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天文学者 オトフリート に 1人が投票した。
旅の商人 エーリッヒ に 7人が投票した。
旅の商人 エーリッヒ は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、天文学者 オトフリート が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、助教授 ハインリヒ、団長の孫 イレーネ、青年 ユリアン、自衛団員 ダーヴィッド、村長の息子 フォルカー、神学生 ウェンデル の 6 名。
─ 一階廊下─
─────え。
[視界がぶれる。身体が何かに捕えられた。それは、本当に意識外だった状況]
エー…───!
[普段呼ばぬ名を呼びかけて、口を噤んだ。自分は、彼を名で呼んだことは無かった、はず]
[首筋に鋭い爪の先が当たる。こくりと息を飲んだ。彼に、自分を殺す意思が無いと理解したのはその直後のこと。傍から見れば、殺されそうになっているように見えるだろうが]
―玄関・外―
[よく分からないが、ウェンデルの弁から察するに、自衛団だから締め出されたらしい。
ちょっと、疎外感に打ちのめされてしょんぼりしたら頭が痛んだ。
お前 早く 中に 入れ といわんばかりにカンカン頭が鳴る。
理不尽とはいえ、締め出されたのにまた開けるのもと思い、仕方なく裏口、台所の方から向こうに回ることにした。
入り口の見張りの自衛団には、何でもないと言ってはみたが、中から聞こえる音やら何やらのおかげで、あまり信用ならないかもしれない。]
―→台所―
オト…兄……
[一歩一歩。頼りないようにそれでも確かに階段を下りる。広間へと向かったエーリッヒはどうなったのかは察しながらも、ただオトフリートの元へと向かう。
動かない。あの時。ヘルミーネの墓地にて呟いていた言葉を思い出しながらしゃがみこみオトフリートへと触れる]
…ユエ…
[鼓動がない。止まっている。
あれは文字通り最後の力を振り絞った行動だったのだろう。
だがユエは未だそれが理解できないのか。それともできていてなのか。
オトフリートの頬を前足で何度も叩いている。
それが酷くものがなしくて―――ァア…なんて]
……ぅっ
[輝かしい遊戯。と浮かんだ言葉を否定するように頭を横に振るう]
―一階:廊下―
[駆け出す、人と獣の狭間のモノに、少年は咄嗟に反応出来なかった。
しかしその先に何があるかを悟れば、頭で考えるよりも早く、体は動く]
―――――レーネに、手を、出すなっ!!
[吠えた。
赤石が色を変えたのは、向かう先にいる者には見えたか。
近付くより先に爪が振るわれるなどは考えない。
振るわれたとて、叶うことはなかったろう。
意志すらないとは、少年には考え付きもしなかったが]
[手を伸ばして、“人狼”の腕を掴んだ。
ばち、と。
何かの弾けるような音がして、“人狼”の力が、緩む。
平時の少年ならば有り得ぬ程の力を持って、その腕を掴み、彼の捕らえた少女から引き剥がして、地に引き倒す]
[意識はかすんで、もはや誰を掴んだのか確認もしてなかった。
でもそれは、聞いていたコエからイレーネなのだろうと、
僅かに残った意識で確認するその姿は、イレーネのもの。]
イレーネ………お前は……自分の望むように……
[そんなコエを小さく呟く、それはもう届かなかったかもしれないが。
何かコエをかけれた気がする、よく聞こえずコエを返すことはもうできない。
何か名前を呼ばれたようなそんな気がした。]
─ 一階廊下─
[身を捕らえたエーリッヒの左腕は弱々しく、突き飛ばせば容易に外せるものだったかもしれない。それをしなかったのは状況に驚いていたのもあったが、あることを考えていたせいでもあった]
っ、は、ぁ。
フォル……っ!
[思考が戻ったのは幼馴染の口から自分の名が紡がれた時。瞬く間にこちらへと飛んできたフォルカーが、エーリッヒの手を取り自分から引き剥がした。ブローチが色を変えていたのには気付いたが、今は目の前で起きていることの方に意識が向いて。何かが弾けるよな音に、反射的に身を竦めた]
―集会所・階段―
――…
[紅散るその時、女は目を逸らしていた。
震える唇を噛み締める。
そうでもしなければ、込み上げるものを抑え切れなかった。
見えない場所で上がった怒声を、遠く聞いていた]
[フォルカーに腕を掴まれて、何かがはじける。
僅かに残った力もそれで緩み、イレーネから引き剥がす力に抗う力はもうない。
されるままに地に伏して]
……し…ぬ…か……
[僅かに漏れた呟きは、きっと誰の耳にもとどかなっただろう。]
[傍に居た青年が倒れた人の所へと近づいてゆく。
猫の鳴声が物哀しく響く]
オトフリートさん…。
[共に傍へと進んだが。
振り返った先でヘルミーネが震えているのが見えて。
そっと離れ怒声の方へと向かった]
[少年が力を発した、よく似た半透明の存在が浮かび上がり、消えた。
魔除けの力を持つ刃を突き立てられ、弱った“人狼”は直ぐには起き上がらない。脈打つ鼓動は、刻一刻と弱まっているのだろうと思われた。
蹲る男の肩に体重をかけて足を下ろす。
子供の重みなどさしたるものではないだろうが、勢いづけていたせいか、骨の軋む音がした]
人、狼が……、お前が……………!
[きつく眉を寄せて、発する声には負の感情が含まれる]
─集会場・階段─
[一度、冥い深淵に堕ちた意識が遠くの声を聞く。
誰かが、呼んでいて。
いつも聞いていた声が、哀しげで。
でも、それらはどこか遠くて。
けれど]
……ユエ。
大丈夫、って、言ってなかったですか……?
[どうしても、言わずにおれなくて。
最初に浮かんだのは、こんな言葉。
ふわり、と。
声に一拍遅れて、姿が形作られた]
―廊下―
[熾火のような熱は厭わしかった]
壊れているのかしら、私。
その姿を見てもまだあなたを憎めないの。
エーリッヒさん。
[消えてゆく灯火を孔雀色は見つめていた]
─ 一階廊下─
[血濡れていたエーリッヒの身体。服にべったりと血糊がついてしまっていた。けれど今は気にならない、と言うよりは、気にすることが出来ない]
───っ!
[フォルカーが勢いをつけて足を振りおろすのを見た。ぞくりと寒気が走ったのは、本能が危険を察知したせいか]
[生きていたら憎めたかもしれない。
けれどそうなる前に散ってしまった。
残滓だけでは憎めない]
……。
[より鮮明に聞こえた声に一度振り返る。
此岸から彼岸へと渡って来た人を認めると小さく頭を下げた]
―結構前・集会場へ戻る道すがら―
[ダーヴィッドがローザを違うといったことについてはユリアンも居る場所で端的に離していたか。
しかし、自分にはわからぬことが、まだあった]
…ダーヴィッドってのはよ、あんたと同じなのか?
ローザのことや、ゆうべは修道士のにーさんのことも、違うといっていた。
あいつは何がわかっているんだ?
[問えは、すべてではなくとも何をか察せられる答えが返ってきただろうか。
なるほどな、と言って息をつく]
情報がない限り、余所者の俺にはさっぱりだ。
[言いながら、肩をすくめた。余所者、という言葉にはどこか自嘲的な響きもあったか。
集会場の近くまで来たところで、ふと立ち止まり]
先に戻っててくれ。すぐ、戻る。
[オトフリートに告げて踵を返した。向かうはさっき埋葬したばかりの墓標]
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