス。自分がここで、唯一作った細工物。
それを、ひょい、と投げて、また受け止めた]
─工房『Horai』・客室─
[雨の音に混じり聞こえてくる雷の音。
光と音が同時に聞こえようものなら、流石に身を強張らせた]
───……かなり荒れそうだな。
直ぐには落ち着きそうにも無い。
[極端に怖がる様子は見せないが、大きな音と光にはやはり驚きは隠せない]
ふぇ…?
[目を瞑り耳を塞いで視覚と聴覚を遮ったものの、ほんの少し硬さの感じられる温もりを感じてそっと目を開ければ蒼鷹が寄り添ってくれていて。
半分泣きかけていた表情がゆるく解け、そっと礼を言うように蒼鷹の翼を撫でた。]
…ありがと。
ごめんね。私、情けないね。
君は優しいね…いつも思うけど、どこの子なのかな?
私はいつも君が来てくれて心強いけど、ここに来てて大丈夫なの?
君の飼い主さんは、心配してるんじゃない?
[そう質問ぜめにしながら首を傾げ。
それでも傍に居てくれるのは嬉しいから、寄り添ったまま雷鳴に身を竦めた。]
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